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えええ!どうなるの? ページをめくるからこそ楽しい、工夫に満ちた絵本3冊

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絵本の中の少女
Wavebreakmedia/gettyimages

スマートフォンなどで、手軽に読み聞かせ動画が楽しめる時代になりました。しかし、ページをめくるからこそ体験できる「想像力の動画」はいかがですか?紙ならではの楽しみ方ができる絵本を、えほん教室主宰中川たかこさんに教えてもらいました。

関連:2・3歳の「これなあに?」「どうして?」 好奇心の上手な伸ばし方

中川たかこ
なかがわ創作えほん教室主宰
メリーゴーランド増田喜昭氏に師事。
個人の創作えほん教室主宰19年目。高校、中学、専門学校などでえほんの読み解き方、えほんの創り方の講師として活動中。

どんどん移動する!動画では味わえない、絵で表現する「移動」とは?

動いていないはずのキャラクターの絵が、ページをめくることでどんどん移動していく。そんな様子が楽しめる絵本3冊をご紹介します。

バナナが事件!?バナナじけん!!

たった一つの出来事が、あれもこれもと連鎖して、とんでもないことに…。一枚のバナナの皮がきっかけで起きた、小さくて大きな事件のお話です。

バナナをたくさん積んだ貨物車が緩やかなカーブの道をごとごとと走っていきます。
あっ!バナナが一本、落ちました。そこへやってきたのは、頭の毛がリーゼント風のとぼけたサルです。

ここで、絵本は読者にこう問いかけます。
「どうすると思う?」
子どもたちは喜んで答えてくれるでしょう!「たべる」「ひろう!」ほかには…?

サルはバナナを食べました。皮は道にポイ…と捨ててしまいます。
ページをめくると次は、さっそうと走ってきたうさぎが・・・バナナの皮に気づいていません!

また、絵本は読者にこう問いかけます。
「どうなると思う?」

そう、滑るのです!うさぎは見事にバナナの皮ですべって転んでしまいました。
おしりをさすりながらまた走り出します。
さて、バナナの皮が置き去りにされた道にやってきたのは、わにです。
わには…

この絵本は、何度か読者に「どうなると思う?」と問いかけ、次のページで答えてくれます。
キャラクターたちは、ページをめくるごとに右へ、右へと移動していき、どんどん道を進んでいるように感じます。このスピード感、ちゃんとキャラクターが動いていると感じる風景の描き方は、動画のようには動かないからこそ、かえって想像力が掻き立てられます。

クライマックスのシーンでは、見開きページを横に三分割された画面で、「サルの食べる」「うさぎの滑る」「ワニの・・・(秘密にしておきますね)」を、同時に見ることができます。バナナの皮が起こす、愉快で(転ぶから)ちょっと痛くて、笑ってしまうようなキャラクターたちの動き。動画なら眺めているだけでどんどん流れていってしまいますが、自分の手でページをめくりながらじっくり楽しむことができます。
ラストシーンでは、遊園地で乗ったトロッコのようにカタコト動くのを体感しているような、不思議な気持ちになれますよ。

そして、肝心のバナナのゆくえは?
バナナの皮のゆくえは?
三びきは、このあとはどうなるの…?
…それは、この三びきといっしょにバナナを追いかけていけば、わかりますよ!!

忘れものが多すぎ!!全部だいじなものでしょ?!

忘れ物って、誰でもするものだと思います。忘れてもあまり困らないようなものから、それは絶対忘れちゃダメでしょ!というものまで、きっとだれもが経験しているはず。
さて、そんな忘れ物を、このかものはしくんは連発します。しかも、移動しながら…!?

かものはしくんはお誕生日のおばあちゃんにプレゼントを届けようと、おしゃれをして出かけました。
帽子をかぶり、チェックのオーバーオールに蝶ネクタイ。もちろん手にはリボンのかかったプレゼント。

玄関を出ると、すぐに友だちのはりねずみくんに会いました。すっかり話し込んでしまいましたが、もちろんおばあちゃんへのプレゼントは忘れません。
元気に歩いていきます。
少し行くと、湖がありました。水の中が大好きなかものはしくん、少し寄り道をして、湖でプカリプカリ…。水から上がったかものはしくん、ベンチでまさかの行動に出ます。
足ひれを…?

さて、かものはしくんは毛皮が濡れたので寒くなり、喫茶店でココアを飲もうとします。でも、くちばしがじゃまで飲みづらい。
だったら、くちばしを…?

あまりの衝撃に、大人の読者は「え!?」と声を出すと思いますが、子どもたちはどうでしょう?
案外、受け入れてしまうのかなと思いました。
かものはしくんは、このあと、おばあちゃんの家に向かうため、どんどん道を歩いてきます。森、湖、喫茶店、原っぱ、平野。
風景が移り変わり、かものはしくんといっしょに目的地に向かう楽しさも味わえます。

このお話しを読んだ時に思ったのは、どんな人でも見た目で判断せずに、中身をしっかり見て付き合っていこうということでした。おそらく、一番の親友のはりねずみくんは、かものはしくんがどんな姿であってもためらわず、迷わず「かものはしく〜ん!」と呼びかけるでしょう。
物語の中盤以降、あなたは彼を一目で見分けることができるでしょうか?
親友、だいじな友だちって、こういうことなんだなって心から思った一冊です。

壮観!動物たちの大移動!!

衝撃的なタイトルです。このものがたりは、ワニくんが居眠りをしていたら、聞いたこともない大きな音がして、「地球が割れた!」と知るところから始まります。

ワニくんは、急いで近くにいたおさるさんたちに「大変だ!地球がわれたよ!!」と伝えます。そして、ぞう、キリン、カンガルー、虫まで、とにかくみんなに逃げて欲しくて「地球が割れたよ!」と伝えていきます。
ワニくんを筆頭に、「ちへいせんまで みわたすかぎりの いのちが はしってくる」。

このページの壮観なことと言ったら!湾曲した地面に描かれた、ありとあらゆる「いのち」が、紙という媒体を超えて、こちらへ向かってくるような生命力を感じさせてくれます。

ここで、作者である田島征三先生について少しお話させていただきます。
田島先生の絵の描き方は、大きな紙に大胆な筆使い、というのが代表的な画風です。しかし、今回のこの絵はB5横綴じで横に長いものの、縦の幅は代表作の「とべバッタ」よりずっと小さいです。
こちら、原寸で描かれているとご本人からお聞きして、驚きました。
この繊細で、指先ほどの大きさの動物たちを、この画面によく原寸で!!
そう知ってからもう一度えほんをめくると、何度でも驚けるので、この裏話をおすそ分けです。

さて、話しは元に戻ります。

動物たちの群れは、谷を越え、川を越え、右へ右へと大移動していきます。早く逃げなきゃ、地球が割れたんだから!
すると、ドン!と何かにぶつかり、動物たちはそこで止まりました。
なんと、ぶつかったのは百獣の王、ライオンの足だったのです。見上げるほどの大きなライオンに、動物たちはみんなで呼びかけます。
「ライオンさん、大変です、地球が割れました!一緒に逃げましょう」
でもライオンは「バカなことを言うな」と信じてくれません。それなら、確かめに行こう、と、動物をみんな(!!!)背中に乗せて、元来た道を戻っていきます。

今まで右へ、右へと大移動していた動物の群れは、今度はライオンの背に乗って、左へ左へと戻って行くのです。
これは、スマートフォンなどのスワイプ動作では再現できないことでしょう。だって、スワイプだったら、逆回転になるだけのこと。紙の絵本なら、「戻りながら、進む」ことができるのです。

ライオンの背に乗せてもらった動物たちは、あんなに怯えていたのに勇気を出して地球が割れた現場に戻ることができました。
このライオンの頼れること、かっこいいこと。

この絵本の帯にも書かれている言葉ですが、「みわたすかぎりの いのちが はしって行く!」と言う一文は、鳥肌が立つほど愛おしく、原始的なちからに溢れ、これ以上、この場面を表すことができる言葉は無いです。

わたしたちはこの画面いっぱいを埋め尽くす、もしくはそれ以上の「いのち」と共存「させてもらっている」のです。
この画面の中に人間はいませんが、読者であるわたしたちを数えて良いなら、この動物たちとともに逃げなくてはいけません。
でも、どこへ?
地球が割れたと言う情報は、本当のことだったのでしょうか?

自分の目で確かめ(怖くても、現場にちゃんと戻って自分の目で見る動物たち)、仲間としっかり協力し合い、自分で考える。

言われたから逃げる?
「割れた」と言われたから鵜呑みにする?

大切なことって何だろう?

可愛らしい動物たちの絵で、全て平仮名で書かれた文章ですが、あまりにもシンプルに生きる上で一番大切なことを問いかけてくれます。
答えは、生きていく中で見つけることになるはずです。
この絵本は、そのきっかけになることでしょう。

小さい子どもには、カラフルで愉快な物語に見えるはずですし、印象的な絵はいつまでもその子の心に住み続け、その時が来たら、「いのち」「生きる」ということについて、考えるきっかけを再び与えてくれるでしょう。

そうそう、個人的な話ですが、一番はじめの動物たちの大移動シーンで、真ん中あたりに描かれている赤いカエルとハリネズミの群れがとっても好きです。
一匹、一匹、ていねいに見てみてください。

関連:東京駅の真ん前で牧場体験!?オフィスビルの「中」で牛やアルパカに触れ合える

紙をめくるからこその、キャラクターの「移動」が際立つえほん3選でした。
特に「ちきゅうがわれた!」は、右への移動から、左へ移動に大きく変わりますので、紙でしか表現できません。
このめくると言う行為の中に、指先で紙をつまむ、紙の質感を感じるなど大切なことが詰まっていると思います。
タブレット、PCではできないキャラクターたちの動きを、ぜひめくりながら楽しんでみてください。

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