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「輸入はしかの感染が拡大」赤ちゃんを守るためにママ・パパができること

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HannesEichinger/gettyimages

今年3月下旬、台湾からやってきた男性旅行者が沖縄県ではしか(麻疹・ましん)を発症。立ち寄った県内の商業施設や飲食店の従業員やお客さんを中心に感染が広がりました。この「輸入はしか」は、本州にも広がりつつあるのでしょうか。
また、はしかをはじめ、海外からウイルスを持ち込まれて国内で感染者を出す「輸入感染症」にかからないようにするにはどうしたらいいのか、輸入感染症に詳しい国立国際医療研究センター感染症科の忽那賢志先生に教えていただきました。

関連:0才代でもかかる"はしか"のワクチンが1才からなのはなぜ?

はしかが本州まで感染が広がっているのは事実

「国内での麻疹流行を防ぐため、2006年よりMR(麻疹・風疹)ワクチンの定期接種を『1回』から、1歳と就学前の『2回』に変更。その結果、15年には流行を抑え込む『排除』を達成していました。
しかし、海外からウイルスを持ち込まれることで、子どものころに予防接種を受けそびれている30代などを中心に、感染者が報告されるように。爆発的な流行ではありませんが、本州まで感染が広がっているのは事実です」(忽那先生)

はしかは手洗いやマスクでは予防できない

「麻疹は40度前後の高熱や発疹が特徴の、ウイルス性感染症。空気、飛沫、接触で感染し、感染力はインフルエンザより強大です。
手洗いやマスクでは予防できず、重症化すると脳症を起こす確率が高い、とても怖い病気。抵抗力の弱い赤ちゃんや高齢者のみならず、体力のある大人でも死亡することがあります。インフルエンザのように抗ウイルス薬がないので、麻疹に感染したら治療薬はありません」

海外・国内の旅行経験がない、東京在住のママも発症

「2018年5月15日には、ここ1ケ月間に海外渡航歴、国内旅行歴のない東京都在住の38歳女性の麻疹感染が報告されています。沖縄で流行している『輸入はしか』との因果関係は解明されていませんが、同じタイプのウイルスであることは確定しています。
日本国内で麻疹が流行するのは春から初夏ですが、熱帯地域では通年流行しているので、季節を問わず持ち込まれる可能性があります。夏を過ぎても油断はできないのです」

予防接種の有無があやふやなママ・パパは、まず抗体検査を

「前述の38歳女性は、ワクチン接種を受けていませんでした。5歳と2歳のお子さんのママなのですが、お子さんは2人ともMRワクチンを1回接種しており、感染は今のところ報告されていません。

現在、MRワクチンは1歳と小学校入学前の2回接種しますが、多くのママ・パパ世代が子どものころは、通常、1回しか接種していませんでした。1回の接種では抗体がしっかり作れないことがあり、ワクチン接種をしていない人と同様に、感染すると重い症状が現れるリスクがあります。かかりつけの病院で抗体検査を受け、免疫ができてない人は2回目の接種を受けてください。2回接種をすれば、しっかりとした免疫を終生獲得できます。

また、ママ・パパ世代の中には麻疹のワクチン接種をまったく受けていない人もかなりいます。そのため、この年代での感染拡大が問題になっているのです。ワクチン接種をしていない人は、すぐに接種を。接種の有無があやふやな人は、まず抗体検査を受けましょう」

ママに免疫があれば、赤ちゃんも6ケ月まで免疫あり

麻疹ワクチンの接種は、通常1歳になってから行います。ワクチンを打てない低月齢の赤ちゃんを感染から守るにはどうしたらいいのでしょうか。

「ママが麻疹の免疫を持っていれば、6ケ月ごろまでは移行抗体によって赤ちゃんも免疫を持っています。麻疹に感染した経験がなくても、ワクチン接種を受けていれば、赤ちゃんに抗体があると思って大丈夫です」

ただ、免疫が切れる6ケ月から、予防接種が可能な1歳までの半年間が心配です。

「家族が感染したり、身近な地域で流行が確認された場合は、緊急避難的に6ケ月から麻疹ワクチンの接種が可能です。だったら、麻疹ワクチンの接種時期を6ケ月に引き下げればいい…と思うかもしれませんが、早い時期に接種してしまうと、効果が十分に得られないことがあるのです。

また、6ケ月~1歳はほかにも重要なワクチンの接種が控えている時期。麻疹は生ワクチンなので、接種すると次のワクチンを接種するまで4週間空けなければならず、ワクチン接種のスケジュールが狂うというデメリットも。1歳前に麻疹ワクチンの接種が必要かは、かかりつけ医とよく相談して決めることが重要です」

「また、次の妊娠を予定しているママは、妊娠前に麻疹の抗体をしっかり作り、先々生まれてくる赤ちゃんに麻疹の免疫を用意してあげましょう。ただし、ワクチンを接種してしばらくの間は体内でウイルスが生きているので、その期間に妊娠すると胎児に影響する恐れがあります。2ケ月間はきちんと避妊してください」

心配な「輸入感染症」は、はしかだけではない

日本を訪れる外国人が持ち込んだり、海外に渡航した日本人が現地でかかって日本に持ち込んだり、さまざまなルートで入っている「輸入感染症」。心配なのは麻疹だけではありません。

蚊に刺されないように注意

「海外ではいろいろな感染症が今も頻繁に発生しているので、どれがいつ日本に入ってきてもおかしくありません。
2014年に流行したデング熱は、感染した状態で日本にやってきた海外旅行者の血を吸った蚊を媒介して、国内で流行しました。
また、ジカ熱が流行している地域に出かけた日本人が、帰国後に発症した例もあります。この2つの感染症は、再び日本で流行する可能性があります。どちらも蚊が媒介するため、これからの時期は蚊が発生しない環境を整えるよう意識しましょう」

海外旅行前にワクチン接種を

1週間程度海外旅行に行く場合、予防接種を受けようと思う人は少数だと思います。でも「それは危険なこと」と忽那な先生は警鐘を鳴らします。

「麻疹のほか、風疹、おたふくかぜ、水ぼうそうは、海外のさまざまな地域で常に流行している感染症。かかったことがない、ワクチン接種をしたことがないというママやパパは、海外旅行に行く前に接種してください。東南アジアに行く場合はA型肝炎のワクチン接種も必要です」

関連:赤ちゃんに発疹が出た! その原因と対処法は?

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催期間中は、多くの国からたくさんの人が日本にやってきます。それに伴い、さまざまな感染症を持ち込まれる可能性がありますが、「日本人がワクチン接種を徹底することで、たとえ感染症を持ち込まれても広がりを抑えることができます」と忽那先生。大事な家族を怖い感染症から守るために、ママとパパのワクチン接種歴を確認して予防を始めましょう。(取材・文/東裕美・ひよこクラブ編集部)

■監修/忽那賢志先生
国立国際医療研究センター、国際感染症センター国際感染症対策室医長。ご専門は、新興感染症、再興感染症、輸入感染症。海外渡航後の感染症などを幅広く診療され、日本初の症例となるジカ熱や回帰熱などを診断。

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