SHOP

内祝い

  1. トップ
  2. 赤ちゃん・育児
  3. アドラー流「子どもに自信を持たせながら、社会の秩序もちゃんと学ばせる」遊びサポート術

アドラー流「子どもに自信を持たせながら、社会の秩序もちゃんと学ばせる」遊びサポート術

更新

かわいい白人少女紙で裏庭で絵を楽しんで、水の色やアート ブラシです。選択と集中
andreonegin/gettyimages

子どもは遊びの中で成長するもの。わかってはいるけれど、どのように遊んであげればいいのかと悩んでいるママ・パパも多いのではないでしょうか。

近年、ビジネスパーソンにも注目されている「アドラー心理学」をベースに開発された「アドラー流子育て」は、ほめることも、怒ることもしないで子どもを伸ばしていく子育て法。これを親子の遊びに取り入れ、子どもの成長を促すことは可能なのでしょうか。

『幸せ親子になれる 0歳からのアドラー流怒らない子育て』(秀和システム)の著者、三宅美絵子さんにお話を聞きました。

関連:子どもがぐんぐん伸びるアドラー流の「言葉かけ」とは?

親主導をやめて、子どもに考えさせてみる

――「アドラー流子育て」では、どのようにして子どもと遊ぶのでしょうか?

三宅さん:親が子どもの遊びを「コントロール」するのではなく、「サポート」してあげるのがアドラー流子育ての基本です。たとえば子どもと一緒に遊んでいるときに、親は「片づけが大変そうだな」「床を汚したりしないかな」「危なそうだな」と考えることがあると思います。そのときに「やめて」とブレーキをかけがちですが、親目線ではなく子どもの目線になって、子どものアイデアを広げてあげるのです。そうすると子どもは自分のアイデアに自信を持つようになり、新しい世界を広げていきます。発想力も伸びていくでしょう。

――「やめて」と言ってはいけないんですか?

三宅さん:言ってはいけないということではなく、「やめて」と言わなくてもいい方法を考えるということです。床を汚されたくないなら新聞紙を敷いて遊ぶとか、危ないもので遊ぼうとしているなら代わりにやわらかい素材のものを持たせるとか。なんでもすぐに「ダメ」「やめなさい」と言っていると、子どもは「自分は信頼されていないな」「ママやパパは、自分のやりたいことをすぐ止めるな」と感じるようになります。逆に自分のアイデアを大人が受け入れてくれると、自分のアイデアや発想に自信を持てるようになります。そこから「ママやパパともっと一緒に楽しめる遊びはないかな」と自分で考えるようになるのです。

――一緒に遊ぶときに気をつけることはありますか?

三宅さん:親が「遊びながら子どもを伸ばす」というように考えている間はいいのですが、「伸ばす」ことだけに意識が向きすぎると、いつの間にか親が主導するようになり、子どもの発想力が抑制されてしまいます。あくまで主導権は子どもに持たせて、親はサポートに徹したほうがいいでしょう。困っているときにすぐに答えを出すのではなく、「どうしたらいいだろうね」と子どもに考えさせてみるのです。そうすると、伸ばすことに意識を向けなくても、子どもは自然に伸びていくと思いますよ。

――具体的にどんなふうに接すればいいでしょうか。

三宅さん:たとえば、お子さんがダンゴムシをたくさん持ち帰ってきたときに、「うわ、気持ち悪い!」「そんなに持って帰ってこないで!」という言葉ではなく、「どこにいたの?」「どうやって捕まえたの?」と、ダンゴムシをいっぱい持ってきた子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。本当に虫が苦手な親の場合は、子どもに合わせて無理をしすぎることはありませんが、「どこに住んでいるのかな」「何を食べるのかな」「ちょっとわからない虫だから帰って調べようか」と言ったほうが、子どもはより興味を深めて、自分の世界を広げていきます。外で見つけた虫を図鑑で見ながら、一緒に絵を描くのも観察力が伸びるのでいいと思います。この場合も「一人でやってみなよ」と言うよりも、「一緒に描こうか」と親も一緒に参加するといいでしょう。「次の休みはこの虫を探しに公園に行こう」と誘えば、子どもの頭の中で想像もふくらみます。当日の服装や持ち物も、子どもに考えさせてみてください。

――大人も一緒に、子どもが興味を持つ世界の中に入っていくという感じですね。

三宅さん:虫の観察に限らず、子どもの遊びは“研究”の連続です。大人は子どもが何かを形にしたときだけ、「すごいね」と言いがちですが、形になるまでの過程がとても大事なんです。たとえば段から飛び降りるのが好きな子もいますよね。大人から見ると「またやってる」「危ないからやめさせよう」と思うかもしれませんが、子どもは着地したときの音、ジャンプできる距離を毎回確かめながら実験的にやっているのかもしれません。土を触るのが好きな子も、「今日は冷たいな」「ここの土はやわらかいな」と感触を確かめているかもしれません。親は「服が汚れる」と思ってしまうところですが、「今この子はすごい研究をしているんだな」「将来、研究者になるかも」と思いながら見てあげると、自分も楽しいと思います。

――確かに、子どもが道端の植物や昆虫の観察を始めると、「研究者になるのか、こいつは」と親バカになることはあります(笑)。でもそれは時間にも心にも余裕のあるときで、登園中など急いでいるときなどはつい、「もう行かないと遅れるよ!」と強引に打ち切ろうとしてしまうこともあります…。

三宅さん:子どもが夢中になりすぎて遅刻しそうになるのであれば、家を30分早く出てみてはどうでしょう? その際、子どもに「今すごくいい研究をしているから、幼稚園に間に合うように30分早く出ようね」と説明すれば、社会のルールも同時に教えられます。アドラー流子育ては、「なんでも自由にやらせる放任的な子育て」と誤解されることもありますが、それは違います。子どもに自信を持たせながらもダメなことはダメと言い、社会の秩序もちゃんと学ばせます。大人は自分の都合で動くことが多いので、親自身を律することも大事です。30分早く出るために、親も早く動くように調整する。それをやる覚悟は必要です。

――たとえば、仕事や家事などで疲れていて、眠くてしかたがない。子どもから「遊ぼう」と誘われても、体力的にとても無理な場合はどうしたらいいでしょう?

三宅さん:「ごめんね、今眠いからあとでいい?」と相談してみましょう。ただ、「あとで」と伝えるだけでは、子どもはそれがいつのことなのかわかりません。「時計が4のところまで休ませて」などと具体的に約束をしてみてください。約束をしたら、それをきちんと守ることが大事です。

――約束の時間になったとき、子どもがもう別の遊びに夢中になっていて、一緒に遊ばなくてもよさそう。というときは、そのままにしていても大丈夫ですか?

三宅さん:「ラッキー!」と思って、そっと仕事や家事に戻ることはやめましょう。約束したことなので、「今、それで遊んでいるみたいだけれど、どうする?」と聞いてみてください。そうやって親も約束を守り、子どもとの信頼関係を築いていくことが大切です。この繰り返しで、子どもも約束を守るというのはどういうことなのかを学んでいきます。

――まさにご指摘の通り、「ラッキー!」と思ってそっと抜け出していましたが、子どもは親が約束を守るかどうか、ちゃんと見ているんですね。

三宅さん:仕事や家事など、やらないといけないことがたまっていると、一緒に遊ぶのが「無駄な時間だな」と思うこともあるかもしれません。でもそう思っていると、親子の遊びを楽しめませんよね。そこは切り替えて、「今、この子の想像力がどんどんふくらんでいる!」と考えるようにすると、親も一緒に楽しめると思います。子どもは一緒に楽しむ相手を、自分の仲間だと認識するようになります。疲れていて休みたいときも、「わかった、じゃあまたあとでね」と協力的になってくれると思いますよ。

関連:子どもが幼稚園や小学校でなじみやすくなる!? アドラー流子育てとは?

子どもの力を伸ばすために、あれもやらせよう、これもやらせようと考えることもあると思います。しかし、一歩立ち止まって考えてみると、それは親が主導で決めていること。それでも子どもは多くを学ぶと思いますが、子どもが自分で考え、興味を広げていくには、子ども主導のアドラー流子育てが効果的かもしれません。
筆者も「今日は行き場所も終了時間も決めずに、子ども主導で散歩してみよう」と試してみました。そうしたら、子どもは「この虫は何?」「このお花は何?」「帰って調べようか」と、周囲のものにどんどん興味を持つようになりました。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)



三宅美絵子さん
アドラーカウンセラー、ベビーサイン講師。笑顔の子育て教室「blue bird」を主宰し、アドラー心理学の勇気づけなどによりママと子どもの笑顔を増やすお手伝いをしている。著書に『幸せ親子になれる 0歳からのアドラー流怒らない子育て』(秀和システム)。2児の母。

赤ちゃん・育児の人気記事ランキング
関連記事
赤ちゃん・育児の人気テーマ
新着記事
ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。