SHOP

内祝い

  1. トップ
  2. 赤ちゃん・育児
  3. 【女優・加藤貴子】成長によってあらわれる子どもの個性に戸惑いも・・・。専門家のアドバイスは?

【女優・加藤貴子】成長によってあらわれる子どもの個性に戸惑いも・・・。専門家のアドバイスは?

更新

女優の加藤貴子さんの8才と5才の息子は、それぞれ性格も好みも遊び方もまったく違うタイプに育っているそうです。成長によって表れ始めた子どもの個性が、ほかの子と少し違うことについて戸惑うこともあるのだとか。元保育士で3人の男の子のパパ、現在は大阪教育大学附属天王寺小学校の校長を務める小崎恭弘先生に、子どもの個性の受けとめ方や周囲の理解などについて、教えてもらいました。

“かっこいい”より“かわいい”が好き

加藤さん(以下敬称略) 私の年中の二男はかわいいアニメキャラクターが好きで、色もピンクなどの華やかな色が大好きで、長男とは正反対のタイプです。親としては、色も遊びも本人が望むことに合わせて選ばせてあげたいと思いますが、周囲の人から「男の子なのに・・・」と言われてしまうこともあって・・・。

小崎先生(以下敬称略)「ピンクが好き」と、自分で好きなものがわかっているのは素晴らしい個性であり、人とは違う自分らしさを作るすてきな要素です。だけど、そのことを認めてもらえない周囲との葛藤は、幼いながらにあるでしょう。中には、いちばん近くにいる親に認めてもらえない子もいますから、そういう子は苦しいと思います。

お子さんの個性に対して何かしら言う人は、もしかしたら親切で言ってくれているのかもしれないけど、でもお子さんの人生をずっと見守ってくれる親切ではないはずです。だからいつもそばにいるママやパパが「君は君の好きな気持ちを大切にしていいよ」と認めてあげることが大切。加藤さんは家庭で、お子さんの個性を受けとめているのは、素晴らしいと思います。


加藤 来年買う予定のランドセルもピンク色が欲しいって言っていたんですが、最近になって「やっぱりランドセルは黒でもいいよ」って言い始めました。ほかの子との好みの違いに気づき始めたのか、自分が好きな色を選ばないほうがいいのかな、と幼いながらに感じていることにちょっと切なくなってしまって。「いろんな色があるから、好きな色を全部買ってみようか、ランドセル貯金でもしようか!」なんて言ってみたものの、私も一緒に悩んでしまいます。

小崎 親も子どもと一緒に、悩んだり不安になったりしてもいいと思います。親だって子育ては初めてなわけだから、どうしていいかわからないのは当然でしょう。「好きな色を全部買おうか」って、なかなか言えないことだと思いますよ。

親だってわからないことはわからないでいいんですよ。コロナ禍ではだれにもわからないことばかりでしたが、きっと多くの家庭がなんとか乗り越えてきたと思います。親も弱みを見せていいし、傷を癒やしあえるのも、家族や親子関係のよさであるし、その経験も子どもが育つ糧になるのではないでしょうか。

子どもの個性について、大人にも理解を求めるには?

加藤 私の長男も二男も髪を長く伸ばしています。髪を伸ばしていることについて、長男は公園で他校の上級生に「女みたいで気持ち悪い」と言われたことがありました。でもきっと子どもの場合は、1人1人の個性の大切さや多様性などの話を正しく伝えればわかってくれるかなと思うんですが、大人は自身の価値観に気づかずに、悪気なく発言することもあると思います。そのことを、ときどき子どもたちから相談されることがあって、守ってあげられないこと、うまく答えてあげられないことにはがゆさを感じています。

小崎 そうですね。社会の大人の全員が多様性について理解があるとはまだ言えず、かたよった見方がなかなか変わらない部分もあります。幼稚園、小学校と、親以外の大人とのかかわりも少しずつ増えていく中で、たとえば「男の子なのに髪が長いんだね」といった大人の言葉に傷ついたり自信をなくして悩んだりすることもあるかもしれません。

そこで子どもを守るには、家が子どもの安全基地であり、親が子どもを受け止めてあげて、あなたはあなたのままでいいよ、というメッセージを伝えてあげることです。
社会と自分の思いにギャップや矛盾があっても、それに折り合いをつけて生きていくためには、家が安全で守られる場所であることが大切です。そうすれば子どもがときには傷ついた心を、安全基地で癒やして充電して、また外に出ていくことができるでしょう。加藤さんの場合、子どもが相談してくれるということは、そこに安心感・信頼感があるということだと思いますよ。

加藤 実は先日、小学校の保護者会で、きょうだいで髪を伸ばしていることや、二男がピンク色が大好きです、ということをほかの保護者の人にも伝えました。子どもの個性を理解してほしい、との思いから伝えたのですが、果たして正解なのかどうか・・・悩んでいます。

小崎 女優というお仕事柄、そういうことを先生や保護者に伝えるのはきっと勇気のいることですよね。でもそれは、加藤さんが悩んだ結果、覚悟を持って行ったこと。覚悟を持った人の行動は正解だと思いますよ。

子育てっていろんなことがあって、何が正解・不正解なんてだれにもわからない。みんな迷いながら親をしています。どう受け取られるか結果はわからないけど、きっといい方向に向いていく可能性が高いだろうなと思います。

なぜかと言うと、子どもがほかの子と少し違いがあることに引け目を感じてしまう人や、人と違うことを隠したい人は少なくないと思うからです。そういう人が加藤さんの行動によって「人と違う個性も大事だな」と、考えが少し変わる可能性があります。子どもの価値観は育てられた家庭環境・家族の価値観によって醸成されますから、保護者の価値観が少し変われば、子どもの価値観も少し変わり、少しずつ子どもの世界がいい方向に向かうんじゃないかな、と思います。

家や学校とは違う価値観を与えてくれるサードプレイス

加藤 もし、これから子どもが自分の個性について悩むことがあったら、学校以外に相談できる機関などはありますか?

小崎 幼稚園くらいの年齢から、セクシュアリティについて異和を持つ子どもがいることは近年認識されていますが、専門家はまだとても少ないです。子どもの場合は生育の過程でどう変化するかがわからない面も大きいからです。ピンク色やかわいいキャラクターが好きだからといって、その子が女の子になりたいかというと、そうではないこともある。そのため、断定的な判断やアドバイスをするのが難しいんです。

一般的なジェンダーの話などを教えてほしい場合は、男女共同参画センターの相談員さんは、知識を持っているので聞いてみるといいかもしれません。

加藤 成長とともに子ども自身の世界が広がっていく中で、自分の個性について悩んだとき、子どもが自分で乗り越える力をつけてあげたいと考えています。家庭や学校以外の場所で、そういう力を身につけることもできるのでしょうか?

小崎 人々が生活の中で多くの時間を過ごす家庭(第1の場所)でも保育園や学校(第2の場所)でもない、第3の場所というものがあり、最近は「サードプレイス」「居場所」などといわれます。家庭や園・学校以外で、子どもがのびのびとできる場所、本音を言える場所があるのもいいと思います。そういう居場所で、家とはちょっと違う価値観を与えてくれる人との出会いもあるでしょう。

近所にばあば・じいじや親せきがいれば、遊びに行くのもいいですね。それ以外では、地域のスポーツチームなどの仲間や、習いごとの先生などが、個性を受けとめてくれたり、違う考え方を教えてくれるかもしれませんね。親や学校以外の価値観を知ることも、子どもの生きる力になるでしょう。


お話/加藤貴子さん、小崎恭弘先生 撮影/アベユキヘ 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

監修/小崎恭弘先生

うちの子、ほかの子とはちょっと違うな・・・と感じたら、それはその子の大切な個性かもしれません。家庭では「そのままのあなたが大切だよ」とメッセージを伝え、受けとめてあげることが大切なのではないでしょうか。


●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

加藤貴子さん(かとうたかこ)

PROFILE
1970年生まれ。1990年に芸能界デビューして以降、数々の作品に出演。代表作として『温泉へ行こう』シリーズ(TBS系)、『新・科捜研の女』シリーズ(テレビ朝日系)、『花より男子』(TBS系)などがある。

赤ちゃん・育児の人気記事ランキング
関連記事
赤ちゃん・育児の人気テーマ
新着記事
ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。