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家庭を顧みない仕事人間でした。その僕が南国フィジーへ7ヶ月間育休移住をしたお話。今回は番外編。新婚時代、崩壊寸前だった頃も含めて夫婦のお話【第3回】

更新

ワーク・ライフバランス社でコンサルタントとして活躍する大畑愼護さんは、第3子出産の際に1年間の育休を取得し、5歳、2歳、0歳の子どもを連れて一家5人でフィジーへ育休移住(2018年7月~2019年2月)を決行しました。そのお話を連載5回にわたって紹介します。今回は第3回となります。

(連載【第2回】「フィジーに到着するも“こんなはずじゃなかった”な日々」はこちら)
(連載【第1回】「きっかけはふと目に入った妻のTODOリスト」はこちら)

育休移住と聞いて「会社に恵まれているのだろう」と思われる方とともに「キャリアを捨てたのだろう」と、思われる方もいるかもしれません。しかし実際はそんなことはなく、「その逆にプライベートが充実したほうが、仕事の業績は上がる」と、元ワーカーホリックだった大畑さんは言います。第3回は仕事人間だった時代のお話と妻・恵吏(えり)さんのお話です。

妻とは幼馴染み。母親同士がママ友だった

「周りの視線を気にせず、のびのび子育てしたい」「世界最高水準の日本の育休制度を有効活用しよう」(第1回 きっかけはふと目に入った妻のTODOリスト)として、フィジーへ育休移住を決意した大畑さん。
ところが妻・恵吏(えり)さんは、英語がほとんどできません。夫の無茶ぶりをまるっと受け止める度胸と包容力のある恵吏さんのことを、大畑さんは「はい、妻は懐が深いことは確かです」と、頭が上がらない様子です。

「僕と妻は小学校、中学校が同じで、習い事(習字、プール、ボーイスカウト)も同じでした。母親同士がママ友だったので、習い事の送迎では恵吏のお母さんが僕を送ってくれたり、その逆に僕の母が恵吏を送ったり、妻とはいわゆる幼馴染です 。

ただ、妻が中学2年の時に引っ越して疎遠に。一度地元に遊びに来ていたので偶然会ったけど、“地元の友だちのひとり”という認識でした。

一気に距離が縮まったのはお互い社会人になってから。僕は大手印刷会社に就職し、妻は鍼灸師として働いていました。
久しぶりに話したら、お互い職場の話で盛り上がる盛り上がる(笑) 外見はすっかり大人の雰囲気の彼女でしたが、中身は習い事を一緒に通っていたあの頃とまったく変わっていませんでした。明るくて、裏表がなくて、何事もポジティブに考える。『彼女はきっと、これからも変わることはないのだ。彼女となら、どんなことがあっても話し合って乗り越えて行ける』と、感じました」

「いいモノを作るには時間をかけないといけない」と、信じていたワーカーホリック時代

ワーカーホリックだった頃は、妻のこんな笑顔を見ることもなく仕事に邁進してました(反省)

大畑さんと恵吏さんは交際1年の24歳で結婚を決意します。
当時、大畑さんは大阪支社でひとり暮らし。恵吏さんは転職して、愛知県から大阪へ移り住みます。ところが恵吏さんにとって、新婚生活はまったく甘くなかったようです。

「当時の僕は典型的なワーカーホリックでした。
僕の仕事は、化粧品や洗剤などを手掛ける某メーカーの製品パッケージの担当。24時間稼働の工場から夜中だろうが明け方だろうが印刷立会いの呼び出しがあり、毎週のように東京でクライアントと打ち合わせ。週3は大阪、週2は東京という生活で、残業は多い時で月100時間を超えていました。
でもまったく苦じゃなかったです。仕事がとにかく楽しかった」

結婚後も、この生活をやめなかった大畑さん。それどころか新婚で借りた新居は、会社から自転車で5分の場所を選んだと言うから呆れます。

「平日は妻が起きている時間に帰宅することはなく、会話はないので喧嘩もない。週1は夫婦で過ごす時間を作っていたので、新婚生活は順調だと思い込んでいました。

それが結婚3ヶ月後のある日、妻がぼそっと『私、ひとり暮らしをしているみたい』と、言ったのです。平坦でとても冷たい口調が逆に怖くて、胸にグサッと刺さりました。

だって怒ったり泣いたりの口調なら、まだ相手(この場合は僕)に希望を抱いて改善を要請しているってこと。いつもの妻ならそんな感じで不平不満を訴えるのに、怒るでも泣くでもなく、淡々としたその口調に僕は恐怖を感じました。妻の気持ちは限界にきているのだとわかったからです」

天職を手放したくない。働き方を見直して残業を減らすことに成功するが……

ヤシの木に登ってココナッツをとりジュースとして飲むのはフィジーの日常風景。タイムマシンに乗ってワーカーホリックの僕にこの写真を見せて「7年後」と教えても信じないだろうなぁ

恵吏さんからの最終通告を受けたのに、転職は考えなかったという大畑さん。かなりマイペースです。

「当時の仕事を“天職”だと信じて疑っていませんでした。
ドラッグストアやコンビニへ行けば僕がかかわった商品がずらりと並んでいて、同僚が関わった商品も並んでいて、もうワクワクで平気で1時間ぐらい滞在できました(笑)
だから転職ではなく働き方改革に取り組み、残業時間を月100時間から80時間、60時間と徐々に減らしていったのです。

時には定時に上がれるようになった頃、妻から『仕事帰り、スーパーで待ち合わせをして一緒に買い物しよう』と、誘われました。

一緒に行った大きなスーパーには、僕が初めて見るパッケージがたくさんありました。『こんな方法があるんだ』『これは新しい』と、すごく勉強になり、自分の仕事に活かせそうなアイデアがどんどん浮かんできました。十分な睡眠を取ることで仕事のミスも少なくなりました。

その一方でショックも受けました。
僕は『いいモノを作るには時間をかけないといけない』と、信じていました。
けれど長時間働くよりも、プライベートを充実させたほうが視野は広がり、日中の集中が高まり、仕事でも良い影響が出るとわかったからです。

今までの時間は何だったのか……と」

戸惑いの中で大畑さんはある書籍と出会い、「残業を減らすと会社の業績が上がる」という言葉に強く共感します。著者はワーク・ライフバランス社の社長・小室淑恵さん。紆余曲折を経て大畑さんはワーク・ライフバランス社へ転職します。

ちなみに小室社長は、連載第1回のエピソードで紹介した、大畑さんの「つぎはこれ(育休移住)かな」というSNSに「いいね」を押した人物です。

育休移住で出会った人々から得たもの

庭でとれたマンゴーで「7」を書いて、下の息子の生後7か月のお祝い写真

プライベートが充実すれば、仕事の効率も上がる。身をもって体験した大畑さんは第1子は1ヶ月、第2子は2ヶ月の育休をとりました。

「今だから言えますが、それぞれの育休は中途半端で消化不良な感じでした。男性育休の取得率が2%の時代だったので、キャリアへの葛藤を抱えながら期間を決めてしまいましたが、終わってみればもっと妻と子どもたちと過ごしたかった。第3子は1年とろうと決めていました。

育休は紛れもなく妻のケアと子どものために取得するものです。
でも一方で、家族みんなにとっても有意義のある時間にしたいと思いました。育休移住は私たち家族の多様性を広げてくれるはず。そんな思いが僕をフィジーへと駆り立てました」

年の差は関係なく、みんなで盛り上がる遊びをみんなで考えるのがフィジー流

「実際、フィジーでは現地の方とも、日本人の方ともたくさんの交遊がありました。
フィジー人の人懐っこさに癒されたし、最初に滞在した安宿のスタッフとは仲良しになり、家を借りたあともプールへ遊びに行くといつも歓迎してくれました。

在日本人の方が毎週日曜日に教会へ連れて行ってくださったり、テニスに誘ってもらえたり、地域の集まりに呼んでいただけたり。
一時出国で半月滞在したニュージーランドでは旧知の友人と楽しく過ごし、その後はキャンピングカーでいろんな所をめぐりました。

育休移住で出会った方々は“日本の普通”枠から飛び出た方が多く(笑)、でも現地を楽しみつくしていたり、事業で成功していたりと、とにかく刺激的でパワーに満ち溢れている。日本にいたら出会えなかったであろう人たちとの出会いや交流は、僕の大きな財産となりました」

ママ友のおしゃべりは万国共通で楽しい!

フィジー人のママ友と。ママ友のきずなは国境をこえるのです!

「妻もママ友をしっかり作っていました。

フィジー在住の日本人のママや韓国人のママ、さらにソロモン諸島やフィジー人のママ(英語)など、多国籍のママ友ができて、『カフェ行ってくる~』と、半日以上たっぷりおしゃべりに花を咲かせていました。もちろん自宅へ招いていただいたり、こちらも招いたり。
ちなみに妻は英語はできません。それでもママ友のおしゃべりは万国共通で楽しいようです」

恵吏さんとの夫婦崩壊一歩手前エピソードを「大げさ」と、感じる方もいるかもしれません。
けれども、

「会話が多い夫婦だと思います。家事分担や育児について、色々と揉めましたが話し合いをして解決し、だいたいが笑い話となっています。
けれども新婚時代の話をするときは違うのです。妻は冷めた感じで『そんなこともあったね』と言うだけ。

今から思えば、当時の妻は私に気を遣ってかなり無理していたのだと思います」

と、反省する大畑さん。
そしてフィジーの育休移住も、楽しいことばかりでなく反省点も多かったそう。
第4回はフィジーでの子どもたちの様子のお話を中心に、「今でも胸がチクッと痛む」という、長男くんの保育園エピソードを紹介します。

取材・文/川口美彩子

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年3月の情報で、現在と異なる場合があります。

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