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「新生児スクリーニング検査で、赤ちゃんの命が救えることも」前向きに検討してほしい、専門医の声

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生まれたばかりの赤ちゃんを胸に抱きしめ、皮膚の時間に皮膚を持つママ。病院での出産。
●写真はイメージです
globalmoments/gettyimages

新生児スクリーニング検査は、生後4~6日の赤ちゃんに先天性の病気がないかを調べる検査です。すべての赤ちゃんが公費で受ける検査のほかに、プラスαとして、希少疾患を自己負担で調べるスクリーニング検査を行っている地域もあります。遺伝医学や先天代謝異常症に詳しい、新潟大学医歯学総合病院 ゲノム医療部遺伝医療センター・小児科 助教 入月浩美先生に話を聞きました。

すべての赤ちゃんが、公費で受ける新生児スクリーニング検査は20疾患が対象

厚生労働省の指導のもと、すべての赤ちゃんが生後すぐに受ける新生児スクリーニング検査は、日本では1977年に国家事業としてスタートしていて、当初は5疾患が対象でした。

「新生児スクリーニング検査は、赤ちゃんのかかとから数滴の血液を採り、検査をします。
万一、病気が判明した場合も治療ができ、放置すれば障害を引き起こしたり、亡くなったりする危険性がある病気を検査対象にしています。
現在は、公費で受ける新生児スクリーニング検査は、ガラクトース血症、アミノ酸代謝異常症などの先天性代謝異常症が18疾患、先天性甲状腺機能低下症などの内分泌疾患が2疾患。合計20疾患が対象になっています」(入月先生)

また、すべての赤ちゃんが公費で受ける新生児スクリーニング検査は1次対象疾患と2次対象疾患があります。

「前述の20疾患は、1次対象疾患です。新生児スクリーニング検査をすると、2次対象疾患であるシトリン欠損症や全身性カルニチン欠乏症など、ほかの病気も判明します。しかし2次対象疾患は検査技術の問題で偽陽性率や偽陰性率も高く、治療が難しい一面もあります。そのため1次対象疾患には、今のところ含まれていませんが、将来、検査技術や医療技術が進歩すると、1次対象疾患に含まれるかもしれません」(入月先生)

新潟県では2021年から、公費検査以外の疾患も調べる、任意の「付加スクリーニング検査」を開始

新生児スクリーニング検査は、一部の地域では自己負担で、任意のスクリーニング検査を行っています。これは前述の公費で受ける新生児スクリーニング検査とは別のものです。また名称は、地域によって付加スクリーニング、オプションスクリーニング、拡大スクリーニングなど統一されていません。

「任意のスクリーニング検査は、九州地方での取り組みが早く、たとえば熊本県では、2006年にファブリー病の新生児スクリーニング検査を開始。2013年からポンペ病、2016年からゴーシェ病とムコ多糖症Ⅰ型・Ⅱ型の新生児スクリーニング検査を開始しています。

ほかの地域も追従するように、任意のスクリーニング検査を始めました。新潟県では、一般社団法人 新潟小児希少疾患協会「ASCRN(The Association of Children's Rare Diseases in Niigata/あすくるん)」を設立し、2021年から検査を開始しています。あすくるんという名称には“生まれた赤ちゃん全員に、素晴らしい明日が来るように・・・”という思いが込められています。現在は、38医療機関中、18医療機関で付加スクリーニング検査が受けられますが、協会では2023年中に新潟県で分娩を行う全医療機関で検査を行えるように努力目標を掲げています」(入月先生)

新生児スクリーニング検査で、病気を早期発見することで、赤ちゃんの命が救えることも

新潟県で行っている付加スクリーニング検査の対象疾患は、現在のところポンペ病、ファブリー病、ムコ多糖症Ⅰ・Ⅱ型、重症複合免疫不全症の5疾患です。どの病気もまれな病気です。

「新潟県の検査で、これまで確定診断された赤ちゃんは、ファブリー病が1人、重症複合免疫不全症が1人です。
ファブリー病は、αガラクトシダーゼという酵素の働きが生まれつきない、もしくは低いために糖脂質のグロボトリアオシルセラミドなどが分解されずに、全身臓器の細胞のリソソームに蓄積し細胞障害を引き起こす病気です。7000人に1人といわれています。

また重症複合免疫不全症は、5万人に1人といわれる病気で、生まれつき免疫細胞が作られないために、感染症にかかりやすく、かかると重症化しやすい病気です。軽い風邪から重い肺炎を起こしたりして亡くなる子もいます。

確定診断は2人ですが、ほかにも検査は陽性でも発症していないため、定期的に診察して経過観察している子もいます。
どの病気も早期発見・早期治療することで、予後がよくなったり、命が救えることもあります」(入月先生)

また付加スクリーニング検査は任意のため、なかには受けないママやパパもいるようです。

「2021年の調べでは、新潟県の対象医療施設で付加スクリーニング検査を受けた赤ちゃんは84.3%でした。1万円弱の検査費用がかかるため検査をためらったり、“まれな病気だから、うちの子は大丈夫”と思って受けない方もいるのかもしれません。
しかし発症前に重大な病気が隠れているかわかる、新生児スクリーニング検査はとても貴重な機会です。また新生児スクリーニング検査で判明するのは、治療が可能な病気です。まれではありますが、どの子にも可能性がある病気なので、ママやパパには前向きに検討してほしいと思います」(入月先生)

新潟県で配布している、付加スクリーニング検査のパンフレット

上は新潟県でママやパパに配布している、付加スクリーニング検査のパンフレット。入月先生たちが制作担当していて、検査の意義や病気の説明などがわかりやすく記されています。

取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

お話・監修/入月浩美先生


付加新生児スクリーニング検査の課題は、地域、医療施設によって格差が生じることです。ネックとなっているのは人手と費用の問題です。新潟県でも検査を行っているのは18医療施設で、なかには出産後に「私が出産した施設では、付加スクリーニング検査を行っていなかった。そんな検査があることも知らなかった」というママもいるそうです。入月先生は「任意のスクリーニング検査を全国的に広めるには、そうしたママやパパの声が後押しになる」と言います。
入月先生たちが制作した、新潟県で配布している付加新生児スクリーニング検査のパンフレットは、こちらでも確認できます。

新潟県で配布している、付加スクリーニング検査のパンフレット

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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