おっぱい卒業にまつわるママたちの苦悩に、先生がお答えしますPart2
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おっぱい卒業は、ママにも赤ちゃんにも初めての試練といってもいいほどたいへんなものがありますね。そんな試練に向き合い、うまく行かずに悩んでいるママたちなどの体験に、白百合女子大学教授で子育て支援のエキスパートである秦野悦子先生にアドバイスをもらいました。
おっぱい卒業に悩むママの3つのカタチ
育児は夫婦の協力なしではやっていけないものですが、授乳だけはパパが代われないことですよね。そんな折、パパがおっぱいに非協力的な家庭では、断乳をするのも難しくなりそうですね。また育児に携わる専門家の中でも、母乳についての考え方はまちまちで、ママたちは混乱しがち。そんな状況でママたちがおっぱい卒業をする場合、どんな気持ちで臨めばいいのでしょう?
3回トライするも、パパが非協力的で断念
ママ…「授乳のたびに夜中に何度も起きるのに疲れ、また、むし歯も心配で、1才、1才6カ月、2才2カ月でおっぱい卒業にチャレンジしたけれど、夫が協力的でなく断念。夜泣きされれば、『うるさい! おっぱいを飲ませてやれ』。断乳の期間、寝室を別にすることを提案しましたが、『それはいや!』と夫が拒否。困っています」
秦野先生…「2才を過ぎた現在、日常的に夜泣きが激しいようなら、昼間の過ごし方を見直して。生活リズムが整っていなければ、早起き早寝をして、3度の食事の時間を決め、昼間はしっかり体を動かして遊ばせてみましょう。そうすれば、夜は疲れてぐっすり寝てくれることが多いです。
お子さんは話せば、それなりに理解する力もできてくる年ごろなので、『おっぱいは赤ちゃんのものだから、バイバイしようね』とくり返し伝えることも忘れないで。
そして、もう一つ大事なことは、断乳を決意したら、夜中におっぱいを欲しがって、お子さんが泣いても、ママは心を強く持って決して与えないこと。3日間から5日間が我慢です。隣で『眠れないから、おっぱい飲ませろ!』と言ってくるパパにも応じず、我慢我慢です」
小児科医の奇妙なアドバイスに翻弄され…
ママ…「現在、1才3カ月。近所の小児科を受診したときに『おっぱいよりミルクのほうが栄養があるんだから、早く断乳しろ! ずっと飲ませていると将来変な子になるぞ』と説教されました。そんなにおっぱいって、いけないものなの?」
秦野先生…「子育て中は、親として納得できないアドバイスや指導に直面することもありますよね。栄養面についても、1才を過ぎて飲ませていても母乳とミルクでほぼ変わらないといわれています。また、おっぱいは母子のスキンシップの役割も果たしますし、ミルクは、パパの育児参加がしやすいという面があり、おっぱいとミルク、どちらがよい・悪いという判断は一概にはできません。そして、卒業の時期は、ママがお子さんとの関係性で決めるべきこと。WHO(世界保健機関)では、『母乳は原則2才以上まで、頻繁に、子どもの要求に応じて与えましょう』としています。生活習慣や社会の在り方、文化や時代によっても違いますが、ひとつの目安としておきましょう」
3才になっても夜のおっぱいがやめられない
ママ…「イヤイヤ期を経て、どんどんおっぱいを卒業しにくくなり、現在、3才。1日3回の食事のあと、外出時のおっぱいは卒業しましたが、家にいるときに甘えたかったり、夜寝るときのおっぱいが欠かせません。春からは保育園。こんな状態で大丈夫でしょうか?」
秦野先生…「子どもにとっておっぱいは、栄養補給以外に、ママと触れ合って、つながることで安心するためのものでもあります。ママのおっぱいがその子にとっては、スヌーピーの友だちの“ライナスの毛布(安心毛布)”なんです。春から保育園に通うなら、環境の変化による不安が生じてくるので、なおさらです。安心してくっつくものとして乳首を口に含む、ママのおっぱいに顔をうずめるのであれば、トントンと体をタッピングしたり、顔や背中をなで続けるなど、“快の接触”も安心感につながります。おっぱい以外のスキンシップをしてみましょう。子どもに『3才だから、もうお兄ちゃん(お姉ちゃん)だね』『たくさんごはんも食べられるようになったよね』『おっぱいを飲むのは赤ちゃんだね』と伝えた上で、子ども自身の意思を尊重することも大事です」
今はおっぱいの卒業をこじらせたり、断念したりとたいへんな思いをしていても、いつかはだれもが卒業していきます。「どうにかなるよね」という気持ちであわてずに行えるといいですね。(取材・文/白鳥紀久子、ひよこクラブ編集部)
■文中の体験談はすべて、『ウィメンズパーク』の投稿からの抜粋です。
■監修:秦野悦子先生
臨床発達心理士。白百合女子大学教授。専門は発達心理学(言語発達、障害児のコンサルテーション、子育て支援)。わかふじ幼稚園園長。著書に「心と体が育つ親子遊び」「最新しつけ大百科」(ベネッセコーポレーション)