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妊娠18週の出生前検査で脳に異常が。生後まもなく、首をすくめて寄り目になる病気のサインが出始めて・・・【アイカルディ症候群体験談】

更新

生後0カ月のあかりちゃん。黄疸の治療中。

7歳のあかりちゃんは、生後3カ月のときに指定難病のアイカルディ症候群と診断されました。アイカルディ症候群は、女の子に多く、患者数は国内では100人前後と推測されています。原因は不明ですが、X染色体の変異が報告されています。母親のますみさんに、あかりちゃんに異常が見つかったときのことやアイカルディ症候群と診断されたときのことについて聞きました。
2回インタビューの前編です。

妊娠中期の胎児の脳のMRI検査で「脳に嚢胞があって脳梁がない」と言われる

てんかん発作が起きるまでは、元気にすくすく成長していた。

ますみさんは、31歳であかりちゃんを授かりました。

「夫は17歳年上です。同じ会社で働いていて、私からアタックして交際が始まりました。ユーモアがあって、常にまわりの人のことを考える優しい人柄にひかれました。夫は、同じ職場の人と恋愛をしない主義のようで、最初は交際を戸惑っていましたが、『それならば私、会社を辞めてもいいよ』というぐらい、彼のことが大好きでした。

結婚して1年妊活をしたのですが、なかなか赤ちゃんを授かれないので不妊治療を始めました。そのころ私は30歳までには子どもを産みたいと思っていたんです。30歳で第1子がほしいと思っていたので・・・。
あかりは、3回目の人工授精で授かりました。妊娠がわかったときは本当にうれしかったです」(ますみさん)

ますみさんは、妊娠初期と中期の2回、出生前検査(画像検査)を受けています。妊婦健診で通っている大学病院とは別の医療機関です。

「出生前検査を受けたのは、万一のことを考えたためです。妊娠初期の検査では、とくに異常は見つかりませんでした。
しかし妊娠18週で出生前検査を受けたところ、医師から『おなかの赤ちゃんの脳に嚢胞(のうほう)があるから、大きな病院でMRI検査をしたほうがいい』と言われました。嚢胞とは、液体の入った風船みたいな袋だそうです」(ますみさん)

ますみさん夫婦は、すぐに妊婦健診で通っている大学病院に行きました。

「おなかの赤ちゃんの脳のMRI検査をしたところ医師から『脳に嚢胞があって、脳梁(のうりょう)がない』と説明されました。脳梁とは左脳と右脳をつないでいる神経繊維の束のことだと、医師から説明を受けました。

医師からの説明は『先天性の場合は、正常発達の子も多いです。脳梁がなくて障害がある子が生まれる確率は1割ぐらいです』というものでした。

私は『障害がある1割の場合、障害の重さはどのぐらいですか?』と質問すると、医師は『ダウン症候群は知っていますか? ダウン症候群のようなものだと思います』と言いました。当時、私のまわりには障害をもつ人がいませんでした。医師の話を聞いて、真っ先に頭に浮かんだのはテレビで見たことがあるダウン症候群の子どもでした。その子は、音楽に合わせて元気に踊っていました。『もし障害があっても、あの子のように楽しく踊れるぐらいかな・・・』と、漠然と思いました。でも、とても不安でした」(ますみさん)

夫婦で話し合い「障害があって育てられないときは、僕が子どもを引き取るから離婚しよう」とまで

生まれたばかりのあかりちゃん。

ますみさんは、夫婦でとことん話し合いました。

「当時の私は、障害がある子を育てる自信がまるでありませんでした。赤ちゃんをあきらめることも考えて、夫にそのことを話しました。すると夫は、妊娠中絶についていろいろ調べたようです。

そして夫は『不妊治療をして授かった命だし、この子をあきらめたらもう次は授かれないかもしれない。せっかく授かった命をあきらめたあとのますみの心身への影響も大きいと思う。
もし障害がある子が生まれて、ますみがやっぱり育てられないと思ったら、そのときは離婚して僕が子どもを引き取って育てる。ますみはまだ若いから、ますみの人生を歩んでいけばいい。だから赤ちゃんを産んでほしい』と言ったんです。

夫の覚悟を知ったうえで『障害をもつ子どもが生まれる確率は1割。9割は大丈夫ってことだよね・・・』と考えて、出産する決意をしました」(ますみさん)

計画分娩で無事に出産。あかりちゃんは、出生体重3390gで誕生

生後1カ月の検査では問題なく、家族でひと安心。

あかりちゃんが生まれたのは、2017年1月です。

「脳の嚢胞と脳梁のことがあったので、万一のとき、すぐに対応できるように計画分娩で平日の日中に出産することになりました。
あかりは出生体重3390g、身長は49.4cmで生まれました。生まれても泣き声がしなくて、『あれ?』と思ったのですが、少ししたら『おぎゃー』と元気に泣いたので、よかった~と安心しました。生まれたばかりのあかりを胸に抱いて写真を撮ることもできました。

あかりは黄疸(おうだん)が出てしまったので、保育器に入ったのですがNICU(新生児集中治療室)に入院することもなく、生後8日で退院できました。

生後1カ月の脳のMRI検査では、医師から『とくに問題はないから経過観察』と言われて、安心しました。

生まれるまではとても心配したけれど、あかりは障害をもたない9割のほうだったんだ・・・と思いました。
あかりは、よく母乳を飲むし、あまり泣かずに育てやすい子で、本当にかわいかったです」(ますみさん)

3カ月になる少し前に、首をすくめて寄り目になる不思議な動きを

生後6カ月ごろ。抗てんかん薬の影響で、寝ていることが多くなった。

しかし、生後3カ月になるときあかりちゃんに異変が・・・。

「自宅で実母と過ごしていたら、あかりが首をすくめて寄り目をしたんです。腕は左右非対称に上げています。『あれ? なんだろう?』と思い、念のため動画を撮りました。母に『なんだろう? 大丈夫かな?』と聞くと、母は『モロー反射じゃない?』と言いました。

でも念のためと思って、すぐにあかりを産んだ大学病院の脳外科を受診して、医師に動画を見せると『20日後に経過観察のための脳のMRI検査の予約が入っているけれど、念のためその前に脳波の検査もしましょう』と言われて、予約を取って帰宅しました」(ますみさん)

しかし翌日には、首をすくめて寄り目になり、腕を左右非対称に上げる動きを1時間に1回はするように・・・。

「『絶対におかしい』と思って、急いで再診したところ、小児神経の医師が診てくれました。あかりの動画を見た医師から『脳波の検査をしないとはっきりとは言えませんが、点頭てんかんだと思うので、すぐに入院できますか? 検査しましょう』と言われて、そのまま入院することになりました」(ますみさん)

ますみさんは、インターネットで点頭てんかんについて調べました。点頭てんかんとは、乳児期に発症する難治性のてんかんです。

「点頭てんかんについて調べているうちに、ウエスト症候群という病気に行きつき、この病気かな? と思ったりもしました。そしてアイカルディ症候群にも行きついたのですが、症状の1つに目の異常と書かれていて、あかりは追視をするので、すぐにこの病気は違うと思いました。

ウエスト症候群の場合は、早期発見・早期治療が大切と書かれていて、『すぐに受診したし大丈夫だよね』と、自分に言い聞かせていました。

そもそも1カ月健診だって問題なかったし、生後1カ月の脳のMRI検査でも医師から『とくに問題はない』って言われたんだから、きっと大丈夫と願うような気持ちで、あかりに付き添っていました」(ますみさん)

アイカルディ症候群は、目の異常も症状の1つ。あかりちゃんも生後8カ月からめがねを使用するように。

あかりちゃんは入院しながら、脳波の検査、血液検査などをしました。

「目の検査もすることになり、私と実母で検査室の前で待っていたのですが、突然、医師が何人もあかりがいる検査室に入っていきました。若い医師も多かったです。母と『赤ちゃんの検査だから珍しいのかしら?』と話したりしましたが、なんかとても嫌な予感がしました」(ますみさん)

アルカルディ症候群は、脳梁欠損、目の異常、点頭てんかんの3つの症状が確認されることで診断されます。あかりちゃんは検査の結果、これらの症状がすべてそろいアイカルディ症候群と診断されました。生後3カ月のときでした。

「アイカルディ症候群は10万人に1人と言われている希少難病です。女の子に多く、点頭てんかん、目の異常、脳梁欠損が確認されると診断がつきます。
あかりは追視をするので、目には問題ないと思っていたのですが、しっかり調べたところ左目の視神経異常が見つかりました。

またアイカルディ症候群についてインターネットで調べたら、歩行可能例は10〜20%、言葉が話せるのは10%前後とも書かれていました。

あかりは現在7歳になりましたが、話したり、自分で歩くことはできません。

医師から説明を受けたときは10万人に1人の病気なのに、なぜ私の子なの・・・。私が何をしたというの? と悲しくて、切なくて、不安で・・・。目の前が真っ暗になりました。あのときは平常心を保つことなんかできなかったことを今でも、覚えています」(ますみさん)

お話・写真提供/ますみさん 協力/姫君会 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

▼続きを読む<関連記事>後編

ますみさんが、あかりちゃんの異変に最初に気づいたのはてんかん発作です。「てんかん発作は、すぐにてんかんと気づかないこともあります。でも“おかしいな”と感じたら動画に撮って、すぐに受診したほうがいいです。小児神経外来などで、てんかんの専門医に診てもらったほうがいいです。ママ・パパの勘違いでもいいんです! “おかしいな”と感じた親の直感をまずは信じてほしい」と言います。
インタビュー後編は、あかりちゃんの点頭てんかん発作の治療と今の生活について紹介します。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

アイカルディ症候群 家族会

アイカルディ症候群|あーちゃん日記

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年12月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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