SHOP

内祝い

  1. トップ
  2. 赤ちゃん・育児
  3. 仕事
  4. 育休
  5. 「家庭を顧みない仕事人間でした」その僕が南国フィジーへ7ヶ月間育休移住をしたお話。フィジーに到着するも「こんなはずじゃなかった」な日々【第2回】

「家庭を顧みない仕事人間でした」その僕が南国フィジーへ7ヶ月間育休移住をしたお話。フィジーに到着するも「こんなはずじゃなかった」な日々【第2回】

更新

ワーク・ライフバランス社でコンサルタントとして活躍する大畑愼護さんは、第3子の出産の際に1年間の育休を取得し、5歳、2歳、0歳の子どもを連れて一家5人でフィジーへ育休移住(2018年7月~2019年2月)を決行しました。そのお話を連載5回にわたって紹介します。今回は第2回となります。
(連載【第一回】「きっかけはふと目に入った妻のTODOリスト」はこちら)

入国査証(ビザ)なしで長期滞在できるのが90日なのか120日なのか、わからぬまま家を引き払いスーツケース2個、バックパック2個、子ども用リュック1個でフィジーへと渡った大畑家。まずは日本で予約した安宿での3週間の様子から。

子どもを守らねばと言う緊張感でピリピリ

フィジー到着後、3週間滞在した宿のプールで寝そべる娘と泳ぐ息子。子どもたちのスタートは順調でしたが……

「周りの視線を気にせず、のびのび子育てしたい」「世界最高水準の日本の育休制度を有効活用しよう」として、英語もままならないのにフィジーへ育休移住を決意した大畑さんでしたが……。

「到着直後から気が休まらない日々でした。夫婦ともに不安と緊張でピリピリしていました。
まずフィジー人に人見知り(笑)。ラグビー大国だけあって身体は大きいし、顔つきも日本人とはまったく違う(はい、当たり前です)。なのでつい身構えてしまう。

フィジーは治安が良いから選びましたが本当に信用していいかわからなかったし、道端の水たまりは不衛生で感染リスクがあると聞いていて、子どもと一緒に外を歩いていても気が気じゃない。『そっちへ行ったらダメ』『手をつながないとダメ』と、ダメダメの連続。

毎朝『今日は無事に過ごせるかな』という不安を抱き、夫婦の会話も『食事はどうするか』『あれが足りないから店を探さなきゃ』など、目の前のことをこなすことに精いっぱい。『こんなはずじゃなかった』と、自己嫌悪の連続でした」

のびのび子育てをしたくてフィジーへ来たのに、現実は程遠い状況。そんなピリピリした空気を和ませてくれたのは、やはりフィジーの人々と青い海と青い空でした。

フィジーは本当に子どもに優しい国と知る

「フィジー到着2日後、一家で近所のスーパーへと出かけた時の話です。ヤシの実を売っている露店の前を通ったら、フィジー人の店員さんが我が子たちを見て突然、ナタを取り出した。え?と、思ったらヤシの実をガシガシ切ってストローをさして『どうぞ』と、子どもたちに差し出すのです。

『押し売り⁉ 』と思い、恐怖(なんせ手にナタ持ってますから)と焦りで『いらない、いらない』と、必死に断るもフィジー人はニコニコ笑顔で『どうぞ、どうぞ』と、子どもたちに渡します。そして『どこへ行くの?』と、聞かれて、つたない英語で『スーパーへ買い物』というと『気をつけてね』と笑顔でバイバイ。僕たちは戸惑いながらもお礼を言い、お金を払うことなくその場を離れました。

またあるレストランでのこと。僕が赤ちゃんの息子を抱っこして食事をしていたらホールのスタッフが『食事中は抱っこしてあげる』と、ひょいと息子を抱き上げて連れて行きました。戸惑いながらも食事をしながら、ふと見るとホールのスタッフは給仕の仕事をしていて、その手に息子の姿はありません。血の気が引くって初めて体験しました。焦って立ち上がると、息子はレジの奥にいるスタッフにご機嫌よく抱っこされていました(笑)
ホールが忙しくなったので、レジの方へバトンタッチしたのです」

カフェの店員さんに抱っこされる息子。おかげで親はのんびりコーヒーブレイク。ありがたやー

「またなじみのスーパーではレジのおばちゃんが、会計時にレジ横の商品のお菓子をひょいと取って子どもたちに渡してくれます。もちろん、レシートには記載されません。ほぼ毎回いただくので、最後の方は子どもたちも慣れてしまって『今日はそれじゃなくて、こっちがいい』と、リクエストする始末(汗)

親子で道を歩いていれば、見知らぬフィジー人が『ブラ(こんにちは)』と笑顔で挨拶していく。
とくに3歳の娘は、どこへ行っても『キュート、キュート』と大絶賛で褒められていたので、『私は絶世の美少女』と、信じて帰国した疑いがあるほどです(真面目な話)。

赤の他人なのにフレンドリーににこにこ笑顔で近づいてくる人がいたら、なんか企んでいるのでは、と疑う僕ですが、フィジーは悪意がまったくなく本当に子どもに優しい国なのです」

よし! フィジーで家を探そう。ここから始めよう

「滞在して2週間がたち、フィジーにも慣れ情報収集がひと段落したので、家族で1時間かけて遠出をすることにしました。

高級リゾートホテルが林立するフィジー屈指の観光エリア『デラナウ・アイランド』です。
高級リゾートホテルのプールサイド(当時のフィジーは飲食を注文すれば宿泊客以外もプールを利用できます)で、外国人観光客とともにのんびり過ごしていたら『ここでは警戒しなくていいんだ』と、ホッとしたのでしょう。張りつめていた緊張感がプツリと切れたのです。
妻も同じだったようで、なんと夫婦でうたた寝をしてしまったのです(笑)

すっかり心が解きほぐれた僕と妻は、本音がポロリポロリと口から出てきて、今までの2週間を振り返り、今後のことをじっくり話しました。

『フィジーで家を探そう。ここから始めよう』

夫婦で決意して家路についたのです」

家を借りることに成功! やることは山積み

引っ越し直後のがらんとして何もない状態の我が家。ここから寝具や家具、さらにライフラインを整えました

家は、紆余曲折を経てフィジー在住の日本人を介して借りることに成功します。

ガスはプロパンとなり自分でスーパーで購入しました(笑) 重たすぎてベビーカーで運んでいます

がらんとした何もない状態から寝具や家具を揃え、自力でプロパンガスを設置し、水道や電気の手続きを行うなど、手探りでの様子はブログで詳しく紹介されています。


フィジーで過ごす毎日は意外と地味。でも毎日が贅沢だった

我が家の庭にあったマンゴーの木。まさに鈴なり(笑) 食べごろまでもう少し

「大畑家の1日のスケジュールは

6時起床で朝ご飯。
週3は近所の海かプールで1日過ごす。
週2~3はお昼まで保育園で、午後は近所の海かプール。
週1~2は公共料金の支払いや買い出しなど、家の用事を子どもと一緒にする。
20時就寝。
動画、ゲームはもちろんテレビもなし。

妻の身体を休めることが優先だったので、保育園の送迎と子どもたちを海やプールへ連れて行くのは主に僕がしました。体調が落ち着いてからは妻と交代する時もあったし、家族5人で行くこともありました」

Malamala島にアイランドホッピングした際にドローンで撮影。

「アイランドホッピングなど遠出は、日帰りを含めて合計6回ほど行きましたが、1~2ヶ月に1回の頻度です。

育休移住と聞くと派手なイメージを持つかもしれませんが、僕たちの場合は日本での生活リズムをフィジーへ移しただけ。
フィジーへ来たのは大人の海外旅行ではない。子どものための育休移住です。
子どもたちが戸惑わないよう、生活基盤をしっかり固めることを優先しました」

海で食べるマンゴーって、ほんとに美味しいんです! ぜひ試していただきたい

「ただプール三昧、海三昧の日々は日本では味わえない贅沢な日々だったことは確かです。

あとヤシの木に登れるようになったこと、庭にマンゴーの木があったので食べ放題だったこと、マンゴーを海で食べると甘しょっぱくてめちゃくちゃ美味しいと発見できたこと、高級リゾートホテルのプールも遊び放題なこと、たくさんの経験を子どもと一緒にできました」

そんな楽しい日々でしたが、120日の滞在期限が迫ってきます。

いざ、ニュージーランドへ! しかし出国手続きで別室へ連れていかれる

大畑さんは就学でも就業でもないので、入国査証(ビザ)なしで入国しています。長期滞在できる日数を超えれば不法滞在になりますが、日本で調べても90日か120日かはっきりしません(詳しくは第一回の連載で紹介)。大畑さんはフィジー滞在120日を迎える前に、ニュージーランドへと一時出国するため空港へと向かいます。

「空港で出国手続きをしたら、いかつい空港職員に別室へ連れていかれました。
フィジーの入国査証なしの長期滞在日数は90日なので、僕たちが不法滞在だと言うのです。

『大使館のHPに4ヶ月以内と記載があった』と、僕が主張すると『そんなはずはない』と、怖い顔。しかし僕が強く主張したので職員が調べなおすと『いやー4ヶ月だったよ。君が正しかった』と、満面の笑み。僕らは無事にニュージーランドへ出国することができました」

実はほとんどの国がビザなしの長期滞在日数は90日です。フィジーも日本は120日ですが、他国は90日ということも。そこで誤解が生まれたようです。

さて、ここまでくると妻・恵吏(えり)さんって、どんな人なんだろうと気になります。
英語が話せないのに育休移住と言う夫の無茶ぶりを、まるっと受け止める包容力と度胸がある女性ということはわかります。
そして夫婦円満とわかりますが、実は大畑さんの前職は激務で夫婦関係は崩壊の一歩手前だったそう。そのお話も含めて、第3回は恵吏さんとの出会いから夫婦再構築のエピソードを紹介します。

大畑愼護(おおはた しんご)

前職では全国を駆け巡る激務をこなし、やりがいを感じながらも長時間労働の弊害を実感。そこで個人及びチームの業務内容などを見直し・改善して残業時間半減を実現します。その経験を生かして生産性の向上を提言するワーク・ライフバランス社へ転職。コンサルタントとして、企業の講演・研修を担当し多数のメディアにも出演しています。
プライベートでは3児の父。前職では激務のせいで一家離散の一歩手前でしたが、こちらも見事に立て直し、第3子誕生の際には1年間の育休をとって一家5人で南国フィジーへ育休移住を決行しました。プライベートではトライアスロンに挑戦するなど、既成概念にとらわれず仕事・家庭・自分の時間の充実を提案する型破りイクメンパパです。

大畑愼護さんのブログ「育休移住.com」

大畑愼護さんのインスタグラム「shindyyy777」

取材・文/川口美彩子

赤ちゃん・育児の人気記事ランキング
関連記事
赤ちゃん・育児の人気テーマ
新着記事
ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。