頻回授乳や繰り返すおっぱいトラブル...、それって赤ちゃんの浅飲みが原因かも!?
授乳は、赤ちゃん&ママにとって幸せな時間。
でも、授乳が頻回だと大変だし、ひとたび乳頭に傷ができてしまうと、吸われるたびにジンジンと痛み、「恐怖のおっぱいタイム!!」になってしまいます。
「実は、頻回授乳やおっぱいトラブルは、『浅飲み』が原因となっている場合も多いんです」
と教えてくださったのは、母乳ケアルーム"MAMMY PORT"を主宰する、助産師の依田順子先生です。
おっぱいをあげるときは、くわえさせ方がポイントです
「赤ちゃんがおっぱいをうまく飲めるように、また、ママのおっぱいトラブルを予防するためにも、授乳のときの乳頭のくわえさせ方は、とても大事なポイントです」と、依田先生は言います。
「浅飲み」って何?
「おっぱいをあげるときに、赤ちゃんが乳頭の先だけをくわえて吸っている状態を『浅飲み』といいます。
『浅飲み』状態では、授乳のたびに乳頭に強い刺激が加わり、こすれて痛くなったり、切れて傷ができてしまいます。
また、『浅飲み』では、赤ちゃんが下あごを動かして舌でおっぱいを押し出す、という動きがうまくできません。
一生懸命に吸っても口に入ってくるおっぱいは少ないため、1回の授乳で満足できずに頻回授乳になったり、飲み残したおっぱいが詰まって乳腺炎を起こしやすくなったりもするのです」
浅飲みにならない、上手なくわえさせ方は?
「赤ちゃんがおっぱいを探して大きくお口をあけたら、そのまま乳頭全体と乳輪をカプッと口に入れる感じで、深くくわえさせます。
おっぱいをくわえた赤ちゃんのお口があひるのような形で、唇が外側に開いているのが◎。
逆に赤ちゃんの唇が内側に巻き込まれてしまっていると、浅飲みになりがちです。
とくに混合栄養の赤ちゃんは、哺乳びんと同じくわえ方=浅飲みになりやすいので、気をつけてあげましょう。深くくわえさせることで、乳頭への負担が少なくなって、乳汁の出がよくなり、飲み残しも少なくなって乳腺炎などおっぱいトラブルの予防にもつながります。」
抱っこのしかたにも工夫が必要です
「抱っこで授乳していると、赤ちゃんを支えているママの腕が、赤ちゃんの頭の重みでだんだん下がっていきます。
すると、乳頭が下に引っ張られる形になり、浅飲みになってしまいます。
授乳クッションなどを利用して、授乳中のポジションを安定させることが大事です」
添い乳中や朝イチのおっぱいにも気をつけて
日中は気をつけていても、添い乳中や、授乳間隔が空いておっぱいがかたく張っているときなどは、「浅飲み」になりやすいタイミングだそうです。
添い乳中にウトウト眠くなると浅飲みになりがち
「添い乳するとき、ママと赤ちゃんは横向きで向かい合い、お互いの体は密着しています。
乳頭をくわえたまま赤ちゃんがウトウトしてくると、お互いの体が離れていき、乳頭が引っ張られてしまいます。
皮膚がふやけた状態でこすれると余計に傷つきやすいですから、赤ちゃんが寝入ったら、そっと乳頭をはずしてあげてくださいね。」
かたく張ったおっぱいは、ほぐしてから飲ませて
「とくに乳輪の真下におっぱいがたまってかたくなっていると、赤ちゃんが深くくわえづらくなります。
朝いちばんにあげるときなどは、乳輪がやわらかくなるまでマッサージしてから授乳するといいでしょう。
あまりにカチカチになっていたら少し絞ってからあげるといいですね。そして、朝いちばんの授乳は、左右両方を赤ちゃんにしっかり飲んでもらうことが、おっぱいトラブル全般の予防にもなります。」
赤ちゃんが生まれて間もない初心者ママも、おっぱい育児に慣れてきたママも、いつものおっぱいのくわえさせ方、ぜひチェックしてみてくださいね。「頻繁におっぱいを飲みたがる」「おっぱいトラブルを繰り返す」というお悩みも、「浅飲み」にならないように気をつけてあげると、改善されるかもしれません。でも、赤ちゃんの体重の増えが悪い、おっぱいトラブルが悪化するときなどは、早めに受診してください。(取材・文/四辻深雪、ひよこクラブ編集部)
Profile●依田順子先生
母乳ケアルーム「マミィポート」代表、助産師。ママたちのおっぱいの悩みにアドバイスをするほか、地域の赤ちゃん訪問や母親学級の講師、ウパウパハウス岡本助産院の助産師としても活躍。2人のお子さんのママ。
※この記事は「たまひよONLINE」で過去に公開されたものです。