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【女優・加藤貴子 脳医学者と語る】子どもの脳の発達を伸ばす親子のかかわり。これっていいの?悪いの?

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「ゲーム中の言葉づかいが悪い」「生き物を飼ってもすぐお世話に飽きる」など、育児中によくある困りごと。女優の加藤貴子さんが、8才と5才の男の子の子育てで気になることについて、脳医学者である東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生が、脳の発達の観点からアドバイスをしてくれました。加藤さんが育児にかかわる悩みや気になることについて専門家に聞く連載第13回です。

あたたかな愛着形成が「育脳」の土台になる

加藤さん(以下敬称略) 子どもの脳の成長には乳幼児期のかかわりが大切と聞くことがあります。「育脳」という言葉を聞いたことはあっても、毎日の生活にいっぱいいっぱいで、とくに意識せずにここまで来てしまいました。子どもとのかかわりは、自分の母をお手本に童謡や子守歌を歌ったり、抱きぐせなどは気にせずに子どもが泣いたらたくさん抱っこをするようにしていました。特別なことはしていないけれど、子どもの脳の成長にとってはどうだったのかな、と気になります。

瀧先生(以下敬称略) 私たちの脳の発達にとってまず大切なことは、愛着形成です。子どもたちの脳は成長の時期によって、発達をする領域や機能に違いがありますが、生後すぐからの数カ月間は、脳の感覚にかかわる領域の発達が目覚ましい時期です。この時期に、笑顔でぎゅっと抱きしめて、目を見てたくさん語りかけてあげる、ぬくもりを感じさせてあげるコミュニケーションが、脳の発達の土台となります。加藤さんの子どもたちへのかかわりは、脳の発達から見てもすばらしいと思いますよ。

加藤 小学校2年生でもまだ“ぎゅっ”としてあげてもいいんですか?

瀧 全然構いません。私たち夫婦は今でも10才の息子もぎゅっとしていますよ。子どもにとって親は安全基地といわれます。何か困ったことがあったとき、安心して帰れる場所があることが、子どもがさらにチャレンジするための土台になるんです。この土台があるからこそ、知的好奇心を伸ばしたり、運動にかかわる領域の発達を促したり、脳のさまざまな領域の発達につながります。さらに、自己肯定感を高め、自分が愛されるからこそ人を愛することができるという意味でも、とてもいい経験です。

子どもの興味と生活ルールのバランスは?

加藤 わが家で唯一家族全員がそろう夕食の時間では、子どもたちがその日に見聞きしたことや興味があったことについて質問タイムを繰り広げます。私たち親が答えられない質問には、その場でスマホで検索して教えていました。でも最近は、子どもが落ち着いて食事しなくなることが心配で「ごはんが終わったら調べよう」「あとで自分で調べてごらん」と言うようになりました。ただそうすると、食事が終わると質問したことには興味がなくなったり、どうしても気になると途中でも「ごちそうさま」と食事をやめてしまうように。子どもの興味やものごとへの集中と、生活のルールと、どうバランスをとったらいいのか・・・悩んでいます。

瀧 わが家も同じことが起こっています(笑)。子どもが寝る時間になっても読書に集中しているときに「そろそろ寝る時間だよ」と言っても「キリのいいところまで読みたい」とか。本に熱中するあまり落ち着いて食事ができないこともありますし・・・多くの家庭で同じようなことがあるんじゃないでしょうか。

何事にも興味を示さないのは心配すべきですが、いろんなことに興味を示すのはすばらしいこと。ただ親としては、生活のルールやマナーも伝えるべきだと思いますし、「食事中はよくないよ」「あまり遅くまで起きてると次の日起きられないよ」と注意を促す必要はありますよね。そのバランスが難しいところではありますが、子どもの興味の芽をつぶさないような声かけを心がけたいですね。

加藤 そう考えると「これを調べたら食事に戻ろうね」と折り合いをつけながらでもいいのかもしれませんね。

乱暴な言葉づかいにドキッ・・・いのちの大切さを教えるには

加藤 子どもたちがオンラインゲームで遊ぶときに「死ね!」「ぶっ殺す!」など乱暴な発言をするようになっています。男の子だから多少はそういうこともあるだろうと思いつつも、そういう言葉を理解せずに使うのは恐ろしいことだと思います。命について話そうとしても聞く耳を持ちません。

瀧 時代の流れですね・・・、うちの子どももそうです。ゲームに熱中すると普段はあんまり使わない「死ね!」なんて言葉も口にします。自分で実況するように話しながら友だちとオンラインゲームをするのは、最近の子どもたちのある意味スタンダードなんでしょうね。それがいいか悪いかは置いておいて、親としてはどうやって接するか、考える必要がありますよね。

加藤 そうなんです。それが、去年からヒョウモントカゲモドキを飼い始めたり、保護猫を預かって一緒に生活するようになったんですが、そのことで子どもたちが少し変わってきたと感じます。はじめは力の加減がわからなくて猫を乱暴に扱っていたけれど、「こう触ったらダメだよ」「こうしてあげると気持ちいいんだよ」と少しずつ教えることで、命の大切さを伝えるきっかけになったかな、と感じています。生き物と触れ合うことは、脳医学的にはどんな力が育つんでしょうか?

瀧 私たちは、命がどんなものかを実際に触れて初めて知ることができますよね。たとえば昆虫採集では昆虫を捕まえてリリースしたり標本にしたり、釣りに行って魚を釣って食べたり、そういう経験を通して命がどんなものかを知ります。うちも猫を飼っていますが、人以外のしゃべれない生き物と接することは、まさに共感性を育む上でとても大事なことです。共感性とは、相手の気持ちを理解して適切な行動をとること。人を思いやる力、相手の気持ちを理解し寄り添える力を育てることは、大人になって社会の中でさまざまな人と一緒に生きていく力につながります。

子どもたちがゲームの最中に使う乱暴な言葉は、心からそう思っているわけではなく反射的に出ているんでしょう。けれど、その言葉の重みを理解する点で生き物に触れることは大事だと思います。

加藤 釣りで思い出しましたが、子どもたちと釣ったザリガニを飼うときに「毎日水を換えないとくさくなるから、飼うなら責任を持ってやりなさい」と言ったんですけど、結局私がやることに・・・。子どもたちにどこまでやらせるのか、親が手を貸していいものなのか、そこも迷います。

瀧 わかります。わが家も捕まえたカブトムシを家で飼って、最初は子どももお世話するんですが、塾や習い事や友だちとの約束で忙しいと結局親が世話することになりますよね(笑)。

ただ、子どもは基本的に親を見て育ちますので、親が生き物を大切にしている姿を見ていると、大人になってからもそれを覚えているはずです。そして自分も子どもを持つとなれば、きっと親にしてもらったことと同じことをするでしょう。だから、親が生き物のお世話をする姿を見せるだけでもいいのかなと思います。

加藤 そうなんですね。ザリガニやカブトムシを捕まえても、いつも中途半端に面倒を見るのはかえってよくないのかな、と思っていたんですが、しばらくは一緒にお世話してあげようと思います。

親の好きなことでも一緒にやれば子どもは伸びる

加藤 私は子どもと一緒にケーキを作ったり、キャンプに行ったりするのが好きなんですが、子どもたちは「僕たちはママにつき合ってあげてる」と思っているようです(笑)。子どもにいろいろ経験させるには、親の興味があることに一緒に取り組むのもいいのでしょうか?

瀧 子どもは人生経験が少ないし視野が広くありませんから、何をやると楽しいかわからないことも多いですよね。親にできるのは、まず選択肢をたくさん与えてあげることだと思います。私も、自分がやりたい昆虫採集や釣りに行くとき、子どもを引っ張り出します(笑)。

ここでの脳科学的なポイントは、子どもは親の行動の模倣をするということ。模倣は行動だけでなく感情も伝播するといわれています。つまり、親が楽しくやっていることを見ると、子どもにもその楽しさが伝わるわけです。逆に親が子どものためとやりたくないことを我慢してやっている姿を見ると、当然子どももすぐわかります。
親が楽しんで取り組む姿を見る中で、子どもはその中の何か一つを選んで熱中するかもしれないし、別のことを選ぶかもしれないけれど、人生の選択肢は広がります。私は、ママやパパが楽しくいろんなことにチャレンジする姿を見せることこそ、究極の教育だと考えています。

お話/加藤貴子さん、瀧靖之先生 監修/瀧靖之先生 撮影/アベユキヘ 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

瀧先生のお話から「育脳」を意識して特別なことをしなくても、子どもに愛情を持って接するかかわりこそ、脳を育てる土台になる大切なことだとわかったのではないでしょうか。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

加藤貴子さん(かとうたかこ)

PROFILE
1970年生まれ。1990年に芸能界デビューして以降、数々の作品に出演。代表作として『温泉へ行こう』シリーズ(TBS系)、『新・科捜研の女』シリーズ(テレビ朝日系)、『花より男子』(TBS系)などがある。

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