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5月31日は「世界禁煙デー」。乳幼児の誤飲事故が増加している加熱式たばこ。煙が出ないから大丈夫は大きな間違い【専門家監修】

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泣いている赤ちゃんを授乳するベビーシッター
●写真はイメージです
maroke/gettyimages

国民生活センターでは、「なくならない乳幼児による加熱式たばこの誤飲に注意-最近では金属片が内蔵されたスティックの誤飲もー」と題したリリースを発表し、乳幼児の加熱式たばこの誤飲事故の注意喚起をしています。日本中毒情報センターに寄せられる、たばこを誤飲したときの対応に関する問い合わせも、2021年は加熱式たばこが7割を占めています。
子どもの事故に詳しい、小児科医 山中龍宏先生に加熱式たばこの誤飲の実態について聞きました。
山中先生によると、「家族の喫煙の問題点は健康被害、子どもの誤飲事故だけでなく、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクも高める」と言います。5月31日は「世界禁煙デー」です。この機会に禁煙について真剣に考えてみませんか。

日本中毒情報センターのたばこを誤飲したときの対応に関する問い合わせの7割が、加熱式たばこについて

加熱式たばことは、たばこ葉やそれを加工したものを燃焼させずに、電気的に加熱しエアロゾル(霧状)化したニコチン等を吸入するたばこ製品です。喫煙後の吸い殻は、そのままごみ箱に捨てても火災の危険はないとされています。

「灰が出ない、たばこの煙のにおいがしないということで、紙巻きたばこから加熱式たばこに変えたパパ・ママもいると思います。
日本中毒情報センターによると、2021年の1年間に、たばこを誤飲したときの対応に関する問い合わせ件数は4137件にのぼり、加熱式たばこ(吸い殻、浸出液含む)が7割を占めています。紙巻きたばこの誤飲に関する問い合わせは、ここ数年減少しています」(山中先生)

子どもがごみ箱から吸い殻を拾って誤飲するのは、加熱式たばこの特徴

国民生活センターによると、医療機関ネットワーク(※)に寄せられた6歳未満の加熱式たばこの誤飲事故情報は、2017年度以降の約6年間(2022年10月31日まで)で112 件にのぼります。年齢・月齢別に見ると、9~11カ月が 41.1%(46件)で最も多く、6カ月~1歳2カ月が83%(93件)を占めています。

事故の事例は次のとおりです。

【事例1 10カ月・男の子】

保護者が洗濯をしている間、子どもを部屋にわずかな時間1人で待たせていたところ、ごみ箱に捨ててあった加熱式たばこの吸い殻をつかみ口に入れていた。すぐに口の中の吸い殻は出したが、心配になったため受診した。

【事例2 11カ月・女の子】

ママとキッチンにいた子どもが、床に置いている、口が開いたままのごみ袋から加熱式たばこの吸い殻を取り出して、1.5㎝程度かじっていた。パパが喫煙者で、いつも吸い殻をそのままごみ袋に捨てていた。嘔吐などはなかったが、受診後、4時間ほど経過観察し、翌日、確認のため再受診した。

【事例3 9カ月・男の子】

子どもが加熱式たばこのスティックを口にして、たばこ葉の部分がなくなっていた。吐きけがあるようで受診した。胃洗浄を行い、1時間ほど外来で経過観察し状態が落ちついたため、帰宅した。


「たばこの誤飲事故は、はいはいやつかまり立ちを始めたりすると増えます。加熱式たばこの誤飲事故が増えている理由には、パパ・ママ世代で紙巻きたばこから加熱式たばこに変えた人が増えたというのが、まず一つでしょう。

もう一つは、火を使わないために管理がずさんになりがちということが考えられます。事例1や2のように、ごみ箱やごみ袋から吸い殻を拾って誤飲するというのは、紙巻きたばこではほぼ見られなかったことです。

また加熱式たばこは、たばこ葉の入ったスティック(カプセル)が小さいものが多く、子どもの手の届く場所に置いていると誤飲しやすいです」(山中先生)

国民生活センターが2022年9月~11月に、16品のテスト対象銘柄を調べたところ、カプセルで最も小さいのは直径約1cm×長さ2.4cm。スティックは直径約7mm×長さ4.5cmでした。

子どもが誤飲して、医師がメーカーに成分を問い合わせても、詳細がわからなかったことも

中には「加熱式たばこは紙巻きたばこのように煙が出ないので、健康被害は少ないのでは?」と考えている人もいるかもしれません。しかし2019年12月、日本呼吸器学会では「加熱式たばこや電子たばこが産生するエアロゾルには有害成分が含まれており、健康への影響が不明のまま販売されていることは問題である」「加熱式たばこや電子たばこが紙巻きたばこよりも健康リスクが低いという証拠はなく、いかなる目的であってもその喫煙や使用は推奨されない」と発表しています。

「加熱式たばこが日本で販売されたのは、2013年12月からです。販売から約10年しかたっておらず、健康被害については明らかになっていません。
また新しいたばこのため、子どもが誤飲したとき、医師が販売元に電話をして加熱式たばこの成分を確認したところ、詳細な回答が得られなかったこともあります。
その医師は、子どもの顔色が悪かったため、紙巻きたばこ1本分を誤飲したものと考えて胃洗浄を行い、入院させ経過観察を行いました」(山中先生)

加熱式たばこを誤飲して、顔色が悪い、嘔吐するなど異変があったら、診察時間外でも受診を

国民生活センターが、2022年9月~11月、16品を対象に加熱式たばこ1本分のたばこ葉中のニコチン量を調べたところ、約3~9mgでした。すべての銘柄で、1本分のたばこ葉を誤飲してしまうと吐きけ・嘔吐をもよおす可能性があることがわかりました。
もし子どもが加熱式たばこを誤飲した場合は、次の対処法をしましょう。

【加熱式たばこを誤飲したときの対応・1】口の中に残っているたばこを出す

口の中をよく見て、口の中に残っているたばこを急いで出しましょう。指を入れるなどして、嘔吐させる必要はありません。

【加熱式たばこを誤飲したときの対応・2】子どもの様子を24時間観察する

「顔色が悪い」「嘔吐する」「元気がない・食欲がない」「呼吸がおかしい」ときは、診察時間外でもすぐに受診を。
「いつも通り元気で、変わった様子がないときは、24時間子どもの様子をしっかり観察してください。受診は診察時間内で構いません」(山中先生)

お話・監修/山中龍宏先生

図提供・協力/国民生活センター 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

2019年に国内で肺がんと診断された人は、12万6548例でした。喫煙は、肺がんだけではなく、脳卒中や心筋梗塞などの病気のリスクが高くなることがわかっています。
山中先生は「喫煙は乳幼児がいる家庭では、誤飲だけでなく、SIDS(乳幼児突然死症候群)の大きな危険因子にもなります。そうしたリスクを考えて、パパやママには禁煙してほしい」と言います。

※医療機関ネットワーク事業は、消費生活において生命または身体に被害が生じた事故情報を、事業に参画する医療機関から収集し、同種・類似事故の再発・拡大防止を図ることを目的として、2010年12月から運用が開始された、消費者庁と国民生活センターの共同事業です。2023年4月現在32機関が参画しています。

●記事の内容は2023年4月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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