自閉症育児で意識していることは、自分とは違うタイプの“のうみそ”への伝え方【自閉症育児体験談】
竹山美奈子さんは14歳のひとり娘・鈴乃ちゃん(以下:すずちゃん)と夫の3人家族です。すずちゃんは3歳の時に自閉症スペクトラムと診断され、現在は特別支援学校に通う中学2年生です。はじめは軽度知的障害と思われましたが、小3で最重度知的障害と診断され、発語はほとんどありません。美奈子さんはすずちゃんの障害を題材にした絵本『すずちゃんののうみそ』を出版し絵本作家として活動をする傍ら、トークイベントや講演会などで自身の育児体験を語り、障害理解を広める活動しています。
2回目の本インタビューでは、すずちゃんの特性・こだわりと、その対応、美奈子さんが子育てで普段から気をつけていること、自閉症について知って欲しいことを聞きました。
音やリズムが好きなすずちゃん。特性を生かしてコミュニケーション
――未就学児の時は、冷めたものを一切食べず、保育園では給食が食べられるようになるまでかなり時間がかかったというすずちゃん。他にどのような特性・こだわりがあるのでしょうか。
「例えば小学校低学年くらいまでは、光に敏感な時期がありました。海沿いの松林を車で走るとよくパニックを起こしていたのですが、今思えば木漏れ日がキラキラしているのが苦手だったのだなあと思います。
首から上の触覚過敏があって、帽子やマフラー、髪留めもつけられません。どんな炎天下でも帽子を被らないので、暑い日は水が入ったスプレーを学校に持って行って、スプレーで頭に水をかけています。この特性は今も続いています。長袖や裾の長い服も苦手で、袖や裾をまくる癖があります。今も真冬でも短パンみたいにまくっています(笑)。
目で見たものを記憶する能力は高いなと感じます。物の位置が変わったり、新しい物があるとすぐさま『なにこれ?』という反応します。私が久しぶりに着た洋服も視覚や感触で覚えているようです。
音やリズムが好きで、喃語のような意味のない言葉をずっと発しています。その特性を利用して、リズムやメロディに乗せて言葉を伝えてコミュニケーションに活用しています。例えば、納豆の絵を見せて『納豆』と教えても伝わらないけれど、納豆を食べたがっているタイミングで『納豆♪納豆♪』と歌いながら一緒に冷蔵庫に納豆を取りに行って食べさせると、自分の欲求と音と行動が合致して頭の中にインプットされて『納豆』と発語するようになったりするんです。
こだわりについては、比較的少ない方だと思いますが、リモコンの向きを揃えたいとか、隣の人が足を組んでいると手ではずそうとするとか、細かいこだわりはたくさんありますし、週替わり、月替わりで出てくるこだわりもあります。
特性もこだわりも、小さい頃の方が強かったものや、大きくなってから強くなったものもありますので、その都度叱らずに応じられるものには応じています」(美奈子さん)
“話す”ことは身から“離す”こと。悩みはアウトプットする
――インタビュー中も常に明るく笑顔を絶やさない美奈子さん。周りの人からもよく『明るいですね』『元気ですね』『最重度の障害児を育てているお母さんとは思えない』と言われるそうです。ご自身の心のケアについてお聞きしました。
「以前『“話す”ことは身から“離す”ことだよ』と言ってくれた友だちがいました。もともと楽天的な性格なのですが、自分の内側だけで物事を考えていると思考停止してしまうので、人に話したり、メモしたりして自分の考えをアウトプットして“離す”習慣があるのがいいようです。8年ぐらい日記を付けていた時期もありましたが今は学校やデイとの連絡帳があるので辞めました。とにかく外に出さないとスッキリしないので、夫や友人に話したり、書いたりして自分の気持ちをその都度発散させています。現在はアメーバの公式ブログで、すずとの日常を綴っていますが、最初はブログに個人情報を晒すことに抵抗もありました。でも“最重度知的障害”で“自閉症の女の子”って、マイノリティの中のマイノリティで情報が少ないんです。私もものすごく検索しました。それで、少しでも参考になればと実名を出して書き始めました。つらかった時期のことを書くと『救われた』と言ってくださる方がいたり、理解してくれる人、応援してくれる人が増えたり。自分がオープンにすることでわずかながら人の役に立てているようで、自分にとっても励みになっています。
また、なるべく笑ったり、泣いたりしてセロトニンを増やしています。笑うという行為は時間をかけずにすぐにできるし、楽しい気持ちでなくても口角を上げるだけでもいいんだそうです。
子育ての悩みは、調べて、試して、解決しないとスッキリしないこともありますが、すぐに解決できず行き詰まることもあります。そんな時は一旦考えるのをやめて、子育てとは全く関係のない泣けるストーリーの映画やドラマを観ます。泣くことは笑うことよりも持続性が高くて効果的なストレス発散法らしいですよ。自分が置かれている状況とはまったく違う事柄で心を動かして、情動の涙をいっぱい流すと本当にスッキリします。
あとは美味しいものを食べる・美味しいお酒を飲む、お店で美味しかった料理を再現するなど、日常生活の中で気軽にできる“自分の好きなこと”で、一瞬でも悩みから離れるようにしています。『ちょっといいコーヒー飲んじゃおう』『美味しいケーキ買っちゃおう』でもいいんです。子育てって毎日のことだから、私たちは毎日自分にちょっとしたご褒美をあげて発散してもいいんですよ〜!(笑)」(美奈子さん)
ずずちゃんの“のうみそ”に伝わりやすい方法を日々模索中
――自閉症スペクトラム”と言われるように、境目もないグラデーションのように自閉症の特性はさまざまですが、すずちゃんはニコニコとよく笑い、人懐っこくてフレンドリー。周りからも「自閉症のイメージと違うね。すずちゃんはいつも笑っているね」と言われるほどなのだそう。
普段はニコニコのすずちゃんですが、感覚過敏やフラッシュバックなど、ちょっとしたきっかけでパニックを起こしてしまうことも。すずちゃんへの対応や声かけで、美奈子さんが普段から気をつけていることはなんでしょうか。
「教える、伝えるタイミングを見極め、自閉症の特性があるすずの“のうみそ”に届くようにするにはどう伝えらたらいいか考えています。常に気をつけていることは、否定形は使わず肯定形にすること。大声を出したり、叱ったりしない、やっちゃだめなことではなく、やってほしいことを伝えるように夫婦で意識しています。感情任せに怒ってしまうと、視覚優位、聴覚優位で記憶に残りやすい自閉症の人の脳には、嫌な印象が鮮明に残り、肝心なことが何も伝わりません。そうなるとパニックを助長させてしまい、トラウマにもなりかねません。そうなるとお互いに全然いいことがありません。
例えば、触っちゃいけないものに触ろうとした時は、思わず『触っちゃダメ!』と言ってしまいそうなところをグッと抑えて『あれ、すずちゃん。コレ触って』とすずのが好きな物に意識をそらすようにしています。
また一方で、ずっと同じ好きな物を与え続けてしまうと、『これじゃなきゃイヤ!』というこだわりが外せなくなり、それがないとパニックを起こすようになってしまうこともあるので、日頃から、すずの好きなものは何かを観察し、複数用意して選択する機会を与え、これかこれで切り替えができる、というようにパターンを作っていきます。切り替えができた時はわかりやすく褒めます。
すずの場合、気圧や気温などの生理的不快感に弱く、いつもはできることもできなくなってしまいます。なるべく部屋の温度や湿度に注意を払い、快適に過ごせる環境を作っていますが、それでも完全にパニックを防ぐことはできません。パニックが大きくなると声がけしても届かないので、不快そうだなという時にすずの“のうみそ”が不快な刺激から意識がそれるように働きかけています。例えば、パニックになって頭を叩いて自傷している時は、頭に何らかの不快感がある証拠です。本人は頭を叩く刺激で不快感を紛らわせているのに、『やめなさい!』と無理に止めると、さらにパニックがひどくなってしまいます。すずは歌が好きなので、止めるのではなく、自傷している手の間にスルッと手を入れて『痛いの痛いの飛んでいけっ♪』と歌いながら頭を強めにマッサージします。すると、だんだんとマッサージをもっとしてとクレーン現象で伝えてくれるようになりました。今では自傷する前に『痛いの痛いの飛んでいけ〜(泣)』と自分で言いながら、私の手を頭に持っていってマッサージを要求するようになり、カームダウンするのが早くなりました。
『すずちゃんの“のうみそ”には何が気持ち良いんだろうなあ』と日々観察し、試し、失敗、たまに成功……ということを繰り返し、良い刺激を探しています。学校やデイの先生方と、『このアロマオイルは好きみたい』『この感触は苦手だね』『この曲が落ち着くみたいよ』と、成功も失敗も共有して、すずちゃんあるあるで笑ったりしながら、この困難な子育てを頑張っている最中です」(美奈子さん)
――インタビューの前編では、すずちゃんの障害に理解のある保育園と出会って救われたと話してくださいましたが、その他にも繋がれてよかった支援はありますか?
「未就学児の頃、病院で作業療法士さん、言語聴覚士さんのリハビリ(セラピー)を受けられるようになったことで、すずとのコミュニケーションのしかたのヒントをもらい、楽しくなりました。
また、療育園ではマンツーマンで身支度の方法などを教えてくれて、保育園での集団生活とは違った点を伸ばしてもらいました。親には甘えたいし、のんびりしたいので、家で教えることには限度があります。親がいない環境で周りの子がやっているのを見て『やってみよう』という気持ちになったり、親以外の人に褒めてもらってうれしかったりしたことが、成長を促してくれたと思います。今も同じ法人の放課後デイサービスと繋がっています。
あとは、理解のある小児科の先生との繋がり、支援とは違うかもしれませんが理解のある飲食店さんが地域にあることにも助けられています。すずを連れて外食するのはハードルが高いのですが、座席、時間帯を考慮してくださるお店が身近にあることがとてもありがたいです」(美奈子さん)
ーー今現在、すずちゃんが取り組んでいる課題はなんでしょうか?
絵カードでラーメンを注文するすずちゃん
「学校やデイサービスや家でも、“この時間にこれをやる”、 “この次はこれ”というスケジュール通りにこなすことを求められる機会が多い障害のある子どもたち。特に会話ができないとそうなりがちです。また伝わらない苛立ちからパニックを起こすことも多いです。だからこそ、自分の思いを発する“意思表出”が課題だと思っています。PECS®(ペクス=絵カード交換式コミュニケーションシステム)という絵カードを、スケジュールとして見せられるだけでなく自ら差し出すことで、少しでも意思表示し、それが伝わる喜びを感じてほしいと考えています。
ペクスには6つのフェーズがあり、第4フェーズになると“トイレ”+“行きたい”などとカードを2つ組み合わせて2語文を表現できるようになります。でも、家庭環境のなかで親が教えようとしても『こんなことしなくてもわかるでしょ?』と直接実物を持ってきてしまったりするので、親だけで教えることに限界を感じています。ペクスは本来、支援者が指導するもので、家族以外の誰とでもコミュニケーションできるようにするための方法です。今は“ラーメン”や“おかわり”、“お散歩”や“絵本”と食べ物を中心に自分が欲しいもののカードを単体でしか出さないですが、“頭”+“痛い”とか“トイレ”+“行きたい”など、困った時のカードも出せるようにするのが目標です。学校やデイサービスの先生方にも協力していただき、絵カードを使って意思表出する機会を増やしています」(美奈子さん)
子どもたちの“なぞ”に答えた絵本『すずちゃんののうみそ』
ーー公立保育園の卒園時、園の先生や子どもたちに感謝の気持ちを伝えるために、美奈子さんが自費出版で作った紙芝居『すずちゃんののうみそ』は、2018年に絵本や児童書の出版社、岩崎書店から絵本として出版され、学校などの教育現場や福祉の場でも広く読まれています。
「保育園の子どもたちがすずに感じていた“なぞ”=“障害”について、子どもたちにきちんと伝えたい、何よりも仲良くしてくれたお礼を言いたい、と思い紙芝居を作りました。紙芝居を読み聞かせたあと、保育園の子どもたちは何かを感じ取ってくれたようで、1回読んだだけのお話を家に帰って正確に親御さんに話してくれたお子さんもいました。それで謝恩会でも読ませていただくことになり、その後、保護者さん、保育士さん、そして、イラストレーターの三木葉苗さんのアトリエBonami(真鶴町)での原画展でさまざまな方の目に触れ、岩崎書店の編集さんに読んでいただけたのです。こうして絵本化された『すずちゃんののうみそ』は、今では、自閉症児の親御さんがきょうだい児さんや親戚、お友だちに理解してもらうツールとして、また、保育園や幼稚園、小学校、図書館、副籍交流、福祉施設、障害者アートや自閉症啓発イベントなどさまざまな場で障害理解のきっかけとして活用していただいています」
――現在は月に1回ぐらいのペースで講演・ブックトークの依頼があり、教育や福祉の研修、本屋さんや図書館で障害理解に努めている美奈子さん。新たな題材で書いた絵本の出版も決まっているそうです。
「2024年と2025〜2026年頃に新作の絵本が出版される予定です。2024年の春に出版する絵本は、幼児向けの絵本です。すずは発達年齢が2歳未満と言われているんですが、今回はすずのようにストーリーを追えない子でも楽しめる絵本を作りました。家でプリントして製本した試作品をすずに読み聞かせたら、最後まで読み聞かせを聞いてくれたことのないすずが、全ページ聞いて見てくれて、毎日その絵本を読んでほしいと持ってくるようになりました。それだけでも作った甲斐がありますね。
2025〜2026年頃に出版予定の絵本は、いじめをしてしまう側の子どもにスポットを当てた絵本です。残念ながら大人の社会にも存在するいじめを、世の中から完全になくすことは不可能ですが、いじめる子、加担してしまう子、傍観する子を少しでも減らしたい、また、いじめられる子も含めてすべての子どもたちにとって、周りの大人にとっても、大切なことを伝えたいという思いで書きました。
私は絵本作家と呼んでいただくほどの数の絵本を書いていませんし、世の中には素晴らしい絵本が溢れていますので、マイノリティに目を向けた絵本を書くことが、細々と絵本作家をさせていただいている私の役目だと考えています」(美奈子さん)
のうみそには “タイプ”がある。自閉症スペクトラムも脳の1つのタイプ
――改めて、すずちゃんのことや、自閉症について知ってもらいたいことはなんでしょうか?
「『すずちゃんののうみそ』では、自閉症は生まれつきの脳の機能障害だということを伝えたかったので、タイトルにもインパクトの強い“のうみそ”という言葉を使いましたし、イラストレーターさんにお願いしてのうみそのイラストを描いていただきました。出来上がったのうみそのイラストの周りには、ヒラヒラとカラフルな紙吹雪が舞っていて、イメージとぴったりだなと思いました。自閉症のある人は “普通”と言われる多数派の定型発達の人たちよりも、目や耳から多くの情報が入ってきて、でも普通の人のように忘れたり、関連付けたりと整理して記憶されるわけではないので、忘れたいことも忘れられないし、いつ記憶が鮮明に蘇るかもわかりません。ふわっと散らばった紙吹雪は、本人の意思とは関係なく、ふとした瞬間にパッと記憶が蘇ったりする様子をよく表していると思います。それが素晴らしい才能につながることもあれば、フラッシュバックというつらさにつながることもある。そういう本人にもコントロールできない脳の働き方の違いがあるということを知ってほしいです。
自閉症は、親のしつけや本人の性格ではなく、血液型と同じように持って生まれた“のうみそのタイプ”の1つで、そもそも、のうみその働き方は1人ひとり違うのです。最近では、“ニューロダイバーシティ(脳神経の多様性)”と言うそうです。すずは知的障害もありますが、高機能自閉症のようにIQは高いけれどすずと同じ脳の特性を持っている人もいます。そういう方は、発達“障害”というより、“ASDタイプの脳”と呼ぶ方がしっくりくるように思います。感覚過敏やこだわり、記憶のしくみなどの共通点はありますが、自閉症の特性は実にさまざまです。“自閉症スペクトラム”(スペクトラムは連続体の意)と言われるようになったのはそのためですよね。のうみそがコントロールできなくて困って癇癪を起こしてしまったりするけれど、けしてその子のせいではなく、その子ののうみその特性から辛い場合があるからなんです。そのことを意識しながら接して、環境を整えていけば、パニック、癇癪も減り、周囲の方の苦労や誤解も減らせるのではと考えています」(美奈子さん)
障害を知っているだけで行動が変わる。忘れられない“街の人の神対応”
「小学4年生の福祉の授業で絵本の読み聞かせとお話をしたあと、『みんなはこれぐらいの光が眩しくないけれど、すずちゃんは頭が痛くなるぐらい眩しいんだね』『わーっと癇癪を起こしたりして困った行動をしている子って、困った子じゃなくて、困っている子なんだよ。困っているときにどうしていいかわからなくて暴れたりひっくり返ったりという困った行動をしちゃうんだよ』と言うと、子どもたちは『なるほど、困ってたんだ!』『僕にもできることがあるかもしれない』『困っているなら助けてあげたい』と素直に受け止めてくれました。
静岡新聞のコラム“窓辺”を担当させていただいたときにも書きましたが“街の人の神対応”も忘れられません。すずが小2の時、スクールバス停の前を通りかかった男性の袖を掴んで離さなくなったことがありました。『すみません!』と謝りつつ、『すず、お父さんじゃないよ、離して。おてては、パーだよ』とすずに声をかけますが離しません。普通だったら驚いて思わず振りほどいてしまうと思うのですが、男性はすずに袖を掴まれたまま、すずの目線にしゃがんで『すずちゃん、おじさん会社に行くね』と笑顔で言ってくれました。あとで知ったのですが、その方には知的障害のあるお子さんがいらっしゃったようです。障害を知っているだけでこんなに対応が違うのだなという体験でした。
理解されなかったり、差別されるのは『知らないから』で、特性を知り、理由がわかると抵抗感や嫌悪感、恐怖心が和らぐ。それこそが他者理解、インクルーシブ社会の第一歩なのではないかと思います」(美奈子さん)
――最後に、子どもの発達や障害児育児に悩んでいる『たまひよ』の読者に伝えたいことはなんでしょうか?
「すずが未就学児の頃は、専門的な支援者に出会う機会が少なく、私にとって一番辛い時期でした。就学先選びも地域によっては特別支援学級も特別支援学校もなかったり、都会だと逆にたくさんありすぎてどこに行かせたらいいかわからなかったり、悩んでいらっしゃる保護者の方も大勢いらっしゃると思います。でも大丈夫。私の住んでいる地域は医療や福祉にそれほど恵まれた環境ではありませんが、すずのような最重度知的障害・自閉症のある子でも、解ってくれる支援者や施設を見つけながら、どうにか、それなりに楽しく過ごしています。
未就学時は大変な時期だと思いますが、ずっとこのままではありません。子育ての悩みや障害のことをオープンにし、理解者・支援者を増やすことで、子どもも親も成長し、親子で居心地のいい環境が作り出せると思います。悲観しすぎず、日々のストレス発散を忘れずに乗り切って欲しいです。特別支援学校や特別支援学級に就学すると、専門知識のある先生や同じ境遇のママ友、先輩ママなど、頼もしい味方が増えますよ」(美奈子さん)
お話・写真提供/竹山美奈子さん 取材・文/清川優美
すずちゃんののうみそにどのように情報を届けるか、どのようにコミュニケーションを取るか、美奈子さん自身もずずちゃんに対して “知る”ことを諦めずに追求してきた14年間でした。私たち1人ひとりが少しでも障害のことを知るだけで、障害者とその家族が過ごしやすくなるきっかけを作ることができます。インクルーシブ社会にしていくために、今の自分にできることは何か、改めて考えさせられる取材となりました。
「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることをめざしてさまざまな課題を取材し、発信していきます。
プロフィール/竹山美奈子
1967年大阪府堺市生まれ。静岡県三島市在住。静岡大学教育学部卒業。教育系出版社で、情報誌の企画・編集・ライティング・ブックデザイン・プロモーションなどに従事。重度知的障害を伴う自閉症のある娘が就学する際に退職。2016年に紙芝居『すずちゃんののうみそ』を自費出版し、2018年、岩崎書店から絵本として出版される。2020年には、ダウン症のことがわかる絵本『あいちゃんのひみつ』(岩崎書店)を発刊。学校・幼稚園・福祉施設・書店などで、絵本制作のきっかけ、障害理解などについて講演活動も行なっている。
・竹山美奈子オフィシャルブログ「すずがなる」
https://ameblo.jp/suzuganaru2009/
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年12月の情報で、現在と異なる場合があります。