「突っ込みどころ満載」「再現度高すぎ…!」SNSで大バズリの『サラリーマントーマス』はなぜ生まれた?担当者に聞く
12年ぶりにフルリニューアルされることで話題となっている「きかんしゃトーマス」。実は今、SNS上で再び大バズりしているのをご存知でしょうか。それが、Web限定のショートムービー『サラリーマントーマス』。トーマスたちの声はそのままに、役者演じるサラリーマンたちが“アテフリ”したドラマは、思わずクスッと笑ってしまうコミカルさと、表情豊かな役者たちが生み出すエモーショナルさが魅力。そこで、このプロモーションを仕掛けた、ソニー・クリエイティブプロダクツの担当者にお話を聞きました。
独特のユーモアさが満載! Twitterでも反響の声が続々
きかんしゃトーマスの公式YouTubeチャンネルで、11月17日に公開された『サラリーマントーマス』は、トーマスのストーリーと音声はそのままに、リアルなサラリーマンたちが“アテフリ”をして構成されたショートムービー。公開から約2週間で、第1話の「ソシャゲ沼(あな)におちたトーマス」は約89万回再生(12月4日現在)にものぼり、現在も再生数は着々と伸び続けています。
現在は第1話に続き、第2話「社員用トイレ(きかんこ)のもめごと」、第3話「トーマスとリストラの気配(うわさばなし)」も公開され、3話の総再生回数は116万回(12月4日現在)と、反響の大きさが伺えます。
「『きかんしゃトーマス』を観ていた子どもたちも、今では20〜30代の働き盛り。その世代にとって懐かしい過去作品の中でも、“大人になった今だからこそ、一層共感できるエピソード”が選ばれ、計3話がショートムービーとしてリメイクされています」
トーマスを演じるのは、若手俳優として注目されている前田旺志郎さん。さらに、ゴードンやパーシー、トップハム・ハット卿などを演じる、個性豊かな役者たちの再現度の高い演技にも注目です。
「原作に登場するキャラクターのイメージと関係性を崩さず、表現することを重視しました。表情づくりにもこだわり、各場面の感情をストレートに表現することで、独特のユーモアが溢れる作品になったと感じています。“キャラクターと顔が似ている”という声もいただいているのですが、それは、演者さんたちの表現力の素晴らしさによるものですね」
また、『サラリーマントーマス』のショートムービーの反響はTwitterでも!公式アカウントでのツイートには、2.5万件のいいね、2万件のリツイート(12月4日現在)を記録しています。
またTwitter上でも、「子供の頃に、まさかこんな形で擬人化するとは夢にも思わなかっただろうな。面白かったです!」「トップハムハット卿がなんだかそれっぽくて吹いたww」「常務(ジェームズ)が面白すぎるし、常務の顔芸めちゃくちゃ本家に似てて好きすぎる」「最初、まさか公式さんだとは思わなかった」「サラリーマントーマス、最近の癒やしです。続編心待ちにしております!」といった、さまざまな声が届いています。
“レールを飛び出して挑戦しよう!” 大人になった今こそ響くメッセージも
『サラリーマントーマス』のドラマを作るきっかけとなったのは、あらためて「きかんしゃトーマス」の魅力を、多くの人に知ってもらいたいという思いからだそう。日本でも30年以上もTV放送されてきましたが、今年はTVアニメがフルリニューアルされるという節目ということもあり、これまでにないプロモーションを仕掛けたのだと言います。
「『働く機関車たち』を『働くサラリーマン』に重ね合わせることで、大人になったからこそ心に響くメッセージを伝えられたらと考えています。時代により、アニメーション自体の表現手法は変化してきていますが、75年以上前に作者のウィルバート・オードリー氏が原作絵本の中で描いた“友情とチームワーク”は、どの世代・どの世界を生き抜くためにも大切なものです。そのテーマが『きかんしゃトーマス』シリーズを通して、不変であることをあらためて感じていただけたらうれしいですね」
それぞれのストーリーの最後には、トーマスから学ぶべき「大人のための教訓」が入っています。新入社員である「十升」(トーマス)がミスをしながらも、仕事に奮闘する姿を描いた第1話では、“失敗から学ぶ姿勢を大切に。上司とは良好な関係を築きましょう”というメッセージを伝えてくれています。
「『きかんしゃトーマス』は長く愛されている作品ですので、世代ごとに『ぼくの・わたしの大好きなトーマス』をこれからも愛していただき、リニューアルされるアニメーションも、お子さんと一緒に楽しんでいただけるとうれしいです」
今回のプロモーションでは、ショートムービーの公開と合わせて、働く大人たちに向けてのメッセージを新聞広告に掲載しています。そこには、こんな隠れたメッセージも。アニメの中のトーマスと仲間たちは、仕事中に数多くの失敗をし、全シリーズにおいて249回もレールを踏み外しているのだとか。
「トーマスとその仲間たちは、レールを何度踏み外しても、それでも失敗を恐れません。仲間に支えられながら、ときには“レールを飛び出して挑戦してみること”で、“働く”を楽しくすることができるんだよというメッセージが込められているのです」
『サラリーマントーマス』のショートムービーにも、そして新聞広告にも、現代社会で働く人全員に向けての、こんな想いが込められているようです。
Webドラマの右下には、実際のトーマスのアニメも同時に流れている演出も。右下のキャラクターの表情と、役者たちの表情を見比べてみるのも、このドラマの面白さのひとつかもしれません。ストーリーと合わせて、そんなところにも注目してみてください。
テレビ放送では12月24日より、NHK・Eテレにて新シリーズがスタート。さらに2023年春には「映画 きかんしゃトーマス めざせ!夢のチャンピオンカップ」も公開予定です。懐かしいトーマスの世界をあらためて感じたのきっかけに、お子さんと一緒に新しく生まれ変わったトーマスも楽しんでみてはいかがでしょうか。
© 2022 Gullane (Thomas) Limited.
取材・文/内田あり