「うちの子、同級生の中で浮いているかも…」子どもの友人関係にどこまで親は介入すべきなの?【専門家に聞く】
学年が上がると友だちとの関わりが深まる一方、友人関係で悩む子どもの姿を見かけることも。そんな時、親はどこまで介入すべきなのでしょうか。口コミサイト「ウイメンズパーク」のママたちの声を紹介するとともに、小学校教諭の景山功一さんと堀川紘子さんに聞きました。
子どもの友だち問題にどこまで関わっている?
まずはママたちの声を紹介します。
■親は見守るしかない
「我が子も友人関係の問題にぶちあたり、悩んでいた時期がありました。親としては、見守るしかないです。アドバイスといっても、千差万別。具体的なつらさを訴えてきたら、その時は一緒になって考えてあげればよいと思っているので、親は、美味しいご飯を作り、安心できる家庭でそっと見守るしかないのかな…」
■気が合わないだけであれば、様子見
「いじめとは違うのであれば、席替えや学期のはじめでもつき合いが変わることもあるので、様子見ですね」
■常に後ろに控えて、見守る姿勢
「我が家は末っ子が小4ですが、思春期の入り口に立ち、学校でもいろいろあるようです。口も出したいところですが、あっという間に中学生です。中学に行くと友人関係もますます難しくなり、親には何も話さなくなります。我が子の味方として、常に後ろに控えているからね、という安心感を与えつつ忍耐で見守る。悩んでいる姿を見るのはしんどいけれど、それしかできないですね」
■友人関係の過渡期で模索中かも
「小学生のうちは、同じ保育園や親同士が友だち、同じクラス、そんな環境が軸で友だちになる子も多いと思います。個人差もあると思うのですが、早い子では、小学校高学年頃から気の合う仲間を探す子が出てきてもおかしくはないです。今は過渡期、模索中ではないかと思います」
■成長の過程として、頑張って欲しい
「仲良し3人組なのに、学校では2人がべったりで、娘は1人になってしまい、ちょっと浮いているみたいです。でもこれは昔から女の子あるあるだなと。親としてはやはり心配だけど、仲間外れと言うよりは内気な娘なので入っていけない雰囲気なのかなと。今はつらいけど、これを頑張って乗り越える強さを持ってほしいです。子どもの人間関係も日々変化するものだと思っています」
友人関係に直面する高学年の子どもの親のサポートの見極めとは
友人関係の問題はどのように対処すればいいのかを、小学校教諭の景山功一さんと堀川紘子さんに聞きました。
「小学校高学年から高校生の段階になると、時期は異なるものの子どもたちは思春期を迎え、集団や他者の影響を受けながら大人になっていきます。親からの自立を目指していても、不安を感じていることがあります。
そのため、仲間と一緒に過ごすことが増え、仲間からの安心感を求めるようになり、友人関係に大きな影響を受けながら、大人になっていきます。
友人関係は、『Aさんと一緒にいると楽しい』という思いを持ち、時には相談できる関係性が築け、有意義な学校生活を送ることができます。一方で、『Aさんと一緒にいたい』という思いが強くなると、Aさんと話すBさんがいれば間を割こうとしたり、Aさんを独占しようとしたりする子がいて、トラブルに発展してしまうケースがあります。また、高学年くらいからSNSなどを活用して、お互いの秘密を共有するようになリ、お互いのことを全てわかり合っているという思いが、より友だちとの絆を深めているように思います。しかし、お互いのことをわかり合っているつもりでも、自分が思っていた相手像と違った時に、違和感が生まれ、それが相手への不安となるということもあるようです。
より強固な関係性を築く過程で、仲間意識の芽生えや不安を子どもたちが互いに相談することができればいいのですが、脆弱な関係性や不安定な関係性からトラブルにならないまでも、不安を感じてしまうことは少なくないようです。
親御さんとしては、子どもの成長を促すために、子どもの友人関係は見守りたいという思いから、こうした問題に立ち入ることを躊躇されることもあるかと思います。友人関係に介入するというと、子ども同士に割って入るイメージがありますが、そうではありません。どのようなことで悩んでいるのか、お子さんと話すことも介入になります。
ですから、親御さんにはお子さんが、『話したい』と思っている時に、いつでも話せる関係性を築いておいてほしいと思います。ただ、見守ってくれる、いつでも話を聞いてくれる人がいるという安心感を持てるような関わりが大切なのです。
例えば、普段から食事をするなど共に過ごす時間を作り、学習や休み時間、放課後の生活について話したり、親御さんの生活を伝えたりすることを大事です。普段の時間を大切にすることで、何気ないお子さんの変化をキャッチすることもできます。
学校でも、思春期を迎え友だちのことでいろいろと悩んでいる子どもたちと出会います。そんな時は、『今は無理に話さなくていいよ。でも自分で抱えきれなくなったり、どうしたらいいかわからなくなったりした時すぐに教えてほしい』と伝えています。子どもたちに相談するかどうかの選択肢を持たせ、話したいタイミングで相談できるようにすることは、子どもの成長を促すためにも大切ではないかと思います」
(お話/景山功一さん、堀川紘子さん)
「過度な干渉にならない」ための親の関わりポイント5
では、日頃どのようなことに注意して過ごせばよいのか、ポイントをお伝えします。
①普段から相談しやすい環境づくり
食事をするなど共に過ごす時間を作り、学習や休み時間、放課後の生活について話したり、親自身の生活を伝えたりすることも大事です。
例えば、親が、「○○のようなことがあったんだけど、あなたならどうする?」といったことを話すことも1つです。「お母さんは(お父さんは)、△△したんだけど…」「すると、□□になったよ」とつけ加えることで、子どもの社会性の向上にもつながります。
②相談したいタイミングで相談できるようにサポート
見守ってくれる、いつでも話を聞いてくれるという安心感は、子どもたちの支えになります。お子さんが悩んでいる時は、「今、つらそうだけど私にできる(助ける・支えられる)ことはあるかな?」「大人(親や先生)に相談することで、心配に思っていることはある?」などと伝えてみては。子どもの悩みをすぐに解決したいのが親心ですが、子どもたちに相談するかどうかの選択肢をもたせてあげるほうが、自分のタイミングで相談しやすいでしょう。
③大人目線の押しつけには注意
自我の芽生えもあるので、大人目線での押しつけや、あるべきという固定観念のようなことを一方的に伝えることは、子どもの不安を大きくしてしまうことがあります。『自己選択』できるように、子どもが相談してきたら選択できる方法提示しましょう。
例えば、仲良しの友達に仲間はずれにされているように感じると相談された時は「その友だちとこれからどうしたいのかな?」などと、子どもがどうしたいか確認します。その上で、「Aの方法もあるよ(例:普段通りに接して,しばらく様子を見てみたら?)」「 Bの方法あるよ(例:もしできそうならその友だちに理由を聞いてみたら?)」と、と対処法を提示し,子どもができそうな方法を自己選択できるようにします。見守ってくれている安心感をもてるような距離感を保ち、子どもが選択したことを尊重するスタンスで関わっていくことが大事です。
④前向きに解決しようという親の思いと姿勢を見せることも大事
子どもは、親や先生に相談した時の大人の様子をよく観察しています。大人が余裕なく関わると子どもたちも焦ってしまい、「もしよくない方向に向かってしまったらどうしよう」「相手の子をものすごく叱ることになったらどうしよう」と不安を感じてしまうことも。「前向きに解決しようと思っているよ」という親の思いと、姿勢を見せることも大切です。
⑤不安な時は、学校や専門家に相談を
学校には、学級担任はもちろん、教育相談主任やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーがおり、多様な困りに対応できるような体制が整っています。ご相談いただくことで、クラスや学年での対応をはじめ、環境調整などの様々な支援方法を用いて課題解決に向けた対応を進めています。心配な時は、学校まで相談を。
成長過程の子どもたちの友人問題は、子どもたちが解決策を自分で選択できるサポート大事なのですね。(取材・文/酒井範子)
※文中のコメントは「ウィメンズパーク」(2022年1月末まで)の投稿を再編集したものです。
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。
※記事の内容は2022年6月の情報で、現在と異なる場合があります。
景山功一さん
PROFILE
教師歴25年。L D等通級指導教室担当。子どもや保護者の悩みにターゲットをあてた、「どうすればできるか」「自信ややる気につながるか」を追求している。
堀川紘子さん
PROFILE
教師歴13年。特別支援教育デザイン研究会・委員。情報モラル教育の研究が専門。「ネット社会の歩き方」の教材開発やテキスト作成,実践発表などを行なっている。