産後、丸1日家事・育児から解放された母はわずか24%。しかし「必要ない」という意外な声も…その理由は?【ママたちのリアルボイス】
「たまひよ」アプリユーザーに、「出産後、家事・育児を一切せず、自由に過ごせる1日(病気や下の子の出産時を除く)はありましたか?」と、質問。約60%が「なかった」と、回答しました。しかしコメントを読み解くと「必要とは感じない」という声が意外に多くありました。3児の父であり、育休取得の経験があるワーク・ライフコンサルタントの大畑愼護さんに聞きました。
出産後、家事・育児を一切せず、自由に過ごせる1日はありましたか?
なかった 58.3%
あった 23.7%
どちらとも言えない 14.7%
その他 3.2%
「あった」は約24%。自由時間をどのように過ごしているのかと、質問すると
「赤ちゃんは夫にまかせて月3回程度。買い物したりマッサージに行ったり、美容系のことをしたり」(シャンティ)
「夫が休みの日は『好きなことしなよ』と、言ってくれるので友だちに会ったり、自由に過ごさせてもらっています。もちろん夫にもそういう時間を作るようにしています。だけど、やっぱり我が子が泣いてないか気になる…」(さぁこ)
と、定期的に満喫している人は少数派。
「1年に2回程」(ぴょんた)
など、自由時間を過ごせた日数は片手ほど、というコメントが目立ちました。
もし、自由に過ごせる1日があったら、何をしますか?いちばんやりたいことをひとつだけ選んでください
1位 ショッピングや外食など外出 48.6%
2位 ひたすら家でゴロゴロ 14.3%
温泉でのんびり 14.3%
4位 その他 6.7%
5位 趣味(手芸、山登りなど)をひたすらする 5.7%
6位 動画や映画を観まくる 4.8%
7位 たまった家事をする 3.8%
8位 漫画や小説など読みまくる 1.9%
1位はダントツで「ショッピングや外食など外出」と、なりました。普段の買い物や外食は子どもファーストとなるため、「自分ファーストでゆっくり買い物したい、外食したい!」と、思うようです。
そして「なかった」という母に「自由に過ごせる時間は欲しいですか?」と、質問。「欲しい!」という切実な声が届きました。
今まで1日もない、家事を済ませてから出かける、など「欲しい!」派の声
「欲しい!欲しい!欲しい!1日の中で自分のために使える時間なんて歯みがき・洗顔くらい。トイレすら急いだり我慢したり。笑顔で子育てするためにも自分の時間をしっかり作って、ストレス発散させないと無理」(こけこっこ)
「自由に過ごせるというよりも、子どもや家族がいるとやらなければ!という使命感にかられるので自分1人だけになれる空間がほしい」(ゆりっぺ)
「欲しいけど現実的には無理かな。ママ以外の抱っこや授乳は大泣きして拒否するので」(ob)
「友人と出かけることはありますが、最低限の育児と家事をしてから外出するので“全く何もしない”は経験がありません。夫にとっても貴重な休日なので頼みにくい」(mayomayo)
コメントは不満爆発かと思いきや、「必要と感じていない」という声も意外に多くありました。
家族で過ごしたい、など1日は必要と感じない派
「母乳なので丸一日は無理」と、あきらめているママとともに、「赤ちゃんが気になってゆっくりできないと思う」という声が届きました。
「夫は育児や料理はできるので、私がいなくても平気です。むしろ夫は『行ってきなよ!』と言いうので、いつでも行けるんですがね……(笑)」(ブロッコリー)
「今は何かしたい時にそれをできる時間があればいい。一日はいらないかな」(ちゃん)
「今は自分の時間より、家族一緒の時間が大切」(さこ)
とはいえ、アンケート回答者の約70%が共働き。育児、仕事の両立でストレスはそれなりに溜まっているようです。
ワーク・ライフバランスコンサルタントの大畑愼護さんに伺いました。大畑さんは第3子誕生の際には1年間育休を取得し、なんと家族5人で南国フィジーにへ育休移住をしたという経歴の持ち主です。
「意外にも、日本の男性は世界で一番やる気があるんです」と、専門家
「僕も育休当時、一人でトイレに行く時間すらソワソワ、お風呂で流し残した泡もタオルで無理やり拭き取っていた頃の忙しさを今でもよく覚えています。
だからこそ『家事育児から解放された自由な丸一日』が、夢のまた夢と感じる気持ちはよくわかります。
日本の男性は『育児家事参画時間は短い!』とばかり言われますが、実は違うようです。
『ポストイクメンの男性育児』(著者:平野翔太/中公新書ラクレ)に掲載されている国立成育医療研究センターの竹原健司氏の研究データによると、仕事時間や食事時間を除いた『自分が自由になる時間』の中で、育児家事に割いている時間の割合は、他国の男性の1.2~1.3倍ほどもあるんです。育児家事参画する意思は、時間さえあれば強いということがわかっています。
つまり父が育児に関われないのは日本の労働時間の長さが原因であり、家庭参画したい気持ちは世界一強いと思われる日本の男性に、ぜひ家事と育児という“楽しみ”を共有していきましょう!」
愛情ホルモンがパパの育児参加を阻む⁉
「子どもとスキンシップを取ることで分泌されるオキシトシンは“愛情ホルモン”といわれる一方で、実は“攻撃ホルモン”の一面があることはご存じですか?
たとえ夫でも、育児に非協力的だったりすると攻撃の対象になり『自分(母)だけで育児をしなければ』という考えに駆り立てられ、これがいわゆる『ママブロック』につながるとも言われています」
「社会で我が子を育てる」はじめの一歩
「子どもをパートナーに任せるために、何からはじめる?というのはどの家庭でも話題にあがるテーマです。
迷う時は『第三者に任せる』を選択肢に加えてみてください。
例えば、産後の骨盤矯正を子連れOKの整骨院で受けてみる、子連れOKの美容院に通ってみるという行動は、1時間ほどプロの保育者が子どもを預かってくれることで任せる練習にもなりますし、さらに自分自身のメンテナンスとリフレッシュができます。
『泣いたらかわいそう』『夫に任せるなんて申し訳ない』という気持ちに駆り立てられる方が、外部の人を頼りにして“任せる免疫”をつけると『夫にも任せやすくなる』と聞いたときは、私も思わず『なるほど』と、膝を打ちました。また、家族以外の第3者に任せることを通して、良くも悪くも自分や親から受け継いだ子育ての固定概念に気が付くこともメリットとしてあります。
夫婦で話し合い、是非に検討してみてください」
大畑愼護(おおはた しんご)
前職では全国を駆け巡る激務をこなし、やりがいを感じながらも長時間労働の弊害を実感。そこで個人及びチームの業務内容などを見直し・改善して残業時間半減を実現します。その経験を生かして生産性の向上を提言するワーク・ライフバランス社へ転職。コンサルタントとして、企業の講演・研修を担当し多数のメディアにも出演しています。
プライベートでは3児の父。前職では激務のせいで一家離散の一歩手前でしたが、こちらも見事に立て直し、第3子誕生の際には1年間の育休をとって一家5人で南国フィジーへ育休移住を決行しました。プライベートではトライアスロンに挑戦するなど、既成概念にとらわれず仕事・家庭・自分の時間の充実を提案する型破りイクメンパパです。
文/和兎 尊美
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2023年6月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数156人)
※記事の内容は2023年7月の情報で、現在と異なる場合があります。