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0~5歳は脳の土台となる脳幹「からだの脳」が作られる時期。小児脳科学者がすすめる脳科学の知見にもとづいた「ペア練」とは?

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赤ん坊を抱くアジアの若い母親
●写真はイメージです
itakayuki/gettyimages

乳幼児期は、脳がぐんぐん発達する時期です。とくに0~5歳ごろは、生きていくための土台の「からだの脳」をしっかり育てることが大切です。そこで欠かせないのが、ママ・パパが正しい知識を身につけて、規則正しい生活習慣を築くことです。
小児脳科学者 成田奈緒子先生がすすめる、家庭でできるペアレンティング・トレーニングの方法と、からだの脳の育て方について、成田奈緒子先生に聞きました。「脳育て」3回シリーズの1回目です。

脳科学の知見を交えた実践メソッド「ぺアレンティング・トレーニング」とは!?

成田先生が代表を務める、子育て支援事業「子育て科学アクシス」では、「ペアレンティング・トレーニング」(以下ペア練)を推奨しています。

――「ペア練」とはどのようなものでしょうか。

成田先生(以下敬称略) 子育て科学アクシスで行っている「ペア練」は、ママ・パパが正しい知識を身につけて生活習慣などを改善することで、子どもがよりよく発達していくことをめざしているものです。
脳科学の知見を交えながら、さまざまな科学データをもとに考案された実践メソッドになります。

一方「ペアレント・トレーニング」というものもありますが、これは1960年代にアメリカで開発されたプログラムで、知的障害や発達障害をもつ子どもがいる家族を対象に子どもの行動変容を目的に、ママ・パパがほめ方や指示のしかたなどの養育スキルを身につけることをめざしています。ペア錬とペアレント・トレーニングは違うものです。

――ペア練は、ママ・パパや子どもがいつから始めてもいいのでしょうか。

成田 ペア練は、ママ・パパが学ぶことを目的にしているので、早いにこしたことはありません。妊娠中から始めても構いません。もっと言えば、親になる前の高校生からのカリキュラムに加えてほしいくらいです。
そしてペア練は、子どもが何歳になるころまでに行わないといけないというルールもありません。「うちの子、育てにくいな」と思ったり、子育てに不安を感じたら、そのときが始めどきです。早いにこしたことはありませんが、いつからでも始められます。

――ペア練が必要な親子とは、どのような親子でしょうか?

成田 どのような親子が取り入れても、取り組んでも構いません。ただ、中でも取り入れてほしいのは、生まれつき神経質だったり、不安になりやすかったりする子のママ・パパや、ママ・パパ自身が不安になりやすいタイプなどです。脳神経系の遺伝子の配列には型があり、その型によって性格傾向などに若干の差があることがわかっています。
たとえばセロトニンという神経伝達物質が脳内から減ると、不安を感じたり、落ち込みやすくなります。セロトニンの分泌量を左右するのが、セロトニントランスポーター遺伝子ですが、この遺伝子の型によっては、生まれつきセロトニンの分泌量が少ないために、不安になりやすい傾向があります。

「ちょっとしたことでよく泣く」「ママ・パパから、なかなか離れない」「育てにくい」と感じたりしたときは、ペア練の考え方を取り入れることをおすすめします。

からだの脳を育てるには、子どもの意思で早起き・早寝ができるようになることがカギ

成田先生が「からだの脳」と言っているのは主に脳幹のことです。脳幹は寝て、起きて、ごはんを食べて、体を動かすのに必要で、まさに生きるための脳です。
脳幹を育てるには、0~5歳ごろの早起き・早寝習慣が欠かせません。しかし、いつまでもママ・パパ主導で早起き・早寝をさせるのは、脳の発達にはプラスにならないそうです。大切なのは子どもの意思です。

――ペア練は、子どもの脳の発達を促すことにも有効でしょうか。

成田 脳の発達を促すのに、とても有効です。とくに乳幼児期の脳の発達でまず大切なのは「からだの脳」をしっかり育てることです。

からだの脳を育てるために大切なのは、子どもの意志で早起き・早寝などを行うことです。ママ・パパが「朝よ。起きなさい」と言って起こしたり、「もう夜だから、寝なさい」と言って、布団に入るように促すことを繰り返すだけでは、実は脳の成長にはプラスになりません。「〇〇しなきゃ(起こさなきゃ、寝かせなきゃ、食べさせなきゃ)」は大人の都合で、子どもを大人のルールに従わせているだけです。

――子どもの意志で早起きできるようになるペア練を教えてください。

成田 まず朝は5~7時には起こして、カーテンを開けます。5分ぐらいお散歩をしたり、ベランダに出たりして朝日をたっぷり浴びてください。目から太陽の光が入って、脳が刺激を受けることで、ハッピーホルモンと呼ばれる脳内物質セロトニンや元気ホルモンと呼ばれるコルチゾールが大量に分泌されます。これを繰り返して朝型の脳を作ることで、子どもは自分から早起きするようになります。起こされて起きるのではなく、自分で起きることが大切です。起こされるのは親の時計がメインの考え方です。

――子どもの意志で早寝するようになるペア練を教えてください。

成田 からだの脳は、15時を過ぎるとメラトニンという脳内物質を分泌し始めます。メラトニンが体温を下げて、筋肉の緊張をほぐし、脳を休ませて少しずつ眠りにつく準備を始めるのです。
人は体温が下がらないと眠りにつきにくいです。そのため入浴は、就寝の1時間以上前には済ませてください。時間がない日は、お湯で絞ったタオルで顔や体をふいてあげて、翌朝、おふろに入るようにしましょう。
就寝前に体温が上がらないように、部屋を暖め過ぎていないかもチェックしてください。
また眠る前に、体を動かして活発に遊んだり、動画を見たりするのは睡眠の妨げになります。
眠る前は、絵本を1冊読むなど決めて入眠の習慣を定着させると、子どもは夜になると、自分から自然と眠りにつくようになります。
もちろんからだの脳を育てるには、十分な睡眠時間も大切です。

食事は「おかがすいたから食べたい!」と思えることが基本

からだの脳を育てるには、前述の早起き・早寝だけでなく、ごはんを食べて、体を動かすことも大切です。生きるための本能の脳なので、食事も子ども自ら「食べたい!」と思うようにすることが必要です。

――子どもの意志で食べるようになるペア練を教えてください。

成田 食事の時間が決まっている家庭も多いかと思いますが、ただ時間に従って食事(離乳食)を食べさせていては、からだの脳は育ちません。大切なのは、子ども自らおなかがすいたと感じて、食事をすることです。
朝、起きて「おなかがすいた!」と思うには、十分な睡眠が必要です。十分に眠ると、自律神経の副交感神経が活発にはたらき、消化が促されて、朝、起きたときに自然と空腹を感じます。
また体を動かしてたっぷり遊べば、自然とお昼や夕方にはおなかがすくものです。

――からだの脳を作るには、早起き・早寝と食事を意識すればいいのでしょうか。

成田 からだの脳は、危ないと思ったときに反射的に体を動かす脳でもあります。
しかし子どもが転びそうになったとき、ママ・パパがすぐに手を出して転ばないようにガードしていては、いつまでたってもからだの脳は育ちません。
子どもは転ぶことを繰り返すことで、とっさに手をついたり、「おっとっと」とバランスをとることが身についていきます。
大きなけがにつながらないように見守ることは大切ですが、ときには転んだり、ちょっと熱いものに触って驚いたりする経験も、乳幼児期には必要です。

お話・監修/成田奈緒子先生

取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部

からだの脳を育てるには、子ども自身が自ら早起き・早寝をして、3食しっかり食べることがポイントです。「乳幼児でも子どもの意思でできるようになるの?」と思うママ・パパもいるかもしれませんが、成田先生は「習慣化することが大切なので、紹介したペア練を根気よく続けてください」と言います。
シリーズの2回目は、「おりこうさんの脳」を育てるペア練について紹介します。

●記事の内容は2023年11月の情報であり、現在と異なる場合があります。

『改訂新装版 子どもの脳を発達させる ペアレンティング・トレーニング』

子どもの「からだの脳」「おりこうさんの脳」「こころの脳」を育てる、6つのペアレンティグ・メソッドを紹介。成田奈緒子、上岡勇二著 子育て科学アクシス編/1870円(合同出版)

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