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節分の誤えん防止対策。かたい豆、なぜ5歳以下の子に食べさせてはいけないのか【小児科医】

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節分、日本の伝統行事
●写真はイメージです
kuppa_rock/gettyimages

2023年の春の節分は2月3日(金)です。「みんなが健康で幸せに過ごせますように」という願いを込めて、悪いもの(鬼)を追い払い、よいもの(福)を呼び込むために「鬼は外、福はうち」と言いながら豆まきをしたりします。「節分が近づくと心配になるのが、豆の誤えん事故です」と小児科医・太田文夫先生は話します。
「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#29は、「気をつけたい豆まきの豆の誤えん事故」についてです。

2021年の消費者庁の呼びかけでは、「5歳以下の子どもにはかたい豆を食べさせない」

日本外来小児科学会リーフレット検討会では「節分の豆まきで気道異物事故を起こさないで!」という情報を構成し、たまひよONLINEでも以前から発信しています。
このコンテンツを初めて作成したころには「かたい豆などは3歳以下の子には食べさせないで」が定説でした。コンテンツの中でも、こういった事故を起こすのは圧倒的に3歳以下が多いからと力説していました。

しかし、2021年の節分を前にしての消費者庁の呼びかけでは「食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!気管支炎や肺炎を起こすおそれも、硬い豆やナッツ類等は5歳以下の子どもには食べさせないで」となり、警鐘を鳴らしています。その変更に合わせ、私たち日本外来小児科学会リーフレット検討会の発信も対象年齢を上げました。

14歳以下の子どもの窒息事故の9割が、5歳以下で発生している

なぜ2歳も年齢を上げたのでしょうか。実は、2020年に4歳の保育園児が節分の豆をのどに詰めて死亡するという痛ましい事故が起きたことによるのだそうです。

誤えん事故はどの年齢でも起こりえます。小学校高学年の子どもが学校でパンの早食いをしていて窒息死した事故もありました。
お正月におもちをのどに詰まらせてしまうお年寄りもいます。
子どもに注目すると、14歳以下の子どもの異物による窒息事故では5歳以下が9割だというデータがあり、事故をゼロに近づけるために対象年齢を3歳から5歳に上げた変更だとわかりました。

0歳児は自分で豆をまいたりしないから、事故にあうことはなく大丈夫かというと、そうではありません。1歳近くなると小さな豆を1個ずつ拾って口に入れてしまいます。

上の子がいる家庭で、0歳児が豆を誤えんしたヒヤリ事例も

節分の夜に、豆が気管に入った事故に遭遇したことがあります。ちょうど私が夜間救急当番に当たっていた日、外来が始まったばかりの19時過ぎに、家族で豆まきをしたあと、0歳の下の子が急に息苦しそうにしていると、あわてて受診した親子がいました。母親は下の子が豆を口にしていたり、手でつまんでいる様子は見ていないというのですが、その子の様子と、豆まきをしていた状況から、「豆の誤えん事故」の可能性があるので精密検査のできる病院と相談をしているうちに、下の子の苦しそうな様子がおさまり、通常の様子になりました。
母親は「もう大丈夫だから帰ります」と話して、クリニックから帰ろうとしましたが、どうにか説明をして、説得をして精密検査のできる専門病院に救急車で行ってもらいました。CT撮影の結果、豆が気管に入り込んでいることがわかりその晩に緊急手術となりました。手術で無事豆を取り出すことができたと報告を受け、胸をなでおろしたことを覚えています。

豆の誤えんは、のどの奥にあるとゼロゼロ苦しい、もっと奥に入り込むと一見落ち着いたように見えるものなのです。誤えんしたかどうかは症状だけではわかりません。ひょっとして口に入れてしまったために苦しがっているのかなと思ったら、夜でも急いで受診しましょう。

もうすぐ節分が来ます。今年こそ誤えん事故なく過ごせますように。

文・監修/太田文夫先生

構成/たまひよONLINE編集部 

いわれのある伝統的なイベントを経験することも大切かもしれません。でも子どもの命を危険にさらすわけにはいきません。5歳以下の子どもには小さくてかたい豆はNGです。小袋に入った豆を使ってみる、殻つきの落花生で代用する、など工夫をしてみませんか。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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