藤井四段で話題の”モンテッソーリ教育”を見てきました!
将棋界において最多の29連勝という偉業を達成した、最年少プロ・藤井聡太四段。たぐいまれな集中力、思考力の持ち主である藤井四段ですが、幼少期にモンテッソーリ教育を受けていたことが注目されています。
モンテッソーリ教育とは、いったいどんな教育法なのでしょうか? 日本でいち早くモンテッソーリ教育を導入した、学校法人高根学園「横浜・モンテッソーリ幼稚園」を取材しました。
1・2才から、なんでも自分でできる工夫が
モンテッソーリ教育は、子どもがだれでも生まれながらにして備えている「自分でやりたい!」という欲求を大切にします。そのため、なんでも1人でできるような環境が整えられています。
横浜・モンテッソーリ幼稚園には、1・2才のプレスクールがあります。まずはプレスクールの様子から見学させてもらいました。
まず目に飛び込んできたのは、女の子の登園の様子。脱いだ上着をハンガーにかけて、ハンガーラックにしまっています。男の子は自分で上履きを履いています。子どもがなんでも1人でやって、保護者や先生は静かに見守っています。
「子どもが1人でできないところは大人がゆっくり手本を見せて教えます。そうすると最初から最後まで子ども1人でできるようになっていきます」(理事長・髙根澄子先生)
“1・2才では難しいのでは?”と思うような動作も、上着をハンガーにかけやすくするためにフックをつけた台(写真上)を置いたり、上履きの左右がわかりやすいようにアップリケ(写真下)をつけたりと、子どもが無理なくできて、理解しやすい工夫が施されていました。
包丁やはさみにもチャレンジ!
子どもたちが包丁できゅうりを切ったり、はさみで紙を切ったりする様子は、プレスクールでは日常の風景。つい「危ないから持たせたくない!」と思ってしまいますが、みんな器用に切っていて、危なっかしい様子は見られません。
ほかにも、大きな針と毛糸で紙を縫ったり、花に水をあげたり、靴下を洗って干したりなど、生活する上で必要な動作が活動に組み込まれています。
登園した子どもたちは、自分のやりたいことを探し、自分でエプロンをつけて、洗濯や食器洗いの場合は水をくむことから始めます。
「モンテッソーリ教育の生みの親であるマリア・モンテッソーリは、“手は外の大脳”と言い、1・2才のころは手指を動かし使うことを重視しています。手指を使った生活の動作ができるようになることが、子どもたちにとっては生きる喜びになるのです」(髙根先生)
食器洗いが好きな子は、何度も食器洗いの行程(水をくむ→洗剤を入れる→食器を洗う→泡を流す→水をきる→食器をふく→食器をしまう)を繰り返します。パズルが好きな子は、真剣にパズルに取り組みます。納得するまで取り組んだら、違う教具を自分で選んだり、先生がすすめたりして、次の活動に向かいます。
大人が無理強いせず、子どもが「やりたい!」と思うことを自由にできる環境を整えてあげることが、好奇心や集中力をはぐくむコツなのかもしれません。
幼稚園は異年齢の縦割りクラス
次に幼稚園のクラスに移動。3・4・5才の異年齢が一緒に過ごす縦割りクラスです。
縦割りクラスのいいところは、年長の子は年少の子の面倒を見る、年少の子は年長の子にあこがれてまねをするという、きょうだいのような人間関係を経験できるところ。年長の子は助ける力や責任感が養われ、年少の子は新しいこと、難しいことに挑戦する力や勇気が芽生えてきます。
幼稚園でもプレスクールと同様、子どもは自分の好きなことを選んで過ごします。3才以上になると、みんなで先生を囲んで一緒に歌を歌ったり、外遊びをしたりすることも。
とくに印象的だったのは、置いてある教材がより高度になっていること。
「モンテッソーリ教育では“教具”と呼ぶ、感覚に訴えかける教材を用います。教材は子どもたちの成長度合いに合わせて、順次入れ替わります。新しい教材を子どもに提供するときは、先生が使い方をやって見せます。けれど、教えるのは最初だけ。そのあとは子どもが好きなように取り組みます。そうすることで、自分で考える力がつくのです」(髙根先生)
世界地図のパズルや色の濃淡が描かれた色板、数の概念を覚えるためのビーズが連結されたものなど、子どもたちはさまざまな教材の中から自分の興味のあるものを選び、思い思いに向かっています。
ひらがなを練習したり、足し算や引き算をしたりする“学習”が、モンテッソーリ教育では活動の延長線上にあることに驚きました。そのため、自然と知識が身につき、興味がどんどん深まるため、自然と高度な知識、広い知識を獲得していきます。
大人が先回りしてあれこれ指示をして強制するより、子どもの興味を深められる環境をつくることこそが、結果的に子どもの成長につながるのかもしれません。
モンテッソーリ教育には、好きなことに好きなだけ集中して取り組むことができ、納得がいくまで追求できる環境が不可欠です。モンテッソーリ教育を受けた人の中には、「マイクロソフト」創業者のビル・ゲイツや、「フェイスブック」創業者のマーク・ザッカーバーグなど、時代に変革を起こす人が多くいます。新しい価値を生み出す人たちは、モンテッソーリ教育のような、好きなことを追求できる環境から生まれるのかも。おうちでまねできることもいっぱいあるので、取り入れてみては? (取材・文/ひよこクラブ編集部)
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