「かかりつけの産科医に誘われたことをきっかけに表紙モデルに」たまひよ創刊時に登場したママ&赤ちゃん30年間の軌跡【30年の子育てhistory#1】
『たまごクラブ』『ひよこクラブ』は今年で創刊30周年を迎えます。30周年を記念して、1993年に創刊した『たまごクラブ』『ひよこクラブ』に登場してくれた赤ちゃんとその家族を募集したところ、50組を超える応募をいただきました!その中から、何組かの親子に登場いただき、たまひよ30周年特別企画『30年の子育てhistory』をリポートします。今回は『たまごクラブ』創刊2号にモデルとして登場した横内博美さんと、今年30歳となる娘の若林美里さんに、これまでの30年を振り返ってもらいました。
産婦人科医に誘われ、 『たまごクラブ』の表紙モデルに
――博美さんは1993年『たまごクラブ』創刊2号の表紙を飾りました。その経緯を教えてください。
博美さん(以下敬称略) 当時私は26歳で、歯科医院の受付をしていました。その近くにあり、私のかかりつけでもあった産婦人科の先生に、“妊娠に関する情報誌を創刊するにあたり、読者モデルを探しているようなのだけどやってみたら”と声をかけられました。当時『たまごクラブ』は創刊準備をしていて、モデルを公募していない時期でした。そのため編集部から産婦人科の医師にモデルを紹介してほしいと相談をしていたようでした。
その産婦人科の先生を信頼していましたし、気軽な気持ちでお話を受けることにしました。表紙の撮影は写真スタジオでおこなわれ、プロのカメラマンに撮っていただいて、とても緊張したのを覚えています。同時に、クリスマスデート企画の撮影もあったのですが、高級ホテルでおこなわれ、すてきなマタニティ服を何着も着せてもらい、とても楽しかったです。急きょ、付き添っていた夫もモデルとして登場することになり、驚きました。
出来上がった雑誌はとてもすてきな仕上がりで、うれしかったです。勤めていた歯科医院のみんなにも“かわいい!” “すてき!”とほめてもらえました。ちょうど同じ時期に妊娠をしていた友人も『たまごクラブ』を購入してくれて、その後モデルに応募したそうです。
美里さん(以下敬称略) 何歳のときかは覚えていないのですが、子どものころ母に『たまごクラブ』を見せてもらい、とても驚きました。そのときの母がとてもうれしそうで、母にとって『たまごクラブ』の表紙を飾れたことはすごくいい 思い出になっているのだな、と感じました。
“出産と育児は女性の仕事”という意識が強かった時代
――『たまごクラブ』に登場したあとの妊娠生活、出産、子育てについて教えてください。
博美 私は出産予定日の1カ月前まで受け付けの仕事を続けていました。当時は産休や育休の制度はあまり整っていませんでしたね。でも、 おなかが大きくなると高いところにあるカルテを取るときや、重いものを運ぼうとすると同僚がやってくれることも。娘が生まれるとすぐに、勤め先の歯科医院の先生たちが産院にお祝いに駆けつけてくれましたし、とてもあたたかい職場でした。妊娠中は出勤すると私より先に、おなかに向かって“おはよう”と言われていたぐらい、娘は大切にされていました(笑)。
今は、男性の立ち会い出産や育休は珍しくないことですが、30年前はそんな人は少数派。夫にも“立ち合いはしたくない”と言われ、ひとりで娘を出産しました。まだまだ一般的には“出産と育児は女性の仕事”という意識が強かったと思います。
出産後は里帰りをしました。私の母が布おむつを用意してくれたのですが、洗濯が大変でした。自宅に戻ったらすぐ紙おむつにしました(笑)。あと、夜寝るときは暖房をつけてはいけないと言われていたので、寒い部屋で夜間の授乳をするのがつらかったですね。今はそんなことないし、便利なグッズもいろいろありますが、当時は寒さに凍えながら授乳するしかなかったのです。
産後は、職場から「子連れで事務の仕事を続けてくれないか」と言われていたこともあり、復帰したい気持ちはあったのですが、引っ越しが決まったこともあり、やむなく退職することになりました。当時は、女性は結婚や出産で退職することが多い時期。振り返ってみるとありがたい言葉だったな、と思います。退職後は子育て中心の生活を送り、娘の成長に合わせて内職やパートと勤務時間を増やしていき、自立しはじめた、40代のころからフルタイムの仕事を始めました。
子育て30年。変わったこと、変わらないこと
――それから30年。『たまひよ』は今年で30周年を迎え、美里さんも30歳になります。美里さんは26歳のときに結婚。空(そら)ちゃんを授かり、28歳で出産して現在育休中です。美里さんの妊娠、出産、育児はいかがですか。
美里 幼少期はのびのび遊ばせてもらい、学生時代も部活や旅行、バイト、資格取得などやりたいことを思いきりやらせてもらいました。そして今、自分が親になってみて、子育ての大変さを実感しています。母を含め、世の中の親というのはこんなにもすごいものか・・・と尊敬の念に堪えません。
妊娠、出産の時期はコロナ禍と重なり、本来できることもできないことが多くて残念でした。夫の立ち会い出産もかないませんでした。娘は、産後すぐ授乳時にチアノーゼが出て保育器に入っていたため、抱っこできたのは生後3日経ってから。面会なども禁止されていたので、チャットで夫や母とやりとりはしていたもののとても不安でしたね。
母は里帰りをしたということですが、私はしませんでした。母はフルタイムで勤務していますし、夫が育休を3カ月取得したからです。産後3カ月間という、いちばん大変な時期を夫婦で共有できたのは、これから子育てを一緒にするうえでとてもよかったと思っています。お互いの信頼・協力関係を強固にすることができました。
博美 義理の息子が育休を3カ月も取得すると聞いて、とても驚きました。赤ちゃんの夜のお世話も夫婦でしていたと聞き、30年も経つと変わるものだな、と感じたと同時にとてもいいことだと思いました。あと、30年前になかったものとしてはインターネットやスマホですね。仕事でなかなか娘や孫に会えなくても写真や動画で成長を見守ることができたり、気軽にチャットができたり。とても便利になりました。
この30年で妊娠や出産を取り巻く環境はいろいろ変わりましたが、変わらないものもあると思います。子どもへの思いです。生まれてきてくれてうれしい、大切にしたい、という気持ちは変わらないし、これからも変わらないと思います。
美里 私も同じです。子どもというのは本当にかけがえのない、大切な存在です。私と母がそうであるように、これから娘ともたくさん話をして、たあいのないことで笑い合えるような関係でありたいと思っています。
お話/横内博美さん、若林美里さん 撮影/矢部ひとみ 取材・文/岩﨑緑、たまひよONLINE編集部
今回の取材で博美さんが持参してくれた『たまごクラブ』は、30年前のものとは思えないほどきれいな状態でした。当時の編集者の名刺もきれいに保管してあり、博美さんにとって『たまごクラブ』の撮影はとてもいい思い出として刻まれているのだな、と感じてうれしくなりました。これからも、読む人にとって「たまひよを読んでいたころはいい思い出」と思われるような存在でありたいと感じました。
●記事の内容は2023年5月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
たまひよ創刊30周年特別企画が続々!
「たまごクラブ」「ひよこクラブ」は、2023年10月に創刊30周年を迎えます。感謝の気持ちを込めて、豪華賞品が当たるプレゼント企画や、オリジナルキャラクターが作れる「たまひよのMYキャラメーカー」など楽しい企画が目白押しです!たまひよ30周年特設サイトをぜひチェックしてみてください。