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出生体重800gに満たない双子の息子。「親のかかわりで発育が促される」入院中に経験したNIDCAPとは?【超低出生体重児】

更新

2026年1月、初めてのお正月を迎えた生後9カ月の朗久くん(右)と朋久くん(左)。

3人の子どもを育てる越智友理さん。長女は小学4年生。双子の長男・二男は1歳になりました。
妊娠25週(妊娠7カ月)での破水、緊急帝王切開での出産となった長男の朗久くんの出生体重は790g、二男の朋久くんは786gの超低出生体重児。NICU(新生児集中治療室)やGCU(新生児回復室)に約4カ月間の入院を経験しました。

友理さんに、双子の成長や子育て、都立墨東病院(以下、墨東病院)で受けたNIDCAP(ニドキャップ)について聞きました。全2回のインタビューの後編です。

▼<関連記事>前編を読む

長男は生後2週間で、動脈管開存症と診断されて手術

動脈管開存症の手術を控える長男・朗久くんを応援する、父・晃さん。

早産で生まれた赤ちゃんは、生後72時間はとくに注意が必要といわれています。

「双子を妊娠したときから早産のリスクについては調べていました。出産後、医師は私にはとくに何も言いませんでしたが、夫には『生まれて3日間は、脳出血などの危険がある』と伝えていたそうです。

また長男は生後2週間で、動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)と診断されました。動脈管開存症は、本来なら出生後に自然に閉じるはずの動脈管が開いたままになる病気で、とくに小さく生まれた赤ちゃんに見られるそうです。
私が出産したのは、墨東病院でしたが、長男は手術のために別の病院に搬送されました。手術は無事に終わり、長男は5日ほどで、墨東病院に戻りました」(友理さん)

NIDCAPで、小さな息子たちと積極的に触れ合うように

カンガルーケアをする母・友理さんと二男・朋久くん。

友理さんたちは、墨東病院で、NIDCAP(ニドキャップ)の考え方で双子のケアをしました。

NIDCAPとは、早産児の成長発達と親子の関係性をはぐくむことを目的とした、新生児の神経行動発達理論と科学的根拠に基づいたケアプログラム。海外では取り入れている施設が多く、日本でも2025年現在、15施設で導入やトレーニングが行われています。NICUでの赤ちゃんのケアについて、医療従事者のみが行うのではなく、保護者ができるところは積極的にかかわってもらうという考え方です。
墨東病院もNIDCAPを取り入れています。

「赤ちゃんが生まれて10日ぐらいたってから、夫婦でNIDCAPの説明を受けました。先生は『海外ではNIDCAPの導入が進んでいる』『小さく生まれた赤ちゃんも早期からママ・パパがかかわることで発達にいい影響がある』というような説明を受けて、『もしよろしければNIDCAPをしてみませんか?』と聞かれました。

夫も私も迷うことなく、『ぜひお願いします』と答えました」(友理さん)

友理さんは、NIDCAPの考え方を通して、小さな息子たちと積極的にかかわり始めました。

「搾乳した母乳をシリンジで飲ませたり、絵本を読み聞かせたり、採血のときは赤ちゃんを手で包むホールディングをしたりしました。長男の朗久は790g、二男の朋久は786gで生まれたので、『こんなに小さいのに、こんなふうに触れ合えるの?』と驚きました。採血や眼底検査のあと、私がホールディングすると泣きやむのも早いように感じました」(友理さん)

「息子たちの力になりたい」と夫が、赤ちゃんの体を安定させる“砂のう”カバーを手作り

夫・晃さんが作った、ムーミンの砂のうカバー。

NICUでは、保育器の中で赤ちゃんの体位を安定させる目的などで砂のうという小さくて軽いクッションのようなツールを使っています。大きさやサイズはいろいろありますが、100g~300gぐらいが一般的です。

「双子が生まれたばかりのとき、朗久の保育器ではパンダ柄の砂のうカバーが、朋久の保育器ではカブトムシ柄の砂のうカバーが使われていました。それがかわいらしくて、あたたかくて、まだ名前が決まっていなかった長男を『パンダくん』、二男を『カブトムシくん』と呼んでいたこともあります。

聞いたところでは、NICUの保育器で使われる砂のうのカバーには赤ちゃんの顔色がよくわかるようにという意味で白無地のカバーが使われることが多いそうなのですが、墨東病院では手作りのかわいい柄のカバーを使っていました。看護師さんが作ってくれたものです。
手作りのカバーを手に取ると『頑張ってね!』と応援してもらっているようでうれしかったです。産後間もない時期は、自分を責めたり、落ち込んだりしていたので・・・。

しだいに夫と私も、ミシンで砂のうカバーを作るようになりました。

夫は『息子たちのために何かしてあげたい』という思いが強かったようで、仕事から帰って来ると、深夜までミシンをかけながら、一生懸命砂のうカバーを作っていました。2人で作った砂のうカバーは43枚。サイズはさまざまで、バスタオルをU字状に入れるカバーなども作り、墨東病院にも寄付しました。微力だけど、私たちと同じような赤ちゃんとママ・パパの力になりたい! と思ったんです。
今でも手元に砂のうはいくつかあり、息子たちが愛用しています」(友理さん)

出産から約4カ月後に、2人そろって無事退院

お姉ちゃんと遊ぶ、生後11カ月の二男・朋久くん。

長男・朗久くんと二男・朋久くんが退院したのは、出産から約4カ月後。2人はすくすく成長し、退院したときの体重は、長男の朗久くんが3852g、二男の朋久くんが3728gでした。

「長男・朗久の未熟児網膜症(みじゅくじもうまくしょう)の経過観察が続き、少し入院が長引きました。二男・朋久は先に安定していましたが、双子は一緒に退院というのが病院の方針のようで、朗久の状態を待って、2人一緒の退院になりました。

また、長男は水腎症(すいじんしょう)とも診断されました。水腎症とは、尿の通り道が何らかの原因で狭くなっていたり、もしくは膀胱から尿が逆流したりするため、腎臓に尿がたまってしまう病気です。成長とともに改善していくとのことでしたが、小さいうちは尿路感染症になるリスクが高いとか。

実際、退院から約4カ月たったころ朗久が急に38.4度の熱を出し、尿路感染症と診断されて1週間ほど入院しました。
同じ時期に二男・朋久も風邪から、ぜんそくのようになり心配しました。
ですが、退院後のトラブルや体調不良はそのくらいです」(友理さん)

朗久くんと朋久くんは2026年3月で1歳になりました。つかまり立ちを始めて、ますます目が離せないように。

「2人とも首がすわったのは、修正月齢(生まれた日ではなく、出産予定日を基準に数える月齢)3カ月、おすわりしたのは修正月齢6カ月です。離乳食を始めたのは、おすわりをしてからです。2人とも食欲旺盛で、さつまいもやバナナなど、甘いものが大好きです。1歳になり、長男・朗久は体重8kg、二男・朋久は体重10kgになりました。できることも増えてきて、1歩1歩成長しています。

長女は、おもちゃのチェーンをつないだりして、手作りおもちゃをよく作ってくれます。2人とも長女と遊ぶのが大好きです。

甘えん坊で抱っこが大好きな長男・朗久と、マイペースで大きな声で泣く二男・朋久。生まれたばかりのころは『無事に育ってくれるのかな?』と不安もいっぱいでした。でも『ゆっくりだけど、確実に成長している! 不安もあるけど、きっと大丈夫!』と、今は2人の成長を温かく見守れるようになりました」(友理さん)

【近藤雅楽子先生より】NIDCAPは、赤ちゃんと家族を中心にしたケア

NIDCAP(ニドキャップ)は、ハーバード大学発祥の新生児の個別性を大切にした「赤ちゃんと家族を中心にしたケア」です。赤ちゃんのしぐさや表情などのサインをよく見て、その子に合ったかかわり方を考え、赤ちゃんと家族の力が発揮できるように支援します。墨東病院では、ママ・パパの24時間面会とケア参加、祖父母やきょうだい児の面会、人工呼吸をしている場合でもカンガルーケアをすること、入院中から退院後の家族サポートの会(おたまじゃくしの会)などの取り組みをしています。
また、赤ちゃんそれぞれの「かわいい」環境を大切にしており、有志のスタッフや家族によるカバーの作成、おくるみや洋服の持ち込みもOKとしています。これにはNICUが集中治療の場であると同時に子育ての場でもあることを大切にしたいという開設当初からの願いがあります。

お話・写真提供/越智友理さん 医療監修/近藤雅楽子先生(都立墨東病院 新生児科) 取材・文/麻生珠恵 編集・構成/仲村教子(entente)、たまひよONLINE編集部

近藤先生によると、新生児医療はかつては救命最優先でしたが、近年は研究が進み、赤ちゃんと家族のケアを中心に考える段階になっているそうです。

友理さんは、「NIDCAPによって病院と家族がひとつのチームになって、小さな赤ちゃんを育てていく経験をしたことで、私自身も心が救われた」と言います。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

近藤雅楽子先生(こんどううたこ)

PROFILE
平成11年北海道大学医学部卒。都立墨東病院 新生児科部長。研修医指導医。専門分野は周産期・新生児医療。日本小児科学会小児科専門医・指導医、日本周産期・新生児医学会新生児専門医・指導医、新生児蘇生法専門コースインストラクター。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2026年4月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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