育休中に資格取得するママ増加中!? どんな資格を目指す?勉強時間の確保は?
maroke/gettyimages
産休や育休期間を利用して資格取得を目指すママたちが増えています。
そこで今回は、子育て中のママたちが新たな資格取得にチャレンジした理由、勉強の方法や時間をどうやって確保したかを口コミサイト『ウィメンズパーク』で聞いてみました。
また、今後、育休中に資格取得を目指すママの有意義な過ごし方などについて、ワーク・ライフバランスコンサルタントの堀江咲智子さんにアドバイスを伺いました。
「何かしなきゃ!」でなく、「何がしたいか」を大事に
育休中、『なにかやりたい!』『なにか今後につながることを…』と考えているママが多いようです。育休を充実させるにはどういうマインドでどう過ごしたらいいのか、堀江さんに聞いてみました。
---(堀江さん:以下、堀江)「今はスマホなどから簡単に情報を得られるようになり、“資格をとってキャリアアップし、キラキラ活躍しているママがたくさんいる”、という情報が多く入ってきます。そうすると『自分も資格をとらなきゃ!』と思って何かしなきゃ…と思う人もいるかもしれませんが、育児をしながらの資格取得は思い通りに時間を使えないなど予想外に苦労することもあります。まずは、自分が大事にしたいこと、自分がこうなりたい、と思っていることを整理して、パートナーや周りにその考えを共有することが大切だと思います。自分の考えを伝えれば周りの協力も得やすいです。自分が勉強したいのに、パートナーに『育児は大丈夫なの?』と言われたりしないように、お互いストレスない状態でやっていくことが大事かなと思います」
ー ママたちの資格取得体験 ー 子どもたちと関わる仕事がしたい!「保育士」
「保育士」の資格を取ったママたちは、やり甲斐や生き甲斐を感じて生きていきたい、 子どもがとにかく好きなのでいつまでも関わっていきたい、などの理由で保育士の勉強を始めたそう。限られた時間の中でさまざまな工夫をしたようです。
常に頭を試験モードに!短くてもいいから毎日やることが大切
保育に関わりのある職場で資格取得を勧められて一念発起、3ヶ月ほど独学で勉強しました。
まず、保育士試験に独学で合格したある方のサイトで薦められていた上下巻に分かれた市販のテキストと、一問一答集を購入。
勉強はほとんどそのサイトで行い、スマホを使いにくい場面ではテキストを読む、というスタイルでした。
とにかく、ほんとに短い時間でもいいから『毎日』やることが大切だと思いました。頭を試験モードに常にしておくのです。そうすると覚えたことを忘れにくいです。私はトイレの中とか、仕事の合間の5分とか、寝る前に10分とか、そういうタイミングを使っていました。
通信教育を活用、子どもの寝ている時間に勉強
出産後に将来を考えて、保育士の資格を取ろうと思い立ち、勉強を始めました。学ぶことが子育てに役に立つ、また、子育てが役に立つ仕事かなと。
私は朝、昼、夜の子どもが寝ている時間を勉強時間に充てていました。
通信教育(ユーキャン)で勉強しました。自分で色々な情報を取捨選択し、必要なものをそれぞれ準備して、というのが面倒だったり、独学では不安だったというのもあり通信教育を選びました。添削問題もあり、それもよかったです。
筆記試験で科目を一つ落としたので、2年がかりにはなりましたが(当時は試験が年に1回しかなかったので)2年目に無事合格しました。
子育ての経験も役に立つ!市販の問題集も活用し、独学でも見事合格
40代前半の年長児を持つ短大卒、現在は専業主婦です。
勉強は前年の12月から始め、4月の保育士試験を独学で受験しました。
結果は教育原理だけ一問足らず落としてしまいましたが、残り8教科は合格しました。
8月に地域限定保育士試験で教育原理と社会的養護を受け直し(2つでセットの科目なので)合格することができました。確かに昔より記憶力は衰えていますが、保育士の試験問題は子育てをしていれば、分かる事も沢山ありました。
独学だったので参考書と過去問題集と一問一答の問題集を購入しました。
あとYouTubeで“ほいくん”って方の動画を良く見ていました。語呂合わせとか面白くって、頭に入りました。
育休中に勉強時間を確保することは、仕事復帰後の『時間管理』の練習に
---(堀江)「育休中を上手に過ごしている人の特徴として時間管理がうまくできている印象があります。子育てって、いつ何が起こるか分からないですよね。仕事のスケジュールとは違って先が読めない。だから、育児をしながらどんなことをやっていくか、どこで折り合いをつけていくかを考える『時間管理をする力』がついていく期間かと思います。働きながらだと、どうしてもすぐ仕事に役に立つことを考えがちですが、まとまった時間を確保しにくい育児中は時間管理のスキルをあげるいいチャンスだと思います。
育休後、仕事を始めたら子どものいろいろな急な対応などをしなくてはなりません。そんな中で仕事にかかる所要時間などを頭の片隅に入れながら、『今、保育園から電話がかかってきたらこれをこうして…』などを考えながらやっていける力が身につくのではと思います。時間の管理って生涯スキルだと思うので、育休中にこのような管理の仕方ができると、育児と仕事の時間管理にも役立ちます」
ー ママたちの資格取得体験 ー 「介護福祉士」や「ケアマネジャー」など、福祉のお仕事
超高齢社会を迎え、福祉・介護分野での資格が注目されています。どの地域でも仕事を見つけやすいだけでなく自宅での介護やサポートにも役立つとあって、資格取得を目指す人も増えています。
無料のアプリや過去問などを活用し、「介護福祉士」に合格
介護福祉士に今年受かりました。43歳です。無料のアプリがあるので、何個か入れて寝る前に10問だけとか、隙間の時間に使っていました。後は、中央法規の国試ナビ、合格テキスト、過去問、模擬問題集で勉強しました。
これも、まとめてというよりは家事の合間や寝る前にちょこちょこ見ていました。私のまわりでは、「試験の時、時間があまるよー」と言われましたが私は解くのが遅いのか一通り見直しをしたら余ることなくギリギリでした。
早朝の勉強を習慣に。目標を立てて一日分のノルマを計算しやる気をアップ
現在育休中で、ケアマネの試験を受験予定です。
日中は子どもが起きていて集中出来ないので、私は朝早く起きて勉強しています。その代わり、夜は子どもと一緒に20時半ごろ布団に入って寝ています。
夜は眠気もくるし、朝早く起きたほうがはかどるはず!と早めの就寝を心がけています。やっぱり勉強って習慣ですよね。
毎朝する事になれると、過去問をするのが楽しみなくらいになります。
例えば、5ヶ月で過去問3年分を3回する。と目標を立てたなら、1日何問したら終わるのか、と軽く計算し、その分は絶対やる。とノルマたてるとか。そんな感じでやってくと、勉強する習慣がつきました。
“少しの時間を積み上げ”で隙間時間をうまく使って、勉強時間を確保
---(堀江)「隙間の時間をどう使うか、が大事です。今は勉強のツールがたくさんあります。スマホやweb動画やタブレット、もちろん本も。それらのツールを、どのくらいの時間が空いたらやる、と事前に決めておくと良いでしょう。たとえば、30分の時間ならこれ、1時間空いたらこれ…のように決めておく。短い時間をどう積み上げていくかを考えていくと良いと思います。勉強時間を管理するアプリなどもあります。積み上げられる履歴のアプリをやってみると、一回あたりが少なくても1日全体でみると1時間になっていたりします。自分では『今日はあまりできていないな』と思っても、履歴を見ると結構な時間が積み上がったりしているので、ちゃんとやっているな、と思えます。おすすめしないのは、睡眠時間を削っての勉強です。産後はホルモンバランスも崩れやすく、そんな中で睡眠時間を削ってしまうとストレスが回復しなかったり、体調を崩してしまったりします。また、やろうと思っていたのに子どもと一緒に寝落ちをしてしまったりすると、未完了感が残ってしまう…なんてこともありますので、あまりおすすめはできません。寝ることも育児の一つ、と思ってしっかり体を休めましょう」
ー ママたちの資格取得体験 ー 「宅建」「FP」「運転免許」
不動産取引の専門家を示す資格である宅建(宅地建物取引士)や、税金・保険・年金などのお金に関する幅広い知識を持つFP(ファイナンシャルプランナー)など、日常生活にも役立ちそうな資格もたくさんあります。その勉強法はどのようなものでしょうか。
家族に宣言して勉強時間を確保しよう!
主婦は子どもの世話や家事に追われて、家の中では自分の時間がなかなか取れないので、子どもたちに「ママは今から○時まで勉強するからね!」と宣言して、とにかく勉強優先にする時間を作るといいと思いました。夜は1日の疲れがたまっていて、やる気が低下するので、夕方までに少しでも勉強出来れば…。
読みやすいテキストや受講期限でモチベーションアップ!通信教育でFP2級を取得
30歳を過ぎてから通信教育(ユーキャン)でFP2級取りました。
効率を考えるとお勧めです。単元ごとに分かりやすい言葉で書かれているので、とにかく読みやすいです。あと受講期限があるので、そういう縛りがあるほうが、お金を払っている分、本気になれました。
40代で運転免許取得を目指しています
私は41歳、自動車教習所に通っています。夫の転勤で車必須の田舎へ。子どもが2人いるし、意を決して教習所に通いました。私は不器用なので、運転も補講になり、落ち込んだこともありましたが、指導員に熱心に教えてもらいなんとか、乗れるようになってきました。学科も、かなりひっかけ問題が多く、苦労してますが頑張っていますよ!
モチベーション維持のために、目標を明文化!自分の“やる気スイッチ”をいつでも押せる状態に
---(堀江)「育休は長いようであっという間です。ただ、まとまった時間であることにかわりはありません。長いスパンで生き方や生活を考えるいい期間です。子どもが5~10年後もう少し大きくなったときに、自分がどういう仕事をしていたいのか、どういった生活をしていたいのかを考え、中長期的にみてチャレンジしたいことやスキルをあげていきたいことなど考えておくと、今後のモチベーションにもつながるかなと思います。
資格の難易度にもよりますが、勉強が難しくてつまずいたり、焦ったり、モチベーションが下がったりすることもあるかもしれません。そのために、自分で考えたキャリアや生活の目標を明文化し、目につくところに貼ったり、スマホに入れておいたりしておくのがおすすめです。明文化されていたほうが、より勉強しやすく、やる気にもなるし、パートナーや家族も協力してくれます。自分が前向きにやっていけるよう、自分のやる気スイッチの押し方がわかっているといいですね。
今、前向きに育休期間を過ごしている人が増えている印象です。自分にとって有意義な期間にしてゆっくり考える時間にしていただきたいと思っています」
日々の子育てや家事をしながら勉強時間を確保するのはとても大変なことだと思いますが、皆さん目標に向かって様々な工夫をされていますね。年齢や状況を言い訳にせず、決めた目標に向かって、前向きに頑張る姿にとても励まされました。
(文・取材/羽鳥まゆ・真山りせ)
■監修 堀江咲智子(ほりえ さちこ)
ワーク・ライフバランスコンサルタント。大手企業で商品開発に携わりながら、女性活躍推進プロジェクトも兼任。2012年より現職につく。4歳男児のママ。
■文中のコメントは『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。