エイジングケアに【作り置きNG食材】が⁉ 管理栄養士が缶詰をすすめる理由とは
毎日忙しく、気づけば肌はくすみ、髪はパサパサ……。なんていうことはありませんか。
じつは、普段の食事を少し工夫するだけで、食べ物がからだの内側から美しさを作り出すのを手伝ってくれるのです。この記事では、管理栄養士がアンチエイジングに焦点を当て、美肌・美髪を手に入れるための秘訣をお伝えします。
からだ・肌・髪を老化させる原因
無駄なく効果的なアンチエイジングを目指すためには、目に見える不調だけにアプローチするのではなく根本解決が大切です。からだ、肌、髪のパーツごとに老化の原因を詳しくみてみましょう。
からだの老化原因
からだの老化の主な原因は活性酸素です。
活性酸素とは、呼吸で体内に取り入れた酸素を使ってエネルギーを生み出す際に発生する物質。細胞伝達物質や免疫機能として働きますが、多くなり過ぎると細胞や組織にダメージを与え、老化の原因となります。
活性酸素は呼吸以外に、ストレスや紫外線、偏った食生活、酸化した食品の摂取などによって過剰に発生する場合があるので、普段の生活で注意が必要です。
肌の老化原因
肌の老化の大きな原因は紫外線です。
地表に届く主な紫外線はUV-A、UV-Bの2種類。UV-Aは表皮の下の真皮にまで届き、肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンを変性させたり壊したりすることで、しわやたるみの原因に。一方、UV‐Bは肌表面の表皮にダメージを与え、炎症や日焼け、しみの原因になります。
また、乾燥も肌を老化させる要因のひとつです。エアコンの使用などで空気が乾燥して肌の水分量が低下したり、強い洗浄力の食器洗剤や洗顔料で肌に必要な皮脂まで奪われたりすると、保湿機能が低下して肌が乾燥し、ツヤがなくなって、カサつきやしわの原因になります。
髪の老化原因
ツヤやコシがなくなる髪の老化は、食事に問題がある場合があります。
髪は頭皮にある毛乳頭で血液から栄養を得て作られます。そのため、栄養不足や血流の悪化によって頭皮の状態が悪くなると、髪質も低下しやすくなるのです。
とくに、授乳期は栄養を赤ちゃんに優先的に供給するため、食事の量やバランスに偏りがあると、髪の健康が損なわれやすくなるため注意しましょう。
【からだを元気に!】活性酸素を除去する方法
ママの健康や美容に大きく影響するのが食事です。
老化をすすめる食べ物に注意し、活性酸素の害を防ぐ抗酸化作用のある食べ物を摂り入れましょう。機能性成分(必須栄養素ではないが、健康や美容に効果が期待できる成分)を効率的に摂れる調理法も一緒にご紹介します。
抗酸化作用のある食べ物
活性酸素の発生や働きを抑える作用を、抗酸化作用といいます。
抗酸化作用を持つ物質を抗酸化物質とよび、緑黄色野菜に含まれるβ‐カロテンなどのカロテノイドなどがその代表です。ニンジンやカボチャ、ブロッコリーやホウレンソウなど色が鮮やかな緑黄色野菜を積極的に摂りましょう。
抗酸化物質には加熱により抗酸化活性されるものがあり、たとえば、ニンジンやナス、ホウレンソウなどです。
ニンジンは焼き加熱、ナスは電子レンジ加熱、ホウレンソウは蒸し加熱によって抗酸化活性が見られたとの報告があります(※1)
注意が必要な食べ物
テイクアウトやお惣菜を利用する際は注意が必要です。
作られてから時間がたった食べ物は酸化していて、活性酸素の産生を促します。とくに、脂質は酸化しやすいので要注意。
脂質を多く含む肉や魚は作り置きせずに、調理したらすぐに食べるといいでしょう。また、油は使いまわしたり、長時間火にかけ続けたりしていると酸化します。唐揚げやフライ、ドーナツなどの揚げ物は、信頼できるお店の商品を選ぶか、自宅で調理すると安心です。
【肌を若々しく!】しみを改善する方法
紫外線から肌を守るためには、からだの外側と内側の両方からの対策が必要です。肌質や暮らしに合った日焼け止めの選び方と、肌によいとされる食べ物をご紹介します。
紫外線対策をする
紫外線から肌を守るためには、日焼け止めの使用が重要です。
日焼け止めを選ぶ際には、SPF値とPA値、UV耐水性に注目しましょう。SPF値は紫外線B波(UV-B)から肌を守る効果を1〜50で示し、数値が大きいものほど防止効果が高くなります。
PA値は紫外線A波(UV-A)から肌を守る効果を「+」「++」「+++」「++++」の4段階で示し、+の数が多いほど防止効果が高くなります。
また、プールやアウトドアなど水に浸かることが想定される場合は、UV耐水性のある日焼け止めを選びましょう。
日焼け止めは利用するシチュエーションに合わせて選ぶのが大切です。必要以上に数値が高い日焼け止めは、落としにくいなど肌に負担をかける場合もあり、肌トラブルを引き起こす原因にもなりえます。以下を参考にしてみましょう。
<SPF・PA値の選び方例>(※2)
・水に触れない短時間の屋外活動(散歩や買い物など):SPF10〜30、PA+~++
・水に触れない長時間の屋外活動(ハイキングやスポーツなど):SPF30以上、PA+++以上
・水に触れる・浸かる長時間の屋外活動(洗車やガーデニング、マリンスポーツなど):SPF30以上、PA+++以上、UV耐水性あり
しみに効く食べ物
しみの改善に欠かせない栄養素は、肌細胞の材料となるたんぱく質です。
肌の細胞が一定の周期で生まれ変わるターンオーバーが正常におこなわれると、しみになってしまった肌細胞が皮膚の表面に押し上げられ、垢としてはがれ落ちます。
しかし、たんぱく質が不足し新しい肌細胞がうまく作られなくなるとターンオーバーがとどこおり、しみとして肌に残ってしまうのです。
忙しいママも手軽にたんぱく質を摂れるおすすめ食材は、ツナやイワシ、サバなど、青魚の缶詰です。青魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)には血流改善効果(※3)が認められていて、肌のターンオーバーを促してくれます。
また、これらの魚の缶詰には、抗酸化作用のあるビタミンEも含まれているため、からだの老化予防も期待できるでしょう。
缶詰はストックしておけば買い物に行く時間がないときに、おかずとしてそのまま出せることはもちろん、冷蔵庫のあまりものの野菜と炒め物にしたり、炊き込みご飯にしたりするなど簡単にアレンジが効くことも魅力的です。
【髪の毛つやつや!】美髪を生やす方法
美髪は、栄養豊富な血液が頭皮に届けられることで作り出されます。そこで、血流を改善して頭皮を健康に導くツボと、美髪に欠かせない栄養素を含む食べ物をみてみましょう。
頭皮の血流を促進するツボ押し
頭皮の血流を促進するのに効果的なツボは「通天」です。
「通天」は頭にあるツボで、鼻筋から左右に親指の幅分外側で、前髪の生え際から指6本分後ろに位置します。押しやすい中指などでじんわり押してみてください。
また、気持ちのいい範囲で少し円を描くように強めてもいいでしょう。やさしく1日に数回おこなうことで効果が期待できます。
髪にいい食べ物
美髪に欠かせない栄養素は亜鉛です。
亜鉛は髪のたんぱく質合成に欠かせない栄養素で、不足すると髪がパサついたり抜けやすくなったりする心配があります。亜鉛を多く含む食べ物は豚肉や牛肉の赤身です。バラではなくモモやカタ、リブロースを選ぶといいでしょう。
なお、食物繊維には亜鉛の吸収をさまたげる働きがあります。健康や美容のために意識していたとしても、食物繊維を食べ過ぎると髪質の低下につながるので注意しましょう。
食べ物の力で健康で美しく!
からだ、肌、髪を老化させる原因を知ると、その場しのぎではない効果的なアプローチができるようになります。食べ物に含まれる栄養素や機能性成分は内側から美しさをサポートしてくれるので味方につけたいですね。
忙しい日常のなかでも、少し工夫するだけで健康なからだと美しい肌、髪を手に入れることができますよ。
<参考文献>
※1 福岡県農林水産試験場「加熱処理が野菜抽出物の抗酸化活性に及ぼす影響」久保田朗 山下純隆
※2 日本化粧品工業会「紫外線偏」
※3 日本水産株式会社「サラサラ生活向上委員会」動脈硬化にEPA血管年齢を若く保つ!
PROFILE
あんしん漢方 管理栄養士
小原水月(おはらみづき)
管理栄養士・健康食育シニアマスター。社員食堂で300以上の料理を修得、ダイエット合宿所・特定保健検診の業務に携わり600人以上の食事と生活習慣改善を個別サポート。自身の出産後の体調不良から食事と漢方で体調改善・増進の経験を生かし、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。「心も体も食べたものだけで作られる」をモットーに簡単で時間もお金もかけずに元気になれるレシピを発信中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211332f2tmhy00010042