「負けず嫌いでオタクっぽい?」男の子の育て方 パパの心得
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男の子は、元気で明るく活発。そんなイメージを持つ人は少なくありません。しかし、イメージ通りのこともあれば、イメージと異なることもあります。同性ながら、どうやって育児をすればいいのかわからないというパパも多いでしょう。これから男の子が生まれてくる予定のプレパパ。そして現在、男の子を育てていたり、その育て方に悩んでいるパパ必見! 男の子の育て方を、3男の父親であり保育士のキャリアも持つ大阪教育大学教育学部准教授(家政教育講座)の小﨑恭弘先生に聞きました。
男の子は勝ち負けにこだわり、オタクなところも?
――男の子の育児で、気をつけるポイントは何ですか?
小﨑先生:まず基本的な話として、男女の育て方は同じです。違いはありません。社会において、男の子はこうあるべき、女の子はこうあるべき、といった男女のあるべき姿のような考え方があるので、それに合わせていくのが正しいと考えるパパも多いでしょうが、そこにはとらわれすぎないことのほうが大切です。もちろん生物学的には異なることも多いので、それぞれの特性を理解しておく必要はありますし、「男の子だから強い子に育てたい」と願うことも全然悪いことではありません。「性別の前に個性がある」ということをまずは押さえておきましょう、ということです。「男だから元気で活発に」、「女の子だからおとなしく」というのではなく、おとなしい男の子もいれば、元気で活発な女の子もいるので、その子に合わせた育児をしてあげるのがいいでしょう。
――遊びなどは、どんなものが向いているでしょうか?
小﨑先生:最近は男女の性別に関係なく、いろいろな遊びがあります。3才ごろになるとセクシャルアイデンティティーが芽生えますが、幅広くいろんな遊びをさせてみてください。親としては、男の子っぽいイメージの活発な遊び、女の子っぽいイメージの文化的な遊び、両方させてみて、子どもに好きに選ばせたらいいと思います。ただ、特性として言えるのは、男の子は女の子に比べて、一点集中でのめり込む傾向があります。わかりやすくいうとオタクっぽい、一回やると言い出したらそこから動かないということもある。狭いところを深く探求していくのはいいと思いますが、まわりが見えていないこともあるので、幅広い視野を持たせる工夫をしてあげるといいでしょうね。
――男の子のどんな特性に留意しておくべきですか?
小﨑先生:男の子は勝ち負けにこだわる特性があります。序列や、あいつに勝てるかどうかといったことに執着し、かけっこで負けたら泣き叫ぶのが男の子。だからプライドを傷つけないように見守りながら、「負けることもあるんやで」ということを教えてあげることも大事です。男の子のこういった特性をうまく利用するのであれば、「さすが~」、「すごいな~」というと、より頑張ってくれることが多いでしょうね(笑)。また、男の子はまわりにどう見られているか、気にしていることもよくあります。失敗しやすいことや、苦手なことを最初からやらないということもあります。
――男の子の特性にこだわる必要はありますか?
小﨑先生:ありません。むしろ特性があるからこそ、そこにこだわらず、別の視点を与えてあげることが大切です。負けてもいい、失敗してもいい、文化的な遊びをしてもいい。いろいろな経験をさせてあげてください。
3歳の息子に相撲の勝負を挑まれ、いつも負けてあげていた筆者。しかしあるとき、圧倒的な力で勝ってしまい、息子は大泣きしてしまいました。「かわいそうなことをしたな」と思ったものですが、負けるということを覚えた息子はこれで少し成長したのだと思うと、罪悪感も薄れていきました。とはいえ、勝ち負けのバランスには気をつけたいもの…。男の子だからと気負わず、視野を広げること、いろいろな経験をさせることを心がけたいですね。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/小﨑恭弘先生
大阪教育大学教育学部教員養成課程准教授(家政教育講座)。西宮市初の男性保育士として活躍したのち、大学の准教授やNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の顧問として活動中。3男の父。
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