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「早生まれ」は伸びしろがいっぱい!早生まれの息子の中学受験で感じたもどかしさ【脳科学者】

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●写真はイメージです 写真提供/ピクスタ

脳科学者の瀧靖之先生には、中学2年生の息子さんがいます。子どもは早生まれですが、中学受験のときに、瀧先生は「早生まれは不利かもしれない」と感じたそうです。
瀧先生に脳科学の視点で見る、早生まれの子に必要なかかわり方を聞きました。

早生まれの息子の中学受験で感じた、エンジンのかかりにくさ

早生まれとは、1月1日から4月1日までに生まれた人をさします。早生まれの子をもつママ・パパは「早生まれだと、まわりの子よりも体が小さい」「遅生まれの子と比べると、できないことが多い」と心配することもあるかもしれません。脳科学者の瀧先生も、早生まれの子どもがいますが、中学受験のときに「この子が遅生まれだったら・・・」と思ったことがあったそうです。

――わが子の中学受験を通して、先生が感じたことを教えてください。

瀧先生(以下敬称略) 息子は3月生まれですが、これまであまり早生まれということを意識したことはありませんでした。早生まれでも体は大きいほうでしたし、読み書きの習得も早いほうでした。

しかし中学受験のときに、エンジンのかかりが遅くて「あれ?」と思いました。受験に対して本気で向き合う姿勢がなかなか見られないんです。
最初は、個性だと思っていたのですが、どうやら個性だけではなく、早生まれが影響しているのではないか!?と考えました。まわりの友だちは、もう少しエンジンのかかりが全般的に早い印象がありました。

――先生が、子どものエンジンのかかりが遅いと感じたのはなぜでしょうか。

瀧 小学4年生ごろから、私が勉強を見ていたためです。私は伴走型で、息子の受験勉強に寄り添っていました。
親が伴走型で子どもの勉強を見ないと、結果だけを見てしまい「テストの点が悪い」「もっと勉強しなさい!」などしかりがちになります。過程を見てもらえずに、結果だけで評価されると、子どもは追い込まれてしまいます。
しかし伴走型で勉強を見ていると「ここがわからなくて、つまずいているんだな・・・」とか、子どもの気持ちがわかり、結果だけで評価しなくなっていきます。
伴走型で勉強を見ていたために、エンジンのかかりが遅いことも気づきました。

早生まれは、発育の差によって非認知能力が低い傾向が

瀧先生は、2025年3月に著書『本当はすごい早生まれ』を出版しています。

――著書『本当はすごい早生まれ』の中で、早生まれの子は非認知能力が相対的に低いと記されています。

瀧 認知能力とは、IQ、学力などの知的な力に対し、非認知能力は自制心、意欲、協調性など、点数では評価しにくい一方で生きていくうえで重要な能力をさすといわれています。
早生まれだと、発育の差によって非認知能力が相対的に低い傾向があるとの報告があります。原因の1つとして、幼児期から体が小さかったり、まわりの子よりもできないことが多かったりして引け目を感じてしまうことが考えられます。
そのため早生まれの子は、ママ・パパが意識して非認知能力を高めてほしいと思います。

――非認知能力を高めるには、どのようなことをするといいのでしょうか。

瀧 外遊びやスポーツ、音楽などの習い事は、非認知能力を伸ばしてくれます。
とくに外遊びやスポーツ系の習い事は、非認知能力を伸ばすだけでなく、脳の成長も促します。
外遊びで体を動かすと、記憶を担当する脳の中の「海馬(かいば)」の体積が増えるという調査結果もあります。
海馬は、短期記憶を長期記憶に変える脳の領域で、海馬が発達すると、勉強のとき暗記がしやすくなると考えられます。
そのため早生まれの子ほど、意識して外遊びや親子でスポーツをする時間を増やすといいでしょう。

まわりの子やSNSと比べる子育てが、子どもの自己肯定感を低くする

瀧先生は、早生まれだと自己肯定感が低くなりやすい傾向があると言います。自己肯定感とは、自分自身を大切にすること、自分が努力することで何かを変えることができると感じることなどが含まれています。自己肯定感は、能力を大きく左右する要素とも言われています。

――ほかに早生まれの子を育てるとき、ママ・パパが心がけたほうがいいことを教えてください。

瀧 早生まれの子は、自己肯定感が低くなりやすい傾向もあります。先ほども述べましたが、早生まれだと幼児期から体が小さかったり、まわりの子よりもできないことが多かったりして、「どうせ、僕(私)はできないから・・・」「みんなにわかってもらえない」とあきらめてしまうことが一因として考えられます。

自己肯定感や頑張ることで何かを達成できると思える「自己効力感」は、人の能力を大きく左右する要素ということが、さまざまな研究で明らかになっています。
そのため早生まれの子の場合は、とくに自己肯定感を高めることを意識しながら子育てをしてほしいと思います。

――子どもの自己肯定感を高めるには、どのようなことをするといいのでしょうか。

瀧 人と比べずに子育てをすることが第一です。「ナンバーワン」ではなく、「オンリーワン」をめざしましょう。人と比べても、上には上がいて、比べてもきりがないということをママ・パパにはわかってほしいと思います。

また現代の子育ては、まわりの子と比べるだけでなく、SNSを見て比べたりもして、ママ・パパが意識を変えないと永遠に比べ続けてしまいやすい環境にあります。「〇〇ちゃんは、もう××ができるんだって。すごいね!」などと人と比べられてばかりいると、子どもの自己肯定感は低くなっていくでしょう。
それよりもわが子にしっかり目を向けて、その子のいいところや強みを探して、伸ばしてあげましょう。いいところや強みは、ひとつだけではなくいくつも見つけてあげたほうがいい方向に行くと考えられます。

息子の中学受験のときは、第1志望を1校にはしぼりませんでした。いくつかの学校をあげて、「第1志望のグループ」ととらえるように息子に言いました。それは1校しかない第1志望を落ちたとき、「自分はダメな人間だ・・・」と自己肯定感が下がらないようにするためです。

――自己肯定感を高めるには、ほかにどのようなことが大切ですか。

瀧 ある調査では、自己肯定感が高い大人は、「子ども時代にたくさんほめられて、たくさんしかられた人」ということがわかっています。

ルールを守れなかったり、人に迷惑をかけてしかったりするのは、子どもをしっかり見ている証しです。「ママ・パパがしっかり見てくれている」という安心感が自己肯定感を高めることにつながっているのではないでしょうか。

お話・監修/瀧靖之先生 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

瀧先生は「早生まれの子は伸びしろがいっぱいです。ママ・パパには、早生まれの子の傾向を理解しながら、たりない部分を補うような子育てをしてほしい」と言います。

●記事の内容は2025年5月の情報であり、現在と異なる場合があります。

『本当はすごい早生まれ』

16万人以上のMRIを見た脳科学者であり、早生まれの子どもを育てる著者が、「早生まれの不利」を科学的に分析。早生まれの子に必要なかかわり方を紹介。瀧靖之著/1650円(飛鳥新社)

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