赤ちゃんが”はいはい”をしないときに見直したいこと#2【環境づくり&遊び方】
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はいはいは、赤ちゃんの筋肉や体のバランス感覚、脳の発達を促す移動動作。でも「うちの子ははいはいをしないんです」という声もよく聞きます。
どのように対応したら、赤ちゃんが「はいはいをしたい!」と思ってくれるようになるのか、赤ちゃんがはいはいをしたくなる環境づくりと遊び方を理学療法士の中原規予さんに聞きました。
まずは、「はいはいをしたくなる環境」かどうか赤ちゃん目線でチェック!
赤ちゃんがはいはいを始める時期は個人差がありますが、大体の目安は8ケ月ごろ。ずりばいを5~6ケ月ごろから始める子もいます。おすわりはしたけれど、なかなかはいはいをしてくれない…というときは、「赤ちゃんの目線で室内を見直してみて」と中原さん。
「手の届く範囲におもちゃがたくさんあったり、部屋に物が多すぎてはいはいで動けるスペースがほとんどなかったりすると、赤ちゃんが『はいはいをしよう』という意欲がわきません。
おもちゃを全部片づけて、普段は閉めている戸だななどを少しだけ開け、赤ちゃんが触っても安全な日用品などを入れておきましょう。『あれは何だろう。触ってみたい!』と思えば、赤ちゃんは移動を試みます。だんだんとはいはいをするようになりますよ」(中原さん)
「はいはいをしないと通れない」トンネル遊び
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「机の下や、4本足の椅子を並べたり、大きめの段ボールを筒状にしてトンネルを作り、はいはいの姿勢にならないと通れない場所で遊びましょう。
トンネルを通った先に、赤ちゃんの好きな物を置きましょう。高さのあるベビーベッドや机なら写真のようなガーランド(連続した装飾布のついた飾り)などで、下の空間を飾り付けしてみましょう。赤ちゃんは自ら遊び始めるはずです。
少し高さのある四角い箱などを手で押しながら進む遊びもいいですね。おしりと腰への力の入れ方を自然と覚え、はいはいに必要な動きが身につきます」
「つかまり立ちができない広い場所」で遊ぶ
住宅事情によっては、はいはいをできるようなスペースを確保できないことも。そんなときはどうしたらいいのでしょうか。
「児童館など、広い空間で遊べる場所へ出かけましょう。はいはいをせずにつかまり立ちをした赤ちゃんは、つかまるところがない場所で遊ぶのが効果的です。
部屋の真ん中まで赤ちゃんを連れ行き、赤ちゃんの様子を見てみましょう。場所に怖がる様子がなければ、お母さんは少し離れて観察してみてください。お母さんのもとに歩み寄ったりおもちゃを探したり・・・はいはいで移動するきっかけになります。
「芝生」や「すべり台」がおすすめ
「ずりばいしかしない赤ちゃんは、芝生の上で遊んでみて。ずりばいは平らな場所じゃないと移動できないので、でこぼこのある芝生の上だとできません。赤ちゃんから少し離れた場所で、赤ちゃんが興味を持ちそうなものを見せて呼びかけると、おしりを上げたはいはい(高ばい)で進むようになるかもしれませんよ。
公園に行ったときは、すべり台を下から登る遊びをするのもおすすめ。すべり台をよじ登るときは、はいはいと同じような動きをするので、はいはいの練習にうってつけなんです。おすわりの姿勢で移動する子(シャフリングベビー)は腕を使わずに移動しますから、すべり台登りを遊びに取り入れるのはおすすめです」
「ちょっと不便」が赤ちゃんの発達を促す
「はいはいは、赤ちゃんにとってラクな姿勢ではないので、はいはいしなくても快適に過ごせる環境に置かれたら、赤ちゃんははいはいで移動しようとは思いません。『はいはいをするのは大変だけど、はいはいをしたら楽しいことができた!』と、メリットを感じさせることが大切なんです。
また、たとえば赤ちゃんが好きなおもちゃを、ちょっと取りにくい場所に置いておくなど、赤ちゃんの発達のためには、あえて“ちょっと不便な環境”を用意することも必要。不便を乗り越えることで、次のステップへと進むことができるからです。
赤ちゃんが一生懸命はいはいしたら、『よく頑張ったね』『はいはいができてすごいね』とたくさんほめ、赤ちゃんの意欲を盛り上げてくださいね」
今の生活にプラスアルファするだけで、はいはいを促すことができそうですね。ママが楽しい気持ちで誘えば、赤ちゃんも乗って来てくれるでしょう。でも、赤ちゃんがその気にならないこともあるはず。そんなときは無理強いせず、次の機会にまた誘ってみてくださいね。(取材・文/東裕美・ひよこクラブ編集部)
■監修/中原規予さん
理学療法士。中央愛育園など療育施設に非常勤勤務。不定期で理学療法士向けや子育て支援者向けの勉強会講師も行っています。