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臨床心理士の母親。自身の子育てで気づいた3つの反省。頑張りすぎず「51点」の親でちょうどいい

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スマイリー親子
●写真はイメージです
yamasan/gettyimages

臨床心理士・公認心理師の吉田美智子先生には、高校2年生の子どもがいます。吉田先生が、臨床心理士・公認心理師になったのは40歳を過ぎてからです。『内向的な子のすごい力』の著書がある吉田先生に、先生が歩んできた人生の道のりと、自身の子育てについて聞きました。
全2回インタビューの前編です。

外資系企業で15年間働き、キャリアチェンジ

吉田先生は、臨床心理士・公認心理師になる前は、外資系企業で働いていました。

――吉田先生が、臨床心理士・公認心理師をめざした理由を教えてください。

吉田先生(以下敬称略) 私は、15年間外資系企業で働いていました。そのころは独身で、キャリアアップのためにバリバリ働いていた感じです。しかし、燃えつきてしまったんです。

ずっと仕事が生きがいで、深夜までの残業なんて当たり前! みたいな働き方をしていたのですが、気がつけば燃えつきていて「もう無理だ・・・」と思い、退職を決意しました。1年ほど何もしない時期があり、自分では「そのうち元気になって、また働きたいと思うようになるだろう・・・」と考えていたのですが、1年休んでも気力がわきませんでした。

休んでいる間は、よく図書館に行って本を読んでいたのですが、たまたま心理学者の河合隼雄先生の本を読み感銘を受けました。「心理学を勉強してみたい」と思ったんです。
そして38歳で、東洋英和女学院大学大学院に入学して、心理学を学びました。
夫とは大学院で出会い、40歳で結婚しました。

――子どもを授かったときのことを教えてください。

吉田 息子を授かったのは、大学院を修了してからです。臨床心理士の資格を取るために1年ぐらい勉強していたのですが、その時期に息子を授かりました。試験のときつわりでつらかったことや、面接のときは、おなかが大きかったので面接官の方に気づかっていただいたことを今でも覚えています。

時代と共に、ママ・パパからの相談内容にも変化が

吉田先生は、臨床心理士、公認心理師の資格を取得し、子育てをしながら東京都や神奈川県、埼玉県でスクールカウンセラーをしていました。

――スクールカウンセラーをしていて気づいたことを教えてください。

吉田 現在は、スクールカウンセラーはしていないのですが、資格を取ったあと、15年以上スクールカウンセラーをしていました。

ママ・パパからの相談は、時代と共に変わります。何年か前まではママ・パパが子どもに望むことは「いい大学に入って、いい会社に入ってほしい」「いい大学に入って、安定した生活を送ってほしい」ということでした。

しかし最近は、ママ・パパから「将来、AIに仕事を奪われないような仕事についてほしい」「正社員になってほしい」という声を聞くようになりました。「そのためには成績は常に〇位以内に入らないと!」「〇〇大学ぐらいには入らないと!」と、子どもに言うママ・パパもいるようです。そうした家庭環境で育つと、子どもはすごくプレッシャーを感じます。小学生でも過度に成績を気にする子がいて心配になります。
ママ・パパも、先行き不透明な社会の中で、子育てをしていくことが不安なのでしょう。

せかしてばかりいた自身の子育てを反省

吉田先生は自身の子育てを振り返って、反省していることが3つあると言います。

――吉田先生の子育てについて教えてください。

吉田 スクールカウンセラーをしていたりしましたが、私自身の子育ては失敗が多かったと思っています。息子は現在、高校2年生ですが、振り返ると反省していることが3つあります。

1つが、せかす子育てをしてしまったことです。私は、息子を保育園に預けて、スクールカウンセラーをしていたので、とにかく毎日がバタバタと忙しかったんです。朝は「仕事に遅れるから急いで!」と、息子をせかして保育園に連れて行っていました。夕方も保育園の帰り、息子は寄り道をしたがるのですが、息子につき合っていたら、夕食や寝る時間がどんどん遅くなってしまうので「急いで帰るよ!」とせかしていました。
もっと、ゆっくり息子のペースに合わせてあげればよかったと反省しています。

親がせかして育てると、子どもはせっかちになりがちです。
たまたま息子は、根っからののんびりやさんだったので、せっかちにはなりませんでしたが・・・。息子の気質に救われたと思っています。

――あと2点、反省していることとはどんなことでしょうか。

吉田 2点目は、息子の好きなことに私自身、義務感でつき合っていたことです。
息子は電車が好きで、よく親子で電車を見に行ったりして、子どもの電車好きを私も楽しんでいました。親がいろいろ調べて、いろいろな電車に乗りに行ったのもすごくいい思い出です。
ただ私の中に、電車よりは、虫が好きとか、工作好きなどのほうがいいんじゃないかな、というような感覚があり、「何かほかに打ち込むことをもってくれたらいいのに・・・」みたいな気持ちがありました。子どもが好きなことに夢中になるのは、それだけで豊かな時間なのだから、大人が勝手に価値づけするのは親のこころが貧しかったなと反省しています。

3点目は習い事についてです。小学生のときに、実験教室に通わせていたことがありました。その教室は、息子が「通いたい!」と言ったわけではなく、私が「実験に興味をもつような子になってほしい」と思って、通わせたんです。
息子からすると「別に興味はないけどママが言うなら・・・」という感じです。「楽しい教室に通わせたら興味が芽生えるかも」という私の期待はかなえられず、がっかりしなかったかと言われればうそになりますが、しみじみ親の自己満足で通わせても意味がないなぁと反省しました。

――子育て中のママ・パパにメッセージをお願いします。

吉田 私自身の子育ての反省も含めてなんですが、ママ・パパは、100点満点の親をめざさなくていいんです。
100点満点をめざすと、理想と現実のギャップに悩み、イライラがつのり、子どもに当たってしまうこともあるでしょう。それが繰り返されると「僕(私)はダメなんだ・・・」と自分を責めたり、自己肯定感が低くなる子どももいます。

心理学では、51点の親で合格とよく言われます。子育ては長く続くものなので、51点ぐらいでちょうどいいんです。

お話・監修/吉田美智子先生 取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部

▼続きを読む<関連記事>後編

自身の子育ての反省を、ざっくばらんに話してくれた吉田先生。せかす子育てや親の自己満足の習い事などの体験談を読んで「うちも・・・」と思ったママ・パパもいるのではないでしょうか。吉田先生は「私の子育ての反省点を反面教師にしてほしい」と言います。

吉田美智子先生(よしだみちこ)

PROFILE
臨床心理士、公認心理師。外資系企業勤務後、心理臨床の道を志す。臨床心理士の資格取得後、東京都、神奈川県、埼玉県のスクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、心理カウンセリングルーム「はこにわサロン東京」(東京都港区)を開室。代表を務める。

はこにわサロン東京

『声かけで伸ばす 内向的な子のすごい力』

2000人以上の親子の悩みを解決した元スクールカウンセラーが伝える、内向的・HSCの子どもとのかかわり方を紹介。吉田美智子著/1760円(ディスカヴァー・トュエンティワン)

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2025年1月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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