【1歳・2歳】運動が得意な子に育てるための遊び方&かかわり方
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将来はスポーツ選手に…とは思わないまでも、「できれば運動が好きな子、得意な子になってほしい」と願うママ・パパは多いでしょう。実は子どもの運動神経の発達には、1歳、2歳のころの下地作りがとても大事なのだとか。運動が得意な子に育てるためには、どんな遊び方、かかわり方をすればいいのでしょうか。小児科医で赤ちゃんの発達に詳しい、みくりキッズくりにっく院長の本田真美先生にポイントを聞きました。
1歳2歳は「足の力」を伸ばしてあげる
1歳代、2歳代は、スポーツの基本である「立って歩く」という運動能力が急速に発達する時期です。歩くのが大好きになりやすいこの時期に、足の力を伸ばしてあげることが運動する体の下地になります。具体的には、はだしで遊ばせることが効果的といえます。足裏が刺激されて、足の指の動きが活発になるからです。ただし、外ではだしにさせる場合は、砂場や芝生などやわらかい足場で、危険なものが落ちていないか安全を十分に確認してから遊ばせるようにしてください。
動く経験で「脳からの指令を伝える回路」を発達させる
人間が何か動作をする際には、まず脳から指令が出ています。その指令が神経細胞を通って、脊髄、末梢神経、筋肉に伝わり、何かものを投げたり、走ったりすることができるのです。この指令を伝える回路こそが、運動神経です。この回路は動作を繰り返すことで成長し、ジャンプしたり蹴ったりという新しい動作を経験することでさらに発達します。この回路のバリエーションが多いほど、「運動の得意な子」になりやすいといわれます。さまざまな動作を促すには、健康的な生活が土台となります。1週間ほどのスパンで見てバランスの取れた食事を心がける、早起き・早寝をさせる、といったようなことを心がけるとともに、親子で一緒に体を動かして遊ぶ時間を1日1時間くらいつくるようにしましょう。
「自分は運動が苦手だから」と親が悲観しない
子どもの運動神経は、遺伝によって決まる部分も確かにあります。しかし、運動への苦手意識は、遺伝よりも環境の影響が大きいといえます。そもそもスポーツとは、力を競ったり、速さを競ったり、柔軟性を競ったり、持久力を競ったりと、どの部分を競うのかによって結果が変わるものです。「自分は運動が苦手だったからこの子も苦手だ」と決めつけず、子どもの運動の回路のバリエーションを増やしてあげましょう。親自身が「運動って楽しいな」、「体を動かすって気持ちいいな」と楽しみながら遊ぶことも大切です。
5歳までに経験しておかないと苦手になる動きがある
大人の神経系の状態を100%とすると、5歳までに80%が完成するといわれています。たとえば5歳までに「投げる」といった動作をしないと、将来「投げることが苦手な子」になる確率が高まります。そのため、神経系の発達が著しい0歳から5歳の時期に、さまざまな動作を経験する機会をつくるといいでしょう。6歳を過ぎると、学校でほかの子どもと比べられる機会も増えるため、運動神経が発達する余地を残していても、「自分は苦手だな」と心理的な面での劣等感が芽生えてしまう恐れもあります。
「うちの子はスポーツ選手になるわけじゃないから、運動はしなくても構わない」と思う人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。運動は、肥満防止、免疫力の向上、快眠、ストレス解消などにも役立ちます。スポーツ選手でなくとも人間の健康維持に大事なことに変わりないので、1歳、2歳のうちからさまざまな運動を経験させたいもの。それには親が率先して、運動を楽しむことが大切。親子で一緒に、運動を楽しみましょう。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/本田真美先生
みくりキッズくりにっく院長。小児神経専門医。東京慈恵会医科大学卒業。国立成育医療研究センター、都立東部療育センターなどを経て現職。おもちゃコーディネーターでもあります。
参考/1才2才のひよこクラブ2015年夏秋号「運動が得意になる!かかわり遊び」