みんなが捨てて後悔したもの6選。『わたしのウチには、なんにもない。』の著者に聞く、手放してもいいルールとは?
今回のテーマは、「家の中にあふれるもの」についてです。
「たまひよ」アプリユーザーに聞いた声とともに、「私にもできそう!」と共感を呼んだコミックエッセイ『わたしのウチには、なんにもない。』の著者である、ゆるりまいさんに、不要なものを買わずにすむ工夫や、家の中のものの減らし方について教えてもらいました。
高価なものや思い出の品は捨てると後悔する?
できることなら家の中はスッキリさせたい。不要なものは買いたくないし、減らしていきたい。でも捨ててしまって後悔したらどうしよう……。そんな思いをしたことはありませんか?
そこで最初に、捨ててしまってから後悔したものがないか、「たまひよ」アプリユーザーに聞いてみました。
Q:これまでに、捨てて後から後悔したものはありますか?
「特にない」(さとママ)、「あまりありません」(みっきき)といった声や、「捨てたら忘れ気にしない!思い出さないようにする」(いくら)といった声のほかに、以下のような回答がありました。
「高く買った服」(まこちゃん)
「ブランド品の袋」(ちあ)
「子どもの頃のおもちゃや服」(アン)
「写真や寄せ書き」(ともち)
「お気に入りだけど、読まなくなった漫画。また読みたくて再購入してしまいました」(みーも)
「学生時代の写真はまさに、後悔しています。大事な思い出なのですが、引越しと同時に処分しました。今では、早期段階の将来への終活をしたと思うことにしています」(みーも)
長く使えるか、使いやすいか、考えてみる
みんなが捨てて後悔したものは、高価なものや思い出のもの、現在では買えないものなどのようですね。では、ゆるりまいさんに、家の中にものをあふれさせないための工夫をお聞きしましょう。
――ゆるりさんは高校時代から徐々にものを持たない暮らしへシフトしたとのことですが、ものを持たずにすむ秘訣はありますか?
ゆるり 「私は基本的にものが好きなんです。自分のお気に入りのもので周りを固めたいと思う派なので、ものとの出会いは大事にしています。
だから、1個何かを買ったら1個捨てるというようなルールはありませんが、感覚的にものが増えたなぁと感じたら見直すようにしています。
処女作の『わたしのウチには、なんにもない。』を出版させていただいた頃は、家にできるかぎりものを置かないようにと頑張っていました。でも子どもが生まれると、今まで通りにはいかないし、そこまでやらなくても死なないと思うようになりました。
現在は、お気に入りのものをお店で見つけたら、長く使えると思えば手に入れるし、その新しく手に入れたものが今まで持っていたものに変えられるようなら、古いものは手放すといった、比較的に緩やかなルールでやっています。
――ものを買うときに、「長く使えそう」という観点は常に考えてるんですか?
ゆるり 「震災で家を失い、その後、結婚して暮らし始めた新居では、『これから何かを買うときには、一生ものと思えるもので揃えていった時期がありました。
ただ30代半ばくらいになると、一生ものといっても、本当に一生使えるかどうかわからないなぁと思うようになって。
ものが良くても、私の気持ちが変わったり、体がついていかなくなったりするじゃないですか。例えば、良いバッグを買っても、重かったら使わなくなっていくわけです。それに子どもが生まれて一緒に走り回るようになったら、良い服なんて着ていられないし。
だから、できるだけその時だけでなく、長く使えるものを選ぼうとは思っていますが、かといって、良い品物が必ず一生使えるものとは限らないということがわかるようになりました。
すごく素敵な生地でできたお洋服も、結局のところ、着やすくなければ着なくなります。どれだけ高いお金を出してブランドの服を買っても、結局ユニクロの服が今の私には一番しっくりくる……そういうことに気づきました。
今は、『本当に良いものを買うぞ』というよりは、『身の丈にあった自分の使いやすいものを探す』という方向へシフトしていますね。
――ゆるりさんが考える、ものを減らすメリットはなんですか?
ゆるり 「掃除が圧倒的に楽になりました。
それから私は、3年前に劇症型溶連菌感染症にかかって、死にかけたことがあるんです。その時に、家に必要なものしか置いていなかったおかげで、家族が私の持ち物から入院セットをパパッと準備できたと言っています。
特に、ここにこれがあるとは教えてなかったのですが、これは片付けておいたメリットだと思いました」
――なかなか、ものを減らすことができない人へのアドバイスをお願いできますか?
ゆるり 「大抵の場合、いらないものから捨てていって、徐々にそのスピード上げていくと思うんですが、毎回捨てるかどうか迷うものってありませんか?それが、そもそも暮らしの中のノイズになっていると私は思うのです。
だから、『どうしようかな』と思うもので今後買い直せそうなら、手放していいと思います。今は物価高だから、どんどん買い直せるわけではないかもしれませんが、買い直せるのなら手放し、買い直せない、またはもう1回買うのはきついと思うものは残しておけばいいと思います。
あとは、自分の持ち物のルールを決めると減らしやすくなります。
私の場合、柄物の服は着ないし、ポケットのない服はすごく不便に感じます。無地でポケットのある・なしなら、すぐに仕分けられるじゃないですか。
服の色も、自分に似合う色と好きな色が同じ人もいれば違う人もいると思いますが、そこはもう自分に似合う色だけ残そうとか、マイルールを決めてしまうんです。
靴も、好きだけど履きにくい靴とかがあって、そういうのって靴が好きな人はなかなか捨てられないと思います。でも靴は履きづらいと本当に使わないので、そういう場合は、きれいなうちに次に使ってくれる人を探すようにしています。
――それは確かにわかりやすいですね。
ゆるり 「ものをもたない暮らしをする人には、ものにあまり興味がない人と、ものがものすごく好きな人と2種類いると思います。私の場合は、基本的にものがすごく好きなので、捨てることになったときに、なぜ捨てることになったのかを反省することで、今あるものを大切にする気持ちと、買い物の失敗や無駄遣いが減るという経済的なメリットもありました」
気に入っているという選択肢の中にもう1つ「使いやすいか」という観点も入れるとしぼっていけそうですね。今後に生かしたいと思いました。
(取材・文/橋本真理子、たまひよONLINE編集部)
ゆるりまいさん
PROFILE)
漫画家、イラストレーター。夫、息子、母の人間4人+猫3匹暮らし。 生まれ育った汚家の反動で、現在ものの少ない暮らし街道爆進中。自称、ものを捨てることが三度の飯より大好きな捨て変態。そんな日常を描いた『わたしのウチには、なんにもない。』(KADOKAWA)は2016年に連続ドラマ化された。そのほかの著書に『なんにもない部屋のくらしかた』(KADOKAWA)、『ゆるりまいにち猫日和』(幻冬社)などがある。
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2024年5月の情報で、現在と異なる場合があります。