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授乳のたびにゼロゼロ…風邪?「小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより#3」

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tacste/gettyimages

赤ちゃんやママ・パパにいつもやさしく寄り添う陽ちゃん先生こと、小児科医の吉永陽一先生が、日々の診察室で起きた、思い出深いできごとをつづります。
今回は、授乳のたびにゼロゼロする赤ちゃん。心配するママに先生は「治りません」と伝えますが、その理由は…?

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授乳のたびに苦しそうでおっぱいをあげるのが憂鬱に…

ある日、生後3ヶ月の男の子がお母さんとともにやってきました。おっぱいを飲み始めると、毎回途中からゼロゼロいうのだそうです。ときにはせき込んで、むせて飲んだ母乳を吐いてしまうこともあります。心配になって内科小児科を受診したところ、風邪だと言われてせき止めを処方してもらっていました。それでも治らず、私のクリニックにやってきたのです。

「おっぱいを飲んだときだけなんです。飲みだしてしばらくすると、とたんにゼロゼロいって、飲みづらそうです。病気でしょうか。それとも私のおっぱいが悪いんでしょうか」
と言うお母さん。おっぱいをあげるのがこわくなり、授乳の時間が憂鬱になってしまっています。診察をしました。胸の音はきれいで、診察のときはせきもしていません。

――これはいつからですか?。ひょっとして、結構前からじゃないですか?
「はい、その通りです。急な話ではないので、風邪じゃないような気がして」とお母さんは心配そうです。

お母さんの予想は当たっていて、赤ちゃんがせき込む理由は風邪ではありませんでした。

“のどの交差点”は複雑なしくみ

ヒトは口から入った息は気道に、食べ物・飲み物は食道に送ります。そして、のどの奥には気道と食道の交差点があります。喉頭(こうとう)というこの場所は、息をする時には気道のふたが開いて、気道から肺に空気が行きます。何かを飲み込むときには、気道のふたが閉まって、食道から胃に入ります。間違って飲み物や食べ物が気道のほうに行くと、せき込んでしまいます。ストローでジュースを飲むときには気道のふたを開いて口に吸い込み、ふたを閉めて飲み込みます。麺類を食べるときにも、気道のふたを開いてすすり、口の中で噛んでから、ふたを閉めて食道に飲み込みます。この喉頭のしくみがうまくいかないと、私たち大人だってお茶でむせたりするのです。

この赤ちゃんは、そんなことが、母乳を飲むたびに起こっているようです。喉頭の作りが生まれつきやわらかい子で、とくにそうなりやすい子もいるのです。成長して、喉頭がしっかりしてくると、むせにくくなっていきます。

むせにくい母乳・ミルクのあげ方とは?

――お母さん、これは、今は何しても治らないと思います。
「ええ?!」
――でもね、必ず治ります。ちょっと時間がかかりますけどね。

そして続けました。

――お母さん、オッパイの出はいいでしょう?
「はい、しっかり出ているようです。」

そうして先ほどの、のどのしくみを説明しました。

――とくに、飲み始めには、オッパイはシャーっと出ます。赤ちゃんが飲もうと思った量よりたくさん出ているのかもしれません。アップアップしているのかもしれません。
「では、どうしたらいいですか?」

このお母さんには、ちょっともったいないけれど、飲ませ始めに少しおっぱいを絞って捨ててみることをすすめました。オッパイの勢いが少し落ちると、気道にもれる母乳の量も減ります。
これは、哺乳びんでミルクを飲んでいる子でも同じことが起こります。哺乳びんは逆さにすると、始めはシューっと勢いよくミルクが出ます。しばらく待っていると、ポタポタに変わります。それから飲ませると、ゼロゼロが減ることがあります。

2週間ほどして、この赤ちゃんがやってきました。完全ではありませんが、ずいぶんゼロゼロは減ったようでした。お母さんも授乳の時間が幸せな時間に変わったようです。

関連:あなただけじゃない!授乳が不快という感覚…D-MERとは?

■監修・文:吉永陽一郎先生
国内初の子育て専門診療科である聖マリア病院母子総合医療センターの「育児療養科」科長などを経て、現在は福岡県久留米市の吉永小児科医院・院長。

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