赤ちゃんの百日ぜきってどんな病気? 治療法や予防法は?
「百日ぜき」がどんな病気か知っていますか? 赤ちゃんが生後3カ月を過ぎて予防接種を受けているママなら聞いたことがあるでしょう。感染すると、赤ちゃんが長くつらい思いをすることになるので、早めに予防接種をして防ぎましょう。
百日ぜきとは?
百日ぜきは、百日ぜき菌の飛沫(ひまつ)感染によっておこる病気です。自然感染すると重症になりやすく、低月齢でかかると死亡することもあります。
百日ぜきにかかると、どんな症状が起こる?
百日ぜきにかかってしまうと、連続したせきが2カ月近く続くことに! どんな症状が起こるのか、詳しく紹介します。
突然、呼吸困難に陥ることも
最初はせき、鼻水などの風邪の症状が現れます。その後「コンコン」と短いせきをしたあと、「ヒュー」と息を吸い込む特徴的なけいれん性のせき発作が1カ月半~2カ月ほど続きます。ママから十分な免疫をもらっていないことが多く、新生児でもかかることがあります。6カ月以下の赤ちゃんだと特徴的なせきがわかりづらく、突然、呼吸が止まったり、チアノーゼ*を起こしたりすることがあるので、注意が必要です。
*チアノーゼとは
血液中の酸素の量が不足して、唇や手足のつめのつけ根などが灰色がかった紫色になった状態のこと。乳幼児の場合、呼吸がしにくくなった場合のほか、心疾患やけいれんの際にも起こります。
百日ぜきの症状の経過
百日ぜきは症状が始まってから、回復するまでに6週間から9週間ほどかかります。その時期は、3つに分けて考えられています。
カタル期(1~2週)
鼻水やくしゃみ、せきなどの風邪症状が1~2週間続きます。熱は出ないことが多いです。このときのせきは普通のせきなので、百日ぜきとは気づかれないことが大部分です。
痙咳(けいがい)期(3~4週)
顔を真っ赤にしてコンコンと激しくせき込み、ヒューッという笛のような音を立てながら大きく息を吸い込む特有のせき(レプリーゼ)を、1日に数十回します。せきは夜間に多いので、眠ることができずに体力を消耗します。せきが激しいため、せき込んだあとに嘔吐したり、まぶたがむくんだり、目が充血したりします。
回復期(2~3週)
合併症を起こさなければ、だんだんよくなってきます。
百日ぜきの合併症は?
赤ちゃんがかかると重症化しやすく、合併症も起こしやすい傾向があります。
肺炎
肺に炎症が起こり、発熱やせき、呼吸困難を起こす病気です。百日ぜき菌の炎症がのどで留まらず、肺まで広がることで炎症が起こります。
脳症
脳に炎症が起こり、意識障害やけいれん、手足のまひなどの症状が現れます。発症すると死に至ることもあり、治っても運動障害や知的障害などの重い後遺症を残すこともあります。
百日ぜきの予防法
百日ぜきにかからないようにするための予防法を紹介します。
生後3カ月を過ぎたら予防接種を!
百日ぜきにかかってしまった場合は、抗菌薬(クラリスやクラリシッドなど)を使います。ただ、早い段階で適切に処置を受けないと、菌はいなくなってもせきは止まりません。ワクチン未接種の低月齢の赤ちゃんがかかってしまうと、重症化しやすいので、生後3カ月を過ぎたら、必ず予防接種(DPT-IPV)を受けましょう。
大人の感染も要注意
国立感染症研究所によると、百日ぜき患者数のうち15才以上の割合は2010年に全体の53%、2016年は25%と報告されています。ワクチンを接種していても時間がたつと免疫が低下するので、大人も油断はできません。大人でもかかってしまうと、かなりつらい病気ですが、大人用の予防用ワクチンはありません。大人は肺炎など重症になることは少ないですが、免疫のない新生児への感染源として問題視されています。
まとめ
百日ぜきにかかると、2カ月近くもせきが続くなんて、想像しただけでも赤ちゃんがかわいそうになりますね。産後間もない時期でママは大変ですが、赤ちゃんをつらい目に合わさないためにも、3カ月になったら早めに予防接種を受けられるようにしっかり準備しておきましょう。(文/ひよこクラブ編集部)