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小児科医が解説★梅雨前後は熱中症になりやすい!?乳幼児も注意を!

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熱中症は、暑い場所で起こる真夏のトラブルと思っていませんか?

最も起こりやすいのは7月中旬~8月上旬ですが、梅雨の前後には《真夏よりも低い気温》で熱中症が発生しやすくなることがわかっています。
そして、《暑さとは無縁と思われる地域や環境》でも起こるのが、熱中症の怖いところです。
埼玉県吉見町の『たばた小児科』院長・田端裕之先生に、気をつけておくべき点と対策などについてうかがいました。

昨年に熱中症で救急搬送された乳幼児は482人!

昨年の5~9月に、全国で熱中症によって救急搬送された50,412人のうち、乳幼児(※)は約1%。少なく思えますが、数にすると482人にもなり、決して安心できる数ではありません。

昨年6月に救急搬送された人だけでも3,032人で、乳幼児も45人(1.3%)おり、6月も危険度が高いことがわかります。

※乳幼児:生後28日以上、満7歳未満の者
データ出典:総務省消防庁「「平成28年の熱中症による救急搬送状況」」より

そもそも、なぜ熱中症になってしまうのでしょうか?

「屋外で強い直射日光に長く当たったり、高温で湿度の高い場所にずっといたりすると、人は大量に汗をかきます。汗をかくことで体の熱を放出し、体温調整をしていますが、あまりに大量になると体の水分や塩分が失われて脱水状態になり、体温調節機能が乱れてしまいます。すると体内に熱がこもり、体温が急激に上昇してしまうのです。

とくに小さな子どもは、体の機能が未熟で、初期症状からあっという間に症状が進行してしまうので、大人が気をつけることが必要です。

また梅雨の時期は、体がまだ暑さや湿度に慣れていません。少し気温が上がっただけで、大きなダメージとなってしまうので、こういうときほど注意しましょう」

「家の中なら大丈夫」も大間違い!

「家の中も、熱中症の危険がある《意外な場所》の1つです。
閉め切った家の中は風通しが悪くなり、湿度が高くなって熱中症が起こりやすくなります。とくに真夏の寝苦しい夜は、リスクが高くなるので気をつけてください。

暑くて寝苦しい夜、赤ちゃんがいるご家庭は、エアコンを利用するのが賢い方法です。室温を24~28度に設定して、エアコンの風が直接体に当たらないようにしましょう。

建物自体に熱がこもっていると、寝入りばなの2~3時間だけエアコンをつけても、切れた後に部屋の温度が急上昇して熱中症になることがあります。日中もエアコンをつけて建物自体の温度を下げておくか、朝までエアコンをかけておく方が安心です」

おぼえておきたい!乳幼児の熱中症の「サイン」と「応急処置」

以下のような症状が出たら、熱中症のかかり始めの危険性があります。

・顔が赤く、抱っこすると体が熱い 
・元気がなく機嫌が悪い 
・唇が乾燥して、おしっこの量が少ない


さらに進むと以下のような症状が出てきます。

・汗をかかなくなって手足が冷たくなる
・ぐったりして母乳やミルクを飲まない 
・お腹の皮膚に弾力がない
・目の焦点が合ってない


「熱中症の症状があっても、意識がしっかりある場合はあわてる必要はありません。以下の3つの応急処置をして様子をみましょう。
ぐったりしている、よびかけても反応がなく意識状態が低下している、痙攣しているなどの症状が見られたら、迷わずすぐに病院へ。屋外で病院の場所が分からないときは救急車を呼びましょう」

熱中症の応急処置1:涼しい場所で寝かせる

「まずは、クーラーが効いた室内や車内に移動します。屋外で、近くにそのような場所がない場合は、風通しのよい涼しい日かげで休ませましょう」

熱中症の応急処置2:衣服をゆるめて体を冷やす

「衣服をゆるめて風通しをよくし、体から熱を放出しましょう。
氷のうや保冷剤をタオルで包んだものや、ぬれたタオルで、首筋やわきの下、足の付け根などを冷やします。
皮ふに水をかけて、うちわや扇風機などであおぐことでも体を冷やすことができます」

熱中症の応急処置法3:少しずつ水分補給する

「母乳やミルク、水、お茶などを与え、水分補給をします。汗をたくさんかいた場合は、少量の糖分や塩分を含んだイオン飲料などを与えるといいでしょう。一度にたくさん飲ませると吐き出してしまうこともあるので、少しずつ飲ませてください。
ただし、嘔吐を繰り返したり、どうしても飲めない場合は速やかに病院へ運びましょう」

どうやって防ぐ? 熱中症を予防する3つのポイント

「小さな子ども、とくに乳幼児は、暑さや体の不調を言葉で十分に伝えることができず、暑さ対策ができません。遊びに熱中してしまい、暑いのを忘れて熱中症になる場合もあります。
顔色や汗、体温や泣き方など、赤ちゃんや子どもの様子をまわりの大人が気にかけることが、熱中症対策の基本です。

とくに、〝寝ているから〟〝ちょっとの時間だから〟と暑い場所に子どもを放置するのはとても危険。車内に置き去りにすることは絶対にやめてください。

そして以下の予防ポイントを実践して、これからの季節を上手に乗り切りましょう」

熱中症予防のポイント1:こまめに水分補給をする

「小さな子どもは新陳代謝が活発なため、汗や尿として体から出ていく水分が多く、脱水を起こしやすい体です。水分を多く含む食事や、定期的な水分補給を心がけることが大切。お出かけするときは水筒やペットボトルを持ち歩くようにしましょう」

熱中症予防のポイント2:涼しい服装で直射日光を避ける

「熱がこもらない涼しい服装で、日光をさえぎる帽子などを身につけさせましょう。気温と湿度に合わせて脱ぎ着できる服装が便利です。

子どもは背が低く、ベビーカーに乗っている場合も多いので、地面からの照り返しの影響を大人よりも受けやすい環境にあります。ベビーカーでお散歩する時は日陰を歩くようにしたり、真夏は正午から午後3時の散歩や外遊びを控えるなど、直射日光を避ける工夫も大切です」

熱中症予防のポイント3:日ごろから外遊びをさせて暑さに慣れさせる

「いつもいつもエアコンの効いた部屋にいて汗をかかずにいると、暑さに弱くなります。暑さに慣れていないと、それほど高くない温度・湿度でも熱中症になってしまうことが。
日ごろから適度に外遊びをさせて、暑さに強い体づくりを心がけましょう。本格的に暑くなる前から運動させることが大切です」

熱中症は、いつでもどこでもだれでも、条件次第でかかる危険性があります。でも、正しい予防方法を知り、普段から気をつけることで防ぐことができます。
環境省の『熱中症予防情報サイト』では、熱中症予防を目的とした指標『暑さ指数(WBGT)』を、地区別に毎日表示しています。暑さ指数が28度を超える時は熱中症にかかりやすくなるので、お出かけ前にチェックするのもおすすめです。


プロフィール
田端 裕之(たばたひろし)
日本小児科学会認定小児科専門医。群馬県立小児医療センタ−勤務を経て、現在は埼玉県比企郡吉見町に「たばた小児科」を開業。
埼玉県小児科医会理事、比企医師会小児科担当理事などを歴任。10年前の「比企地区夜間こども救急センタ−」設立に大きく貢献した。
現在は比企医師会副会長、埼玉県医師会代議員を担当し、医師会の運営に尽力している。
地元医療の底上げに熱心に働きかけていて、患者さん達から『子ども特有の体質や病気に対する知識と経験が豊富』と大きな信頼を得ている。
日本小児科学会、日本小児循環器学会、日本川崎病学会、日本小児救急医学会、日本小児アレルギ−学会に所属。

院ホームページ:http://www.tabata-clinic.jp/

※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。

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