薬の一包化って知ってる?メリットや注意点を薬剤師が解説
複数の薬を服用している場合にとても便利な「薬の一包化」。いちいち包装シートから取り出す手間を省けるだけでなく、飲み忘れ、飲み過ぎを防ぐためにも活用できます。
今回は、知っているととても便利な薬の一包化について、メリットや注意点も含めて解説します。
薬の一包化とは?
薬の一包化とは、服用のタイミングが同じ複数の薬を1袋ずつにまとめることです。(※1)同一の医療機関だけでなく、複数の医療機関で処方された薬や、すでに処方されている薬を合わせて、一包化することもできます。
薬の一包化のメリット
ここからは、薬の一包化による具体的なメリットをご紹介します。
飲み忘れ・飲み過ぎを防止
薬を一包化すると、一度に服用する薬がひとつの袋にまとめられているため、薬の飲み忘れや飲み過ぎを防げる点がメリットです。
処方された薬を飲むのを忘れてしまったり、間違えて多く飲んでしまったりといった経験をしたことはないでしょうか。薬の飲み忘れや飲み過ぎは、薬の量や種類によっては、効能が強く出すぎたり、弱くなってしまったり、副作用が出たりする可能性もあります。
一包化なら、薬を飲む日付や曜日、服用タイミングなど、情報がまとまって記載されているので、服薬管理がしやすくなります。
複数の薬もまとめて管理できるため、個別に保管するよりも紛失する可能性が低くなるのも利点です。
薬袋には日付や服用タイミング、薬剤の名前や服用者の氏名も印字できる場合が多いので、家族間での薬の取り違えを防ぐことにもつながります。
薬が取り出しやすくなる
一包化はひとつの袋にまとめて薬剤を入れるため、薬の取り出しがとても簡単になります。
通常の錠剤やカプセルは「PTP包装」「SP包装」「ラミネート包装」などを使用しています。健康な方にとっては何気ない取り出し作業でも、高齢の方や指先が不自由な方などにとってはかなりの負担です。
しかし、一包化すれば、取り出し作業の手間が少なくなり、ハサミなどの道具を使うこともなく、手で簡単に開けられます。
また、乳幼児や高齢者などが誤って包装シートを誤飲するリスクもなくなります。
薬の一包化を希望する場合の流れ
まずは、病院で医師に相談、もしくは薬局で薬剤師に一包化の希望を伝えましょう。薬剤師が医師に確認をとり、医師の了承後、一包化を行います。
医師の了承は保険適用にも関わってくるので重要です。医師への確認がとれない場合は、実費負担になる場合もあるので、きちんと確認をとりましょう。(※2)
薬の一包化の注意点
便利な薬の一包化ですが、薬の種類によっては、一包化できないこともあります。たとえば、湿気に弱い薬や遮光が必要な薬は一包化ができない場合があります。(※3)
また、一包化は薬を1回分ずつに分けるため、通常の調剤よりも受け取りまでに時間がかかったり、一包化加算として自己負担額が増加したりすることがあるので注意しましょう。
そして、一包化は長期保存に向いていない点がデメリットとして挙げられます。一包化は薬剤をシートから取り出して移し替えるため、空気に触れます。薬が湿気や酸素などの影響を受けることがあり、本来の使用期限よりも短くなるのが欠点です。
そのほかにも、それぞれの薬の見分けがつきにくくなり、どんな薬かひと目ではわからなくなりやすいことにも注意しましょう。
複数の薬を使用しているなら一包化を検討してみましょう
薬の一包化のメリットは多く、とくに薬の量や種類が多い場合に重宝します。複数の医療機関で出してもらっている薬も、まとめて一包化できる点も魅力です。
そして、服用タイミングを間違えることなく、誤飲のリスクも下げることができ、指先が不自由な方にとって取り出しの負担が軽減される点もメリットです。薬の一包化を希望する場合は、まずは医師や薬剤師に相談してみてください。
PROFILE
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211332f2tmhy00010110&utm_source=tamahiyo&utm_medium=referral&utm_campaign=241217