小児科医に聞く 0歳の赤ちゃんに絵本を読み聞かせるメリットは?

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「まだ言葉もわからない赤ちゃんに絵本の読み聞かせをして、何か意味があるのかな?」と思ったことはありませんか? 0歳の赤ちゃんに、絵本の読み聞かせをするメリットとは何なのか。あるとしたら、どんな読み聞かせをすればいいのか。小児科医の榊原洋一先生(お茶の水女子大学名誉教授)に聞きました。
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絵本が促す親子の濃密な交流
まだ言葉もわからない0歳の子どもに絵本の読み聞かせをするメリットはありますか?
0歳の赤ちゃんが1人で絵本を読むということはあまりありません。多くの場合、そこには親がいます。赤ちゃんにとって本を読むことのメリットは、絵本を一緒に読んでくれる親との交流です。赤ちゃんが絵本の絵を見て楽しむ以外にも、絵本が親子の濃厚な接触を促すことにとても大きな意味があるのではないかと思います。世界中の多くの研究で、乳幼児期の親子の濃厚な接触が、子どもの思春期以降の発達や社会性、共感性に影響を与えているということがわかっています。読み聞かせしないとダメだという意味ではなく、長期的な研究結果を見る限り、親子の接触度合いにより差が出るのだろうと推測されます。
赤ちゃんとの交流に大きな意味があると考えると、赤ちゃんが絵本の内容を理解できなくてもいいのでしょうか?
問題ありません。大人とかかわっていることが大事なので、必ずしも絵本でなくてもいいかもしれません。ただ、親子の接触を促す媒体として、絵本はとても優れていると思います。
どんな絵本がいいと思いますか?
親が好きな本でいいと思います。先ほども申し上げたように、親が子どもにかかわることが大事なので、赤ちゃん向けの本でなければいけないということではありません。
なかなか赤ちゃんが絵本を好きになってくれない場合は?
赤ちゃんを楽しませるように読み聞かせをすることが大切だと思います。いくら読み聞かせがいいといっても、棒読みでは赤ちゃんも楽しくないでしょう(笑)。赤ちゃんの顔を見ながら読む。ゆっくりと抑揚をつける。赤ちゃんに表情を返してあげる。優しい声かけをしながら読めば、赤ちゃんは本を読むお母さんやお父さんに関心を示すはずです。もちろん、眠いときやおなかがすいているときにいくら読み聞かせをしてもダメですけどね。
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絵本の読み聞かせで大事なのは親子の交流。授乳やおむつ替えなども交流の機会といえますが、絵本を見せる、そして親が語りかける声を聞かせることで、絆はさらに深まるでしょう。言葉はまだわからなくても、赤ちゃんにはいろいろな音や大人の声が聞こえています。たくさん絵本を読み聞かせて、一緒に楽しんであげましょう。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
榊原洋一先生
医学博士、お茶の水女子大学名誉教授。東京大学医学部卒業後、同大学付属病院にて勤務。小児神経学、発達神経学を専門とし、発展途上国での国際医療協力活動にも尽力。日本子ども学会理事長や、ベネッセコーポレーションの支援のもと設立されたCRN(チャイルド・リサーチ・ネット)所長なども務める。
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