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小児科医が注意喚起!子ども乗せ自転車で後部座席の子が、太ももを骨折する大けがが増加。事故原因となるやりがちNG行為とは?

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ダミー人形の足が、カードレールと接触する様子(国民生活センターの実験より)

自転車の後部座席に子どもを乗せて走行中に、子どもの足がガードレールや車止めのポールなどに接触して、太ももの骨(以下、大腿骨・だいたいこつ)を骨折する事故が発生しています。子どもが重篤なけがを負った事例も複数みられていることから、国民生活センターも注意を呼びかけています。子どもの事故に詳しい、小児科医 山中龍宏先生に事故が起きる原因や対策について聞きました。山中先生は「こんな太い骨が折れるのは大変なことです。ここ数年増えていることも気になります」と話します。

自転車の後部座席に座って足を伸ばしたり、ガニ股で乗っていて事故が発生

自転車走行中に、ダミー人形の足がポールに接触する様子。(国民生活センターの実験より)

山中先生は「自転車の後部座席に座っていた子どもの足が障害物と接触して、大腿骨を骨折するのは、かなり危険な事故」だと言います。

――子どもが自転車の後ろに乗っていて、大腿骨を骨折する事故について教えてください。

山中先生(以下敬称略) 子ども乗せ自転車の後部座席に子どもが乗っていて、走行中に自転車用チャイルドシートのフットレストに足を置かずに、足を伸ばしていたり、足をブラブラさせていて、ガードレールや車止めのポール、標識などに足がぶつかり、大腿骨を骨折するというものです。
またチャイルドシートのフットレストに足を乗せていても、ガニ股で座っていて、走行中に障害物に足がぶつかり、大腿骨を骨折したという報告もあります。ガニ股になるのは、子どもが成長して足が長くなり、座ったときに窮屈なのでしょう。

――大腿骨は、ちょっとぶつかると折れてしまう骨なのでしょうか。

山中 大腿骨は、人体でいちばん大きい骨で、交通事故や高いところから落下するなどの強い衝撃が加わらないとなかなか骨折はしないものです。そのため子どもの大腿骨が折れてしまっているということは、障害物に接触したとき、子どもの足にかなりの衝撃が加わっているということがわかります。

大腿骨を骨折すると、激痛を伴うことはもちろん、入院治療となり手術が必要なことも多いです。大切な骨なので大腿骨が折れると立ったり、歩いたり、座ることができなくなり、足を固定してベッドで安静にしていなくてはいけません。入院期間も長期にわたることが多いので、子どもにとってはかなりつらい治療です。

ゆっくり走行や電動アシスト自転車でなくても、大腿骨骨折の事故は起きる

大腿骨を骨折すると、特別な器具で足を固定し、足を引っ張り続けることで骨のずれを直す「けん引」という治療が主に行われます。治療の様子を再現したイメージ写真。(医師より提供)

2025年3月17日、東京都セーフティ・レビュー事業(基礎研究事業)シンポジウムが開かれ、「自転車による大腿骨骨折事故のメカニズムについて」の発表がありました。

――大腿骨を骨折する自転車の事故について、さらに詳しく教えてください。

山中 先日行われた、東京都セーフティ・レビュー事業(基礎研究事業)シンポジウムでは、「自転車による大腿骨骨折事故のメカニズムについて」と題し、東京都立小児総合医療センター 救命救急科 坂谷真菜先生と、産業技術総合研究所 人工知能研究センター主任研究員 北村光司先生が講演しています。

それによると東京都立小児総合医療センターと国立成育医療研究センターが合同調査を行ったところ、都内では2019年からこのような事故の発生が見られるようになり、ここ最近では毎年10件近くも起こっているそうです。

――障害物にぶつかった衝撃で大腿骨が折れてしまうのでしょうか。

山中 足がガードレールなどの障害物にぶつかった瞬間も自転車は前に進み、障害物と自転車用チャイルドシートの間に太ももがはさまり、大腿骨に強い衝撃が加わって骨折するということがわかっています。

――自転車がスピードを出して走っていると、この事故は起きるのでしょうか。

山中 坂谷先生が診察した4歳の子は、自転車の後ろを上の子(小学生)が走ってついて来ていたということだったので、それほどスピードは出ていなかったそうです。
確かにスピードが出ているほうが、障害物に接触したとき、この事故が起きるリスクは高いのですが、ゆっくり走れば大丈夫とは一概には言えません。

――電動アシスト自転車のほうが、事故のリスクは高まるのでしょうか。

山中 この研究によると、電動アシスト自転車は車体自体が重いので、万一、障害物と接触したとき、より衝撃が加わり、子どもが大腿骨を骨折するリスクが高まるということがわかりました。
しかし電動アシストがついていない自転車(18kg)を、体重42kgの人が時速10kmで運転し、子どもが障害物に接触するシミュレーションでも、大腿骨を骨折するほどの衝撃が加わることがわかっています。時速10kmは自転車をゆっくりこぐ程度のスピードです。

障害物があるときは自転車を降りる対策を

車止めアーチの間を通過中に、ダミー人形の足が接触する様子(国民生活センターの実験より)。

自転車走行時の、子どもの大腿骨骨折を防ぐには、いくつかの対策があります。

――自転車の走行中に、大腿骨を骨折する事故を防ぐには、どうしたらいいのでしょうか。

山中 たとえばヨーロッパのメーカーでは、自転車用チャイルドシートのフットレストに足を固定するベルトがついています。日本でも販売されているので、そうした自転車用チャイルドシートを選ぶのも一案です。
また、日ごろからフットレストに足を置くこともしっかり教えましょう。

大腿骨の骨折だけでなく、自転車の走行中、顔や頭部が障害物に接触してけがをする事故もあります。

そのため
●自転車用チャイルドシートに深く座らせて、ベルトをする
●ガードレールや車止めのポール、電柱などの障害物がある場所では、自転車を降りて押す――などの対策をとってください。

お話・監修/山中龍宏先生 写真提供/独立行政法人国民生活センター 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

自転車運転中は、ママ・パパも後ろに座っている子どもになかなか注意をはらえないこともあると思います。しかし、こうした事故があることを知って、安全に子どもの送迎などを行ってください。

●記事の内容は2025年3月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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