元保育士・イヤイヤ期ヲタクのふじこせんせい。第三子の妊娠中、癇癪を起こした上の子にかけた言葉とは?【体験談】
SNS総フォロワー数20万人。元保育士として、子育てが楽になるYouTubeやInstagramで発信しているふじこせんせい。現在は4歳・2歳のきょうだいを育てつつ、最近3人目を出産しました。今回は“イヤイヤ期ヲタク”を自称するふじこせんせいに、「妊娠中のイヤイヤ期との向き合い方」や「パパとの協力方法」を取材。
3人目、出産間近の時期に実施した全2回のインタビュー企画。後編をどうぞ! 
つわりの時期にきょうだいゲンカが勃発!上のお姉ちゃんが絵本を床にぶちまけた!
――弟くんは2歳のイヤイヤ期ど真ん中で、上のお姉ちゃんは4歳だそうですね。お姉ちゃんのイヤイヤ期は過ぎましたか?
ふじこせんせい そうですね。「やりたくない」と言葉で主張できるようになったり、少しずつ感情をコントロールできるようになったり。空気を読んで「やらなきゃ」と行動する場面も増えてきて、もう“イヤイヤ期どまん中”という感じではありません。ただ、まだまだ甘えん坊で手をかけないとですし、私の対応自体はあまり変わっていないと思います。
――体にも心にも負担のかかりやすい妊娠中と、イヤイヤ期に代表されるような上の子が揺れる時期が重なってたいへん…というママも多いようです。
ふじこせんせい わかります! 私自身もつわりで全然動けなかったとき、とんでもないことが起きてしまいました。
――どんなことですか?
ふじこせんせい 週末、どうしても夫が外出しなくてはいけなくて、私がワンオペで子どもたちを見る日があったんです。
そのときは姉と弟の2人で遊んでくれていたんですが、2人の距離が近い分、ケンカも増えてしまい…。押したり、たたいたりとエスカレートしていったので「危ない!けがするといけないから押さないよ」と止めに入りました。すると、自分と遊ばないママが、注意ばかりすることにストレスを感じたのか、娘が荒れてしまって…。
とりあえず2人が同じ部屋にいると状況が悪くなるので、息子を連れて別室に移動したんですが、しばらくして戻ると、思わぬ光景が。娘が絵本棚を倒し、棚から引っ張り出した絵本を床にぶちまけていました。
「片づけなさい!」ではなく、「好きな絵本を並べてみよう!」と声をかけた
――ぶちまけられた絵本を見て、どう思われましたか?
ふじこせんせい 「ここまでフラストレーションをためていたんだな」と感じましたね。そりゃこうなるよな…と答え合わせをした気分でした。
――そのあと、どう対応されたのでしょう?
ふじこせんせい 子どもたちが2人とも落ち着いて、私の体力も少し戻ってきたタイミングで「この絵本、どうしようか?」と娘に声をかけてみたんです。
すると娘は「やだ!テレビ、見る」と言って。「この状況なら無理に片づけなくてもいいかな」とも思いつつ、試しに「この棚に、りーちゃんが好きな絵本だけ並べてみない?」と提案してみました。
「『パンどろぼう』好きだよね。これ、どこに並べる?」と。すると先ほどまで片づけるのを嫌がっていた娘が「じゃあ、いちばん上!」と提案に乗ってくれました。「ここに置こうね。次はどれにしようか?」と続けて聞くと、答えてくれたタイトルの絵本が少し離れたところに落ちていたので「拾ってきてくれる?」と。そのまま「うん!」と答え、拾って、棚に並べてくれたんです。そうして片づけは進み、最終的には「お片づけができたね!」で締めくくることができました。
いい声かけはゴールではなく、親子が笑顔になるための手段
――素晴らしい声かけですね!ただ、同じようなことが起きたとして、子どもの気持ちを尊重せねばと思いつつも、いい声かけができないママも多いかもしれません。
ふじこせんせい ありますよね。私は「いい声かけをすること」自体がゴールだとは思っていません。大切にしているのはただ一つ、「子どもを笑顔にすること」です。保育士時代からずっと、その思いで子どもと向き合ってきましたし、今も子育てで心がけています。
子どもが笑ってくれると、不思議とこちらのストレスも軽くなり、親子で心地よく過ごせます。声かけはそのための工夫のひとつ。子どもって、楽しそうだと「やりたい!」と自然に動いてくれるので、たとえば先ほどのように「早く片づけて!」ではなく、「好きな本をここに入れてみよう!」と伝えるだけで、自ら行動してくれることもあります。そうすると、親もうれしい気持ちになれますよね。
妊娠中はとくに、体も心も疲れやすい時期。だからこそ、ママが横になりながらでもできる声かけの工夫で十分だと思っています。何より大切なのは、ママも子どもも笑顔でいられること。そのために、子どもが前向きに動けるような声かけや遊びの手数を少しずつ増やしていければ、妊娠中の上の子育児もぐっと楽になると思います。
キツかった1人目の産後。夕方の業務を書き出し、夫と分担することに!
――ちなみに「絵本バラバラ事件」、パパには話したんですか?
ふじこせんせい もちろんです。「これはやばい」と思って、同じ状況が起きないためにはどうしたらいいかを夫婦で話し合いました。私の体調がきつそうな日は、実家やベビーシッターさんを頼るなど、事前に対策を考えておこうと決めたんです。
もちろんワンオペの日もありますが、「本当に無理なときの緊急対応」を夫と共有しておけるのは安心につながりましたね。
――ご夫婦で次の対応を話し合えるなんて、すてきですね。前編でもパパが協力的だとお話を聞きましたが、これまで育児のことでのケンカやすれ違いはなかったのでしょうか?
ふじこせんせい ケンカはほとんどしない夫婦ですが、一つだけすごく覚えていることがあります。1人目の産後、離乳食が始まって少ししたころ、夕方になると赤ちゃんの黄昏(たそがれ)泣きがひどくて…。私は「離乳食を作って、食べさせて、おふろを準備して…」と頭の中でやることがいっぱい。でも当時の夫は、言わないと気づかない部分があり、自分1人でまわしている感にもやもやして、ついきつく当たってしまいました。
このままではいけないと思い、「ちょっといいですか」と、改めて話し合う時間をとったんです。話を聞いてくれた夫が「じゃあ、夕方にやることをこまかいところまで全部書き出して、シフトをつくろう」と。抱っこや食べさせる、おふろに入れるなどは“フロント業務”、おふろの準備や離乳食の調理などは “バック業務”と分け、だれがどの日に何を担当するかを分け、夫の仕事(※在宅勤務で育児は仕事を中抜けして対応)のスケジュールなども考慮しながら、Googleカレンダーに書き込んでいきました。
まずは1週間、フロントとバックをお互いに交代して担当した時点でいったん、話し合いをもちました。夫が「今まで想像できていなかった名もなき家事・育児が見えるようになった」と言い「せっかくだから、もう1週間やってみようか」ということに。2週目もやってみると「食べさせるのは得意だけど、離乳食を作るのは苦手かも」など、お互いの得意・不得意が見えてきたんです。そこからは自然に役割分担できるようになり、「今日はどうする?」とその日の会話だけでまわせるようになりました。
できない自分を認め、周囲に助けを求めるのは、産後に向けた練習となる
――パパとの間にそんな出来事があったのですね。育児においてパパが強力なサポーターであるとうかがえますが、ふじこせんせいのYouTubeやインスタでの活動も応援してくれているのでしょうか?
ふじこせんせい はい。仕事のこともいちばん相談に乗ってくれます。
――素晴らしい! それにしても妊娠&育児で負担の大きい中、YouTubeやインスタを精力的に更新されていて、本当にすごいなと思います。すべてを両立するコツはありますか?
ふじこせんせい 正直、「両立できている!」とは言いにくいです。まわりにたくさん助けてもらいながら、なんとかやっている感じですね。
とくに妊娠してからは、できない自分を責めて、落ち込むことも多くて…。でも、自分を責めても赤ちゃんや自分の体によくない。だから「しんどい」と感じたら、夫や友人に話すようにしています。
もしも同じように妊娠しながら他のことを両立しているママさんがいたら「1人で頑張りすぎないで」と伝えたいです。
妊娠中に「できない」と認めて人に「助けて」と伝えることは、実は産後に向けた練習にもなるんですよね。産後は体も回復途中のさなか、授乳や赤ちゃんのお世話に追われます。すべてを自分でこなすのは到底、無理。ごはんやおふろの準備などを夫にまかせる場面がきっと出てくるので、妊娠中の今から少しずつ家事や育児をまかせて、夫も慣れていくことで、産後も自然に協力し合える関係になるのではと思います。
お話・写真提供/ふじこせんせい 取材・文/江原めぐみ、たまひよONLINE編集部
上の子の対応方法やパパとの分担まで詳しくお話ししてくれたふじこせんせい。インタビューを行った日は、明日から臨月に入るというタイミングでした。ふじこせんせいは、身長141cm。3200g台の子を産んだ2回目の出産がつらすぎたそうで、今回は計画無痛を予定しているとのことでした。
ふじこせんせい
PROFILE
いとこが15人、常に小さい子が身のまわりにいる環境で育ち、5歳のころから保育士を目指す。保育士としての知識と経験を生かし、YouTubeの配信をスタート。子ども向けの手遊び歌などのコンテンツを提供し、一躍人気に。現在は元保育士・年子きょうだいママとして、YouTubeやInstagram、TikTokなどで「イヤイヤ期の子どもの対応」を主に発信中。SNS総フォロワー数20万人。著書に「元保育士のグズらない声かけ145 イヤイヤ期のトリセツ」(講談社)がある。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2025年11月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
『元保育士のグズらない声かけ145 イヤイヤ期のトリセツ』
元保育士で、イヤイヤ期ヲタクのふじこせんせい著。簡単で、思わずマネしたくなる145の声かけをはじめ、イヤイヤ発動のメカニズムやその背景にある脳と身体の発達を、元保育士ならではの視点で解説しています。親も子どもも楽になる、ちょっとしたコツが満載! 1760円(講談社)


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