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保育園児3000名超なのに病児保育の定員4名…なぜ? ある小児科医の挑戦

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保育園の入園や職場復帰が決まって、いざというときのために病児保育の利用を考えているママやパパが多いのではないでしょうか。でも、病児保育は「使いたいときにはいっぱいで使えない」「利用方法が煩雑で使いづらい」という声を聞いたことがありませんか?

そんななか、人口の急増が著しい東京都・江東区が、病児・病後児保育の増設を発表しました。実はこれまで、江東区のなかでもマンションの建設が多い豊洲地域では、約3100人の保育園児に対して、病児保育施設は1カ所しかなく、定員は4名のみの狭き門でした。そんななかで、区が増設に動いた裏には、ある小児科医とNPO法人の切実な行動があったのです。

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稼働率が低い=ニーズがない!

豊洲駅前で8年前から開業している「有明こどもクリニック」の小児科医・小暮裕之先生は、「仕事を休んで、子どもを看病したくてもこれ以上は休めない。病児保育もたりていない」というママ・パパたちの声をよく耳にしていました。

そこで、来院する地域のママ・パパにアンケートを実施。185名の回答を得たところ、「病児保育を使いたいと思ったことがある」ママ・パパは72%もいました。ニーズはあるのに、なぜか増えない病児保育。区によると、なんと「稼働率が悪いので必要性を感じていない」との答えが…。

しかし、同じアンケートでは「利用したいと思ったときに予約が取れなかった」54.9%、「感染症では預かってもらえなかった」31.9%、「ネットで予約ができなかった」31.4%との答えも。ニーズはあるのに、利便性の悪さから、稼働率が低い実態が予想できたのです。

使いやすい病児保育で必要性をPR

そこで小暮先生が相談したのが、15年前から訪問型病児保育を運営していたNPO法人のフローレンス。2019年1月、クリニックにほど近い豊洲駅前の高層マンションの1階部分を改装し、赤字覚悟で「病児保育室フローレンス豊洲」をフローレンスによる運営でスタートしました。

特徴は
・インターネットで利用登録や予約が可能。キャンセル待ちもネット上で完結
・隔離室を設けたことでインフルエンザなどの感染症での預かりも可能
・区の病児保育では預かれない保育園児以外の子どもの受け入れ
・利用料金は1日あたり3000円(区の認可施設では2000円/1日)
・医療面は有明こどもクリニック豊洲院がバックアップ
など、訪問型の病児保育で5万件以上預かりを実施してきたフローレンスのノウハウを応用しました。

オープン1カ月で600名以上の登録が

こうして2019年1月17日にオープンした「病児保育室フローレンス豊洲」。事前の登録者数で100名程度を見込んでいましたが、ふたを開けてみたら事前登録だけで200名以上、開設1カ月で600名以上の登録者がありました。

フローレンスの病児保育事業部マネージャー・赤坂緑さんは「もともとフローレンスの訪問型病児保育の利用者が多いことからも、この地域のニーズの高さは感じていました。さらに訪問型で築いてきた“感染症での預かり”や“ネット完結型の登録・予約”を実現できたことで、ニーズの高さを区に表すことができました」と言います。こうした活動が功を奏して、ついに江東区は病児保育の増設に動いたのです。

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子どもの病気のときに、そばにいてあげられないのはつらいもの。でも、今年猛威をふるったインフルエンザは最低でも5日間は登園できません。実際に看病のやりくりに困ったママやパパは多かったのでは? 前述のアンケートでも、98%の保護者が「子どもが病気になったときに仕事の調整にこまったことがある」と答えています。「子どもが病気のときにそばにいてあげないなんて!」と感じる人も多いでしょう。

小暮先生は「(症状が重い)急性期には近くにいてあげられるのがいちばん」と前置きしつつも、「でも、そうも言っていられない現実がある。そんな親御さんの姿を診療でたくさん見てきました。いざというときに安心して預かれる場所があるとないのでは、大きく違います」と話していました。選択肢が多いほど、子育てはしやすいもの。少しずつでも、子育て世代のニーズが行政に届いてくれることを願っています。(取材・文/ひよこクラブ編集部)

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