3姉妹のパパ、NON STYLE石田。時間差で泣いて、同時に別方向へ走り出す・・・、大変だった双子育児。それでも3人目を望んだのは妻のひと言がきっかけ
お笑い芸人として、また最近では舞台の演出や脚本、絵本制作なども手がける、NON STYLEの石田明さん。プライベートでは、8歳になる双子の長女・二女、5歳になる三女と、3姉妹のパパでもあります。2025年の父の日に発表された「たまひよ 好きなパパランキング」の芸人・YouTuber部門にランクインするなど、子煩悩なパパとしてもすっかりおなじみに。今回は、芸人として忙しい日々を送りながらも、3人の娘さんたちとどのように向き合っているのか、また双子育児について聞きました。
全2回インタビューの前編です。
仲よしだけど、嫉妬し合う双子たち。それぞれとデートをする時間も大切に
――仕事が忙しい中で、子どもたちとの時間をどのように作っていますか?また、仕事と子育てはどのように両立していますか? 
石田さん(以下敬称略) 家族との時間を作るために、できるだけオフをいただけるようにお願いはしていますけど、望みどおりにはいかないですよね。だから、子どもたちが学校や幼稚園に行くときにはできるだけ見送りをしますし、三女の幼稚園の送り迎えは、家にいるときは僕がしています。
「仕事と子育ての両立は?」と聞かれることも多いですが、“両立”という言葉を使うことに抵抗があります。子育てを“仕事”のような感覚で捉えているから、そういう表現になってしまうのかなと。仕事と遊びの両立とは言わないですもんね。だから、その感覚を無くしてもっとフラットにとらえれば、両立という言葉を使わなくても済むのにな〜と思います。僕の場合は、仕事のすき間時間に子どもたちと遊ぶんですけど、その時間は生活の一部という感じです。
――姉妹3人は、それぞれどんな性格ですか? 
石田 上2人は一卵性双生児なんですが、性格が全然違うんです。三女含めて、3人それぞれ性格が違います。ただ共通しているのが、平和主義者なところですね。
長女は楽しいことが好きで、ふざけるのが大好きなんですけど、学校に行くとすごく真面目なところがあります。
二女はマイペースで、クリエイティブなことが好き。絵を描いたり、文字を書くのも好きですし、創作意欲が高いように思います。
三女は、妻がよく言うのが「人生何回目なんだろう」って(笑)。すごくしっかり者なんですけど、しっかり者であることが損だと気づいたみたいで。最近は“プーちゃん”という謎のキャラクターになって、赤ちゃん言葉を使って甘えてきます(笑)
――双子を育てる中で、双子らしいなと思うことはありましたか?
石田 双子は、同じ歳の友だちが家にいる感覚のようです。気づいたら、2人べったりくっついていますよ。遊び相手が常に隣にいるのと同時に、ライバルも常に隣にいる環境なんです。ひとりっ子だと、ごはんを完食できただけで「すごいね〜!」じゃないですか。でも2人だと、どちらかが先にごはんを食べ終えるし、どちらかが先に抱っこしてもらえるんです。だから、「一番になりたい」というこだわりが強い気がします。
あとは、2人だけでわかり合えているんだなと感じることが多いです。けんかしているなと思っても、ちょっと目を離している間に、もうケラケラ笑っていたり。お互いに言葉がなくてもわかり合えるので、言葉にそこまで頼っていない気がします。だからなのか、しゃべり出すのは少し遅めでした。
双子が小さいころに、1人が迷子になってしまったことがあって。一か八かで、もう1人の子を歩かせてみたら、その先に迷子になっていた娘がいたんですよ。この不思議な体験は、双子ならではなのかなと思いました。
――双子の育児で意識したことはありますか?
石田 同じぐらいの回数、抱っこをするように心がけてきました。ただ、「父ちゃんは、〇〇(長女)のこと好きなんでしょ〜」とか、「父ちゃんは〇〇(二女)と一緒にいるときのほうが優しい顔をしている気がする」など、お互いに嫉妬し合うこともあります。
そんなときは、「そんなことはないよ、父ちゃんは家族みんなが大好きだよ」と伝えています。あとは、双子1人ずつとデートに行きますね。近所の商店街と近場程度ですけど。でも、双子それぞれと、2人きりの時間をもつことは大切だなと思います。
――そこに三女が加わって、関係性は変わりましたか?
石田 三女が生まれて、3人で一緒に遊べるようになってくると、三女が長女と二女、どちらかと遊ぶような構図になってしまうことがあります。そうすると、たとえば長女の場合は、二女を三女に取られたという嫉妬と、どうして自分のところに来てくれないの?という嫉妬と、いろいろな感情が生まれるみたいです。だから、それぞれでよくけんかをしていますけどね。
片方ずつ時間差で泣いて、同時に別方向へ走り出す・・・。大変だった双子育児
――初めての育児で、しかも、双子育児。当時は、やはり大変でしたか?
石田 生まれたばかりのころは、かなり大変でした。双子が一緒に泣いてくれたらまだいいんですけど、これが見事にズレるんですよね。1人を寝かしつけたと思ったら、もう1人が泣き始めるんです。僕の感覚ですけど、それって、双子の防衛反応なんじゃないかと。2人同時に泣いても、親が1人の場合って、どちらかしか抱っこしてもらえないじゃないですか。だから、交互に泣くのかなと思うんです。
そして妻は常に、2人交互におっぱいをあげているような状態でした。だから夜だけでも、搾乳して冷凍しておいた母乳を僕が哺乳びんであげるようにしていました。僕は仕事に出てしまえば、移動中などで仮眠をすることはできたので。妻には、夜はなるべく寝てもらうようにしていましたね。
――その大変さは、成長とともにどう変化していきましたか?
石田 双子が歩き始めると、また違った大変さがありました。よく、子どもが歩き始めると目が離せない・・・なんて言いますけど、うちの場合は双子なので、ホンマに目が離せないですよ(笑)。同じ方向に行ってくれればまだいいんですけど、2人がそれぞれ、真逆の方向へ行ってしまうので。2歳から3歳あたりの時期は、とくに大変でした。
その時期にやってくるイヤイヤ期も、親に振り向いてほしいという欲求もあるじゃないですか。どっちが振り向いてもらえるかというバトルが、双子の間で繰り広げられていたように思います。
――双子の子育てが大変な中での、第3子の妊娠、出産だったと思うのですが、当時はどうでしたか?
石田 双子が3歳になる前ぐらいに、妻が、「私がいないと生きていけないぐらいの赤ちゃんの時期がなつかしくなった」と言い出して。新生児がやけに恋しくなってしまったみたいです。それで、次の子を望もうということになったんです。
実は、妻側の親族に双子がいて、家系的に双子が生まれやすいのかな?と思っていて。そうなると、次の妊娠でも双子になる可能性があるわけですよ。もしそうなったら、相当怖いじゃないですか(笑)。「急に4人になったら、どうやって移動する?」みたいな。
結婚する前から、子どもは4人ぐらい欲しいねと妻とは話していたので、子どもが多いのはいいなと思うんです。ただ、また一気にとなると、さすがに大変すぎますね(笑)
でも、最初の妊娠が双子でよかったなと今は思います。初めての子育てって、普通に大変じゃないですか。だから、双子だから大変なのか、初めての子育てが大変なのか、わからないまま子育てしていたんです。もし逆の順番だったら、「え、こんなに双子って大変なの」ってなるんじゃないかなと。
三女が生まれたときは、すごく楽に感じましたね。初めての子育てが2人分だったので、それに比べると大変さも半分。2回目の子育てで、「まあ、大丈夫でしょ!」という肩の抜き方も知っているし。妻は最初の育児で2人分の母乳をあげていたので、1人分であれば、最初のときよりだいぶ楽にできたみたいです。
友人関係で悩む姉妹に、「父ちゃんも同じだった。でも、友だちはだんだんできるよ」
――パパとして、子育ての悩みはありますか?
石田 悩みごとって、人と比べちゃうから出てきますよね。人と比べて、いいことなんかないのにな〜と思います。よく、「◯歳まではしからないほうがいい」などという子育ての考え方があるじゃないですか。それが当てはまる子はそうしたらいいと思うんですけど、妻はそれを聞いて、「うちの場合はそんな子育てをしたら、子どもたち死んじゃうよね」と言っています。双子がそれぞれ走り出して、道に飛び出してしまえば事故に遭ってしまうし、うちの場合はきちんとしからないといけない子どもたちだと思うんですよね。なので、何が正しいというのは自分たちで決めて、ほかと比べないようにしようと思ってます。
――子どもたちから悩みを聞くこともあるんですか? 
石田 双子たちは、小学校に入ってからもいろいろな問題にぶつかっているようです。友だちとの関係性でも苦戦している様子です。
たまに眠る前に、「こういうとき、どうしたらよかったんだろう」と僕に聞いてくることがあるんです。妻からは、友だちの輪に入ろうとしているけれど、行けずに戻ってきてしまうという話も聞いていて。「自分の小学校のころのことを思い出すな〜」なんて思っていました。僕もそんな感じだったんですよ。
なんだか今日は寝つきが悪いな・・・という日があるのですが、そういう日は、何か悩みがあるようです。それで、本人にじっくり話を聞きます。双子はどちらも、友人関係で悩みを抱えているようですが、2人で一緒に言ってくることはないですね。
悩みを聞いたときは「父ちゃんも、全然友だちいなかったよ。でも、今は父ちゃん、いっぱい友だちいるでしょ。だんだん、だんだんと友だちはできるよ」と伝えています。今はすぐに理解できなくても、頭のどこかにこびりついていてくれたらいいのかなと。
遊びを生み出して、子どもと全力で遊ぶ!楽しませるじゃなくて、楽しむのが大事
――石田さんファミリーらしい遊びはありますか? 
石田 子どもたちに人気なのは、「とーランド」です。父ちゃんランド、略して「とーランド」(笑)。僕自身がアトラクションになったり、いろいろなゲームをして競い合わせたりします。わかりやすい遊びでいえば、僕が子どもたちを抱っこしてジェットコースターのような動きをしたり、僕の背中に乗って何秒耐えられるかを競ったり。ちょっと難しいのだと、重さ100gぴったりにそろえるゲームや、10秒ぴったりでストップウォッチを止めるゲームなど。
「父ちゃん、新しいゲームないの?」と子どもたちがよく聞いてくるので、「あ、あるよ〜!」なんて言いながら、その間に必死に考えていることもよくあります(笑)。子どもたちがゲームを考えてくれることもありますね。
とーランドは、子どもたちを楽しませたいというよりは、自分が楽しいからやっているという感覚です。“子どもたちを楽しませたい”と思ってやると、仕事的な感覚になってしまうんですよね。そうすると、疲れちゃうんです。でも、自分が楽しんでいたら、子どもたちとの遊びも疲れないなと僕は思っていて。なので、全力で楽しみます!
何かを楽しむことや、人を楽しませたいという気持ちをもった人になってほしい!
――石田さんは絵本の制作も手がけていますが、子どもたちにも影響しているのを感じますか?
石田 仕事を家に持ち込むタイプではないのですが、子どもたちの前でも、ちょっとお遊びで絵を描いたりはします。その影響からか、子どもたちもオリジナルの絵本を作ったりしているんですよ。そういうのもうれしいですね。
先日、長女が制作したオリジナルの絵本が学校の先生にほめられて、「作家さんになれるかもしれないね」と言われたそうです。その「作家」という響きがうれしかったみたいで。家に帰ってから、「父ちゃんも作家だよね」と言ってきてくれました。
あとは、夜眠る前に、空想で絵本のストーリーを子どもたちと僕がそれぞれ考えて、それを読み合うというのをよくやりますよ。最初は僕だけがストーリーを話していたんですが、「私もやりたい!」と子どもたちも加わってくるようになりました。
――以前、「たまひよ」のインタビューで、「娘たちが17歳くらいまで頑張って漫才やって、“女子中高生ナンバー1芸人”でい続けたい」と語っていました。今、娘さんたちが小学生に成長して、どんなパパの姿を見せられていると思いますか? 
石田 僕がやっている舞台などは見にきてくれて、漫才の楽しさはまだそこまでわかっていないと思うんですけど、どうやら、「父ちゃんはただものじゃない」というのはわかってくれているみたいです。普通のパパとは違うんだなって。
学校で配られる区のイベントのお知らせなどに、僕が載っていたりもするんです。父親が、学校のお便りに出てくることって、あまりないじゃないですか。そういうのを、うれしそうに報告してくれます。
僕の仕事がどうとかではなくて、何かを楽しむことや、人を楽しませたいという気持ちをもった人になってほしいなと思っています。
お話・写真提供/石田明さん 取材・文/内田あり(都恋堂)、たまひよONLINE編集部
3姉妹と遊ぶ時間は“自分が楽しむため”と、自分ごととしてとらえ、全力で遊ぶという石田さん。そんなパパを見ている子どもたちからも、遊びが生み出されたり、眠る前には空想のストーリーを語り合うなど、発想力や想像力も育まれているようです。
後編では、石田さんが芸人になったきっかけや、20代初めのころに発症したうつ病について聞きます。
石田明さん(いしだあきら)
PROFILE
1980年、大阪府生まれ。2000年、中学・高校の同級生だった井上裕介さんとお笑いコンビ「NON STYLE」を結成。2008年に「M-1グランプリ」で優勝を果たす。バラエティ番組などで出演する一方で、最近では俳優や舞台の脚本、演出の分野、絵本制作などでも活躍している。2012年、12歳年下の一般人女性と結婚し、2017年に双子の女の子、2020年に第3子となる女の子が誕生。現在公演中の『ノンタンのわくわくピクニック』の脚本・演出を手がけている。
●記事の内容は2025年9月の情報で、現在と異なる場合があります。


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