落ちてしまったけれど “受験してよかったこと” とは? 3人きょうだい長男の国立小学校受験【体験談】
親の“リサーチ力”も大事と言われる小学校受験。周囲に受験する子がいないと興味があっても「どんな習い事をすればいいの?」「費用はどれぐらいかかる?」など気になることがたくさんありますよね。地方都市住まいで3人きょうだいの長男が国立小学校の受験をしたというMさんの体験談を聞きました。
きょうだい3人中1人落ちることも…受験への葛藤
――小学校受験をしようと思ったきっかけはなんですか?
「国立小学校の説明会に行ったとき、子どもの自主性を伸ばせそうな教育方針がいいなと思い、本格的に入学させてみたいと考えるようになりました。子ども自身も受験しないと入れない“未知な小学校”に興味を持っていて受験に対しても前向きでした。
わが家は子どもが3人おり、周りのママから『きょうだい3人中1人落ちた』という話も聞いたこともあったので、そうなったときの子どもの精神的ダメージが心配で受験を迷っていましたが、引っ越しをして学校から家が近くなったため1人目の長男だけでも受験してみようとチャレンジすることになりました」
――どのような塾に通っていましたか? かかっている費用も教えてください。
「年少の12月から幼児塾に通い、英語、手習い、体操にも通っていました。
すべて合わせて月で3.5万円ほどです。幼児塾の費用はコース内容によりピンからキリまででしたが、わが家は比較的緩めのコースを選択しました。模試は2回で5万円ほどかかり、びっくりしました。習い事のほとんどは本人の希望もあり受験が終わった今も通っています」
勉強中に下の子が乱入!集中できる時間を作るのが大変
――1日のスケジュールを教えてください。
「習い事がある平日の1日の流れ
9:00 登園
15:00 降園
16:00 習い事
17:30 帰宅
18:00 夕飯
21:00 就寝
火・水・金の帰宅後や土曜日は習い事に行っています。
宿題は前日の19時から19時半ぐらいにすませます。
幼児塾の宿題は毎週、国語のテキスト4ページ、算数プリント4枚ぐらいで週によって違います。苦手なところを授業で確認して、その進度に合わせて宿題出してくれます」
――受験までに苦労したことはなんですか?
「勉強より遊びを優先してしまうときが大変です。下の子2人が勉強の邪魔をするので、集中するのが難しいときもしばしば……。そういうときは、寝る前に勉強時間をずらして下の子のお世話をパパに任せています。宿題の中でわからないことがあるときは、実際にやってみて検証することもあります」
不合格で落ち込むも…小学校受験で得たものは?
――受験結果が出たあとの子どもや親の心境を聞かせてください。
「試験は集団テストで、遊びのようなものもあり子どもは『楽しかった』と言っていました。
封書で届いた結果を、親から子どもへ伝えました。不合格だったのですが残念さがあまり伝わらないよう『残念だったけど、(行くことになった)◯◯小学校もいい学校だよ!」』ポジティブなテンションで夫から伝えてもらいました。
息子は最初『あーあ』と落ち込んでいました。周りのお友だちが応援してくれていたこともあり、知らず知らずにプレッシャーがかかっていたのかもしれません。しかし、夫が『なかなか入れない学校ってなんか気になっちゃうよね。そんな感じで受けただけだし気にすることないよ』と言うと、『そうだね!』と納得し、気持ちを切り替ることができたと思います。
親である私たちは正直なところちょっとホッとした部分もありました。2人目の受験のことを考えるとちょっとプレッシャーだったので……」
――受験してよかったなと思うことはなんですか?
「集中力がついたことです。最初は落ち着いてイスに座っていられなかったのに、今では落ち着いてできるようになりました。
また、勉強する習慣が身についたこともよかったです。苦手意識を持たず自然に勉強ができるようになりました。それを見た下の子もマネして一緒に勉強するようになりました」
たしかにきょうだいがいる子どもの小学校受験は「きょうだい全員同じ小学校に通わせてあげたい」と思うと、親としてもプレッシャーがかかりますよね。結果は残念でしたが、集中力がついたり、勉強を自主的にするようになったり、小学校受験で得るものはいっぱいあったと語ってくれました。今後下の子の受験は考えていないそうですが、子どもたちの習い事は続けていくとのことでした。(取材・清川優美)
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
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