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乳幼児期での親子のコミュニケーションが、将来の学業成績にも影響する?【脳医学者】

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グラフィックを持つ赤ちゃんのモデルのワイヤーフレーム。
※写真はイメージです
jm1366/gettyimages

コミュニケーション能力は、将来の学業成績にもかかわるともいわれるそうです。そのコミュニケーション能力を高めるには乳幼児期に親子の会話をたくさんすることが大切なのだとか。東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生の短期連載 第8回のテーマは「コミュニケーション力の高め方」について。11才の男の子のパパでもある瀧先生に、子どもの脳の発達から見る子育てのヒントについて聞きました。

親子のコミュニケーションの多さは学業成績にも影響する?

――子どものコミュニケーション力の発達には、脳のどの領域がかかわっているのでしょうか。

瀧先生(以下敬称略) 脳は部位によって成長のピークを迎える時期が異なります。コミュニケーションの力は、私たちの脳の機能の中でも、より高度な認知機能といわれます。コミュニケーションにかかわるのは脳の前頭葉にある、前頭前野と呼ばれる部位で、もちろん小さいころから少しずつ発達しますが、そのピークは思春期ごろといわれています。
人とコミュニケーションをとるには、言葉をやりとりする言語、表情から相手の感情や気持ちを理解して適切な行動を取る共感性、社会的に正しい行動をする社会性などの能力が複合的に絡み合い、脳のすべての領域を協調して使っています。

――子どものコミュニケーション力を伸ばすには、小さいうちからたくさん会話をするのがいいのでしょうか?

瀧 はい、乳幼児期の親子のコミュニケーションの大切さについてはいくつもの研究があります。親から肯定的な言葉でたくさん話しかけられた1〜2才の子どもは、そうでない子どもより、3才になったときに覚えている語彙(ごい)の数が2倍だった、という研究(※1)や、子どもに肯定的な声かけをしながらお世話をすると、学童期以降の子どもの学力がアップするという研究(※2)もあります。

また子どもへのかかわり方は、言葉だけではなく豊かな表情や身ぶり手ぶりでのコミュニケーションも大切です。表情やしぐさなどと一緒に、子どもたちは言葉を覚えたり、感情を理解したりする力を身につけていきます。

まずは子どもの話をよく聞いてあげることが大切

――言葉を覚えたての子どもの話も、よく聞いてあげるといいのでしょうか?

瀧 子どもは言葉を覚える前は、ある言葉に対して、その言葉の意味の境界があいまいです。たとえば、猫を目にしたとき、それが猫なのか犬なのかの違いをよくわからないのです。でも別の機会に犬を目にして、なんだかこの前の動物と見た目が違う、鳴き声も違うようだ、とわかり始め、さらに大人に「わんわんだね」「にゃーにゃー、ねこだよ」と教えてもらって言葉を獲得し、猫や犬の概念を作っていく、といわれています。
ですから親は、一緒に見ているものに対して子どもが何を知りたいのか、訴えているかをしっかり聞いてあげることが大切です。子どもが犬を見て「にゃーにゃー」と言っていたら「ちがうよ、あれはわんわんだね」と教えてあげ、子どもはあれは犬だ、と知ることができます。

――親子だけではなく、家族みんなで会話の機会を増やすことは子どもにいい影響がありますか?

瀧 脳には可塑性と言って変化をする力があるので、コミュニケーションの力をつけるには、たくさん話す機会を持つことです。自分のコミュニケーションスキルがないとか、コミュニケーション下手だという人もいますが、それは下手なのではなく、機会が少なかったと考えるのが正しいでしょう。ですから、機会をたくさん作ってあげる、つまり家族みんなでたくさん会話することがとても大切です。

家族でコミュニケーションの量を増やすためには、共通の話題を持つといいでしょう。勉強でもゲームでも、音楽やスポーツなどの趣味でも、親が好きなことや、一緒にやって楽しいことだと、話も弾みやすいですよね。
また、子どもが好きなことに親が興味がなかったとしても、少しだけでも子どもが何をしているか勉強してみると、子どもが好きな理由や、そのことの面白さがわかることもあります。子どもも親が自分の好きなことに興味を持ってくれると、自分からどんどん話しかけてくれると思います。

また、ママやパパだけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんなど、いろいろな大人と会話をすると、自分と違う状況や立場の人を理解したり、違う世代や違う価値観に触れることで多様性を理解することにもつながるでしょう。

脳医学者パパ・瀧先生の子育て体験を教えて!

――瀧先生ファミリーはとっても仲よしだと思いますが、どんなことを話しますか?

瀧 学校のできごとなども聞いたりもしますが、妻もピアノが趣味なので、家族で音楽の話をすることはよくあります。私は1年前からドラムを習い始めたのですが、そのきっかけとなったのが、子どもが好きで一緒に見ていたNHKの子ども向け音楽番組です。番組の最後に出演者みんなでバンドセッションをするのですが、それを何回も見ていて自分もやりたいな、と思って始めました。ドラムを練習していたところ、あるときセミプロの方たちと一緒にバンドセッションをする機会に恵まれました。

そこで息子に「バンドってめちゃくちゃ楽しいぞ」と話し、私の演奏がYouTubeで配信されたので、それを見せたところ、彼もさらに軽音楽に興味を持ち始めたようで、軽音楽部がある中学校に行きたい、と進学へのモチベーションにもつながったようです。彼はピアノを習っているので「キーボードをやりたい」と言っています。

【瀧先生に聞く】ママ・パパからの気になるQ&A

子育て中のママやパパの困りごとや悩みに、瀧先生からアドバイスをもらいました。

【Q】4才と2才のきょうだいがけんかばかりします。親は口出ししないほうがコミュニケーション力が育つでしょうか?

【瀧先生より】
息子は一人っ子なのできょうだいげんかはないですが、私自身は年子の兄とよくけんかをしていました。一生分のけんかをしたんじゃないかというくらいハードなけんかをしていましたが、親にはあんまり止められなかったと記憶しています。けんかしながら、これだけたたくと相手がどれだけ痛いとか、これ以上やったら相手がめちゃくちゃキレるだろうとわかってきて、力を加減することを学んだように思います。けんかはしないに越したことはないですが、決して悪いことばかりではなく、学んだことも大きかった気がします。ある時期から不思議とけんかはしなくなり、今では兄とはとても仲よしです。
けがや命の危険にかかわることはすぐに止める必要があると思いますが、そうでなければ少し様子を見てもいい気もします。

【Q】保育園の先生から、ひとり遊びが好きであまり自分からお友だちと遊ばないと言われ、人とかかわる力が弱いのかと心配です。

【瀧先生より】
僕がまさにこういう子どもだったと聞いています。幼稚園のときは1人で遊ぶのが好きで、あまりにも人とかかわっていなかったので、親は心配していたと思います。
友だちとのコミュニケーションって、人によっては結構難しいですよね。せめて家庭の中でたくさん温かいコミュニケーションをしてあげるといいと思います。家族との会話でも、コミュニケーションの力は十分育ちます。あせらず見守ってあげてください。

お話・監修/瀧靖之先生

取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

まだ言葉を話せない赤ちゃんなら、声や表情をよく見てあげる、言葉を覚えてきたらお話をよく聞いてあげる、その上でたくさん楽しく声かけをしたり会話をしたりすることが、子どものコミュニケーション力を高めるのだそうです。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

(※1) Hart B. et al. "Meaningful Differences in the Everyday Experience of Young American Children",Baltimore,MD:P.H.Brookes Publishing,1995

(※2) Hart B. et al.,Developmental Psychology,28(6),1096-1105.,1992

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