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つい比べちゃう…ひらがなは何歳までに全部読めているといい?

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EikoTsuttiy/gettyimages

早い子だと3歳から「ひらがな読み」を始める一方で、5歳でも興味を示さない子もいます。ひらがな読みができるようになる時期には個人差が大きいため、「うちの子まだ読めていないけど大丈夫?」と心配になるママ・パパも少なくないでしょう。いったい、何歳くらいまでにひらがなを読めているといいのでしょうか? 乳幼児の発達に詳しい、白百合女子大学人間総合学部の秦野悦子先生(発達心理学)にお話を聞きました。

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ひらがなが読めなくても小学3年生でそろってくる

全部のひらがなを「何歳までに読めているといい」といった目安などはありますか?

小学校入学時点でひらがなを読めている子どものほうが、読むスピードが速く、読解力もあります。就学前に読めていたほうが、学習のスタートとしてはいいでしょう。ただし、発達心理の立場でいえば、小学校入学前までにひらがなを覚えなくても問題はありません。

それはなぜですか?

子どもたちが特殊音を除いたひらがなを読めるようになる時期を大きく3つに分類すると、(1)小学校入学前に読めている子、(2)1年生1学期の終わりに読めている子、(3)1年生の終わりごろでも読めないひらがながある子。この3つのグループに分けられます。このうち(1)の小学校入学前にひらがなを読めている子どもは、全体のおよそ9割います。残りの1割はまだ読めていない子どもたちですが、日本の小学校では1年生の1学期に、全員がひらがなを読めるようにていねいに教えているので、ここでほとんどの子が読めるようになります。

「(3)1年生の終わりごろでも読めないひらがながある」グループに入ってしまう場合は?

ひらがなが読める力は、読むスピード、読解力に大きく関係します。ところが3年生の終わりくらいになると、幼児期からひらがなを読めていた子も、小学生になってからひらがなを読めるようになった子も、読むスピードや読解力に差が見られなくなり、個人差が収束してきます。幼児期に読めたか読めなかったかで大きな差はつかないということがわかっています。

幼児期に大きな差が開くのはなぜですか?

子どもは2歳後半ごろから、目で見るだけで複雑な図形の区別ができ始めます。そのため文字の形も区別がつき、ひらがなを読ませようと思えば可能です。実際に早くから教育を受けている子や、文字に強い興味を持つ子は、2歳や3歳でひらがなを読んでいます。ではなぜ、ほかの子がひらがなを読まないのかというと、幼児期の生活に文字を読めることが、それほど生活の豊かさとかかわらないからです。

それでも9割の子どもたちが、小学校入学前にひらがなを読めるようになっているのはなぜですか?

3歳のうちにひらがなを読める子どもは2割ほどいます。それが小学校入学前までに一気に9割に増えます。これは4歳ごろに、「音韻認識」ができるようになるためです。音韻認識というのは、たとえば椅子という言葉を、「い」と「す」という音に分解して認識することをいいます。言葉を構成している音を取り出せるようになることが、ひらがな読みができるかどうかの大きな分岐点といえます。

音韻認識ができるようになると、ひらがなの世界が広がっていく?

音韻認識によって「しりとり」や「だじゃれ」、「回文」などの言葉遊びができるようになって、文字への関心が高まります。また、絵本の読み聞かせやわらべうたなども、文字への関心につながります。このように文字は子どもが興味を持って自然に覚えていくものなので、無理に教え込む必要はありません。幼児のうちに文字が読めて「すごいね」とほめられることはあっても、読めないからといって集団生活で困ることはないでしょう。ひらがな学習に偏ることがないように、お友だちと遊んだり、あいさつをしたり、自分の気持ちを伝えたりするような経験をたくさんさせてあげましょう。

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幼児期にすべてのひらがなを読めなくても、子どもは遊びの中で自然に覚え、小学校の国語でもていねいに教えられます。ほかの子と比べて遅いからといって、あせらなくても大丈夫。無理に教え込むのではなく、しりとりなどの言葉遊びを通じて、「言葉って楽しい」「ひらがなのこともっと知りたい」と思えるような経験を重ねておくことのほうが大切なのかもしれません。小学生になってからも、楽しく学習に取り組んでもらいたいですね。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)

秦野悦子先生
白百合女子大学大学院文学研究科発達心理学専攻、人間総合学部発達心理学科教授(学科長)、発達語用論、障害児のコンサルテーション、子育て支援が専門。『子どもの気になる性格はお母さん次第でみるみる変わる』(PHP研究所)など著書多数。

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