子どもに優しい国、シンガポール。日本との子育て環境の違いとは?【鈴木ちなみインタビュー】
シンガポールでの子育ての様子を「たまひよONLINE」で好評連載中のモデルでタレントの鈴木ちなみさん。今回は、ちなみさんの日本への一時帰国中にインタビュー!日本とシンガポールの子育ての違いや、1歳11カ月になるお子さんの成長の様子、保育園での生活などについて改めて話を聞きました。
シンガポールはだれもが子どもに優しい国
――家族3人でシンガポールに暮らすちなみさん。海外での生活はどうですか?
ちなみさん(以下敬称略) 2021年9月に出産し、夫の仕事の都合で移住を発表したのは2022年の6月のこと。1歳にも満たない子どもを連れて移住したら一体どんな生活になるのか、あまり予想がついていませんでした。
実際、シンガポールに住んでみて感じていることは、非常にキッズフレンドリーな国だということ。大人たちのだれもが子どもに対してとっても優しいんです。シンガポールに移住した日本人の先輩ママたちもみなさん口をそろえて「子育てしやすい」と言うし、子連れでシンガポールに旅行にくる友人たちも「シンガポールは子どもに優しい国だね」と感想をもつ人が多いです。
たとえば、ベビーカーで近所のスーパーに買い物に行き、エレベーターの前に立つと「先にどうぞ」と譲ってくれます。ぎゅうぎゅうに混んでいるバスも「乗ったらいいよ」と声をかけてくれて、ベビーカーごと乗せてくれたりもして、あたたかさを感じます。子どもが泣いていても気にしないし、「うるさい」と言われるようなことなんてありません。本当に子連れでのびのび過ごせます。
――今回の日本への一時帰国時、子連れでの過ごしやすさに違いを感じますか?
ちなみ 日本に帰国して子連れで移動するとき「静かにさせなきゃ」「子どもがぐずらないようにしなきゃ」と無意識に気を張っている自分に気がつきました。
数日前、子どもを連れて電車に乗っていたら「席をかわりますよ」と声をかけてくれた人がいたんですけど、私は「1駅だから大丈夫です」と遠慮してしまったんです。でも、せっかくの厚意を受け取ればよかったって、後から反省しました。シンガポールなら自然と人からの優しさを受け取れるのに、日本だとなぜか遠慮してしまったんです。なんかそんな雰囲気があるというか・・・。
でも、優しさを素直に受け取って甘えれば、声をかけてくれた人にも喜んでもらえたんだろうなって、後から思ったんです。だから日本で子育てしてるお母さんたちは、遠慮しないでもっとまわりに甘えてもいいんじゃないかな。そうすれば日本でも子どもに対しての優しい輪が広まっていくのかもしれない、と感じたできごとでした。
英語・中国語・日本語・・・、子どもがさまざまな言語や文化に触れる機会がある
――お子さんは今保育園に通っているそうですが、なんの言語を使ってコミュニケーションしていますか?
ちなみ シンガポールの公用語は英語・中国語・マレー語・タミール語の4つがあり、英語と中国語のバイリンガルが多いです。私の子どもは保育園に通っていますが、朝8時から夕方5時まで過ごす中でのコミュニケーションは基本は英語です。その園には中国語の先生もいて、中国語の授業もあります。自宅では日本語の会話が100%なので、子どもは日本語は理解しているけど、言葉として出るのは英語のほうが多いです。appleとかshoeとかsitとか、washとか・・・。たまに「謝謝(シェシェ)」と中国語が出ることも。
クラスも多国籍で、子どものクラスには現地の子もインド系の子も、欧米の子もいます。そういった環境で学べていろんな言語や文化に触れられるのは貴重な経験だと思っています。
――ちなみさん自身は英語のコミュニケーションについてはどうですか?
ちなみ 私は英会話を習っていましたが、移住後に実践で勉強している感じです。シンガポールで暮らす中では、保育園の先生とのやり取りや、病院を受診するときに子どもの症状を説明する場面で、日常会話とは少し違う英語でのコミュニケーションが必要なことがあります。
たとえば、シンガポールは常夏なので1年中手足口病がはやってるんです。ちょうど先月、子どもが保育園でもらってきてかかってしまいました。日本だったら発熱が下がって食欲があれば発疹(ほっしん)が治らなくても保育園に預けられると聞きましたが、シンガポールでは発疹が出てから5日間は保育園を休まないといけませんでした。その際の登園許可証を発行してもらうやり取りでは、買い物のときのような日常会話とは使う単語が違うので、その都度自分で調べて、頭の中で会話を組み立ててから英語を話すように準備しています。
――小児科は現地の病院にかかっているんでしょうか?
ちなみ シンガポールには、日本語でやり取りできる日系のクリニックが多くあるんです。ただ少し自宅から遠いので、今回子どもがかかった手足口病のようなときは、歩いて行かれる距離にあるローカルの小児科を利用しています。
そしてスケジュールを組んで計画的に受ける必要がある予防接種などは、自宅からちょっと遠めのところにある日系のクリニックを利用しています。
子どもはイヤイヤ期。何をするにも自分の意思を主張するように
――最近のお子さんの成長や発達の様子について教えてください。
ちなみ 子どもは1歳半を過ぎて、絶賛イヤイヤ期です。食事でいえば、スプーンを使うときに私が手伝おうとすると嫌がる、コップ飲みは自分でコップを持ちたがる、などですね。自分の意思が出てきた成長は喜ばしいけれど、まだ上手にできるわけではなく汚しちゃったりするから、それに合わせるのは大変!子どもの「やりたい」「自分で!」にあんまりダメといいすぎると、子どもの機嫌が悪くなって私も困って・・・と悪循環になってしまうので、しつけと本人の意思を尊重するバランスが難しいですね。
そういうときの工夫としては、自分でコップ飲みをしたがったら、色のついた飲み物をこぼすとシミになるから、コップには水しか入れないとか・・・(笑)、できるだけ子どもの意思を尊重しつつ、自分のストレスがちょっとでも減るように工夫しています。
逆に楽しいところは、お話ができるようになってきたことですね。つたない言葉でもやり取りできるのはとっても楽しいです。あとはすごく感情が豊かで、楽しい曲がかかると踊り出しちゃう子なんです。感じるままに表現する様子がほほ笑ましくて、かわいいな〜としみじみ思います。
できるだけ余裕を持って子どもとの時間を楽しみたい
――ちなみさんが「楽しく子育てするための3つのルール」をあげるとしたら、どんなことですか?
ちなみ まず1つ目は「手抜きできるところはどんどん手を抜くこと」です。たとえば子どもに栄養を考えた離乳食をしっかり食べさせたいと思っても、本人があんまり食べたがらないこともありますよね。そういうときは、ちゃんとうんちが出てれば食べない日があってもいっか! と力を入れすぎないようにしています。
2つ目は「無理をしないこと」。疲れて思うように家事ができない日は体を休めることを優先します。自分の体と心が元気じゃないと、子どもにも余裕を持って接してあげられないですよね。
3つ目は「自分の心がハッピーになることを心がけること」。そのためにも、しっかり睡眠をとって、疲れをためないようにしています。リフレッシュには、お気に入りの動画を見たり、友だちとおしゃべりしたり。そうやって自分の体も心も少し余裕を持つようにして、大好きな子どもと過ごす時間を一緒に楽しみたいと思っています。
本当に睡眠はとっても大切にしています。たっぷり寝たいと思っています。
――今、ちなみさんがいちばんハッピーになることはどんなことですか?
ちなみ うーん、でもやっぱりいちばんは子どもと遊ぶことなんですよね。近所をお散歩したり、公園の遊具で遊んだり・・・休みの日は午前と夕方に一緒に外出するんですけど、道端のこんなものに興味を持つんだな、とか、こういう遊具で遊べるようになったんだ、とか、成長を感じる瞬間がたくさんですごく楽しくて幸せです。
お話/鈴木ちなみさん 撮影/アベユキヘ 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部
インタビューにはお子さんも一緒に来てくれました。たまちゃん、ひよちゃんの大きなぬいぐるみと遊ぶ様子を見て「いつもは人見知りがすごいのに、今日はのびのびしていてびっくり!」とちなみさん。すてきなママの笑顔がいっぱいの取材となりました。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年8月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
鈴木ちなみさん(すずきちなみ)
PROFILE
1989年生まれ。2008年モデルデビューし、ファッション雑誌「with」の専属モデルに。フジテレビ『めざましどようび』のリポーターをはじめ、テレビ番組やCM、映画などに出演。20年に結婚。21年9月、第1子出産。