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時短勤務のママ部長が語る。何度も辞退した管理職を「やって良かった」と思えた理由

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共働き家庭が増加傾向となった今でも、多くのママやパパが仕事と育児の両立に試行錯誤しています。その一方で、「育児と両立するにはどうすればよいかを考えたことで、より効率的で自分らしい働き方を見つけた」という声も聞こえるようになりました。そんな等身大のママ・パパを取材する連載、「わたしと子育てと仕事」。

今回登場するのは前回に引き続き、住宅事業を展開するポラテック株式会社に勤める 園部雅子さん。社内初の女性管理職に起用された、9歳と5歳の子がいる2児の母です。
妊娠前、第1子育休復帰時、第2子育休復帰の数か月後。3度の昇進を経て、現在シニアマネージャー(部長)を務める園部さんに、「管理職になって気づいた働き方のコツ」「人間関係を円滑にするコツ」について、お聞きしました。

記憶のないマネージャー時代があったからこそ今がある

36歳でシニアマネージャー(部長)に昇進して5年目になる園部さん。今だからこそ、「管理職を引き受けてよかった」と言います。

「シニアマネージャー職になり、今、下に3人のマネージャーがいます。シニアマネージャーになる前の役職”マネージャー”のときは、プレーイングマネージャーとして自身も10社ほどクライアントを担当しながらの管理職業務。そのころと比べると、部下に頼める仕事も多くなったので、自分のペースで仕事ができるようにもなりました」

頼もしい部下たちのおかげです、と笑う園部さん。
「何度も断ったマネージャーへの昇進オファーですが、今ならやってよかったと思います。マネージャー時代は本当に毎日大変で、記憶がないほど、がむしゃらな毎日でした。でもマネージャーを経験していないとシニアマネージャーにはなれません。任せられる部分は任せ、支えてもらえている今の環境は、当時の奮闘があったからこそ。やってよかった、がんばってよかった、と思います」

管理職になったからこそ気づけたこともたくさんあるそう。
「管理職になった途端、今まで耳に入ってこなかった情報も入ってくるように。その結果、生産、工場、配送など、自分の部署が関わる業務の”前後の工程”まで目配りできるようになり、視野が広がりました。以前は自分の部署のことしか考えられなかったけれど、会社やお客様にとって何がいいのか、みんながハッピーになれる着地点はどこなのか、俯瞰して考えられるようになったと思います」

建築業界の働き方も変わってきた

男社会と言われる建築業界。働く母にとって厳しい状況も多かったそうですが、園部さんは「上司に恵まれた」と言います。
「上司が『子育てはみんなで理解して、みんなで子育てしよう』という考え方の人で。送迎などの物理的なサポートをしてくれたわけではありませんが(笑)、子育てに理解を示してくれたので、精神的にはすごく救われていました」

園部さんの会社では、これまでも育休や短時間勤務など、女性活躍や育児支援などの制度を積極的に進めていました。そして2019年に施行された「働き方改革関連法」もあり、建築業界の働き方も見直されてきています。
「1人目、2人目と育休を取ってきましたが、10年前に第1子を産んだ時と比べて、お客様も帰るのが確実に早くなり、夜にかかってくる電話が激減しました。
第1子の育休復帰時は、帰宅後も電話を肩に挟んで部下と話しながら、家事をしていました。子どもが熱を出して会社を休んだ時は、夫が帰宅後の19時から出社して終電まで仕事をしたことも何回かあったほどです。
しかし第2子の育休復帰後は、夜8時になると会社のパソコンがシャットダウンされるように。
業界や会社が、『どんどん帰れ』という風土になってきたので、自分だけ時短で働いている負い目もだいぶ軽減しましたね。たった数年でここまで環境が変わるのか、と驚いています」

仕事と育児、両立のために大切にしていること

現在、お子さんは9歳と5歳になり、9時〜17時半の時短勤務で働いています。両親が定年退職をし、サポートしてもらいやすくなったそう。
「職場までドアツードアで1時間15分。9時ギリギリにすべり込み。午前中は事務処理をし、午後からお客様のところに出かけたりして、17時半ぴったりにタイムカードを押して退社しています。
管理職である以前に、私はいち母親なので、子どもたちが心身健康に明るく育ち、私も夫も健康に働けることが大事だと思っています」

仕事と育児を両立する上での働き方のコツをお伺いすると、「コミュニケーションを大事にすること」と園部さん。
「飲み会が好きなので、家族に月3回までは夜の外出許可をもらっています。事務所では言えない話も飲んだ時には出てくるもの。お取引先のかたや社内のチームメンバーとの飲み会は大切にしています。同僚や後輩も『いつなら行けます?』と誘ってくれます。
また、管理職で役職の違いはあっても、同じチームの仲間です。同志として壁はつくらず、『園部さんは今、機嫌が悪そうだから声をかけるのをやめよう』と思われないよう、いつも気持ちをフラットにするよう心がけています」

また、仕事においては、「常に納期の2~3日前に終わらせることを心がけている」と言います。
「20代のころは納期の日ギリギリ。夜遅くメールを送れば、お客様に『遅くまで頑張ってつくってくれた』と思ってもらえるかも、という感じでした。でも今は子どもの病気やケガなど突発的な出来事に備えて、納期の2日前にはお客様に送るようにしています。」
社内用の資料作成も、アウトソースできるものは、できるだけ早めに事務担当の方にお願いしているそうです。
「自分が急に休むことになったときは、必ず誰かがフォローしてくれているわけですよね。フォローしてもらう前提で仕事する、というのは言い方がよくないかもしれませんが、フォローしてくれる人の負担が少なくなるよう、スケジュールには余裕をもって、アウトソースできるものはお願いし、自分ひとりで仕事を抱え込まないように気を付けるようになりました」

『成功はしないけど、成長はする』まずはチャレンジを

「『女性活躍』という会社の方針のために昇進させられているのでは…」という気持ちもあり、「常に身の丈以上のポジションを与えられていると感じます。ぶらさがって、這い上がって、自分の役職に追い付こうと、ずっともがいている感じです」と話す園部さん。
「今の状態に迷いがないと言えば嘘になります。初対面の相手に部長として名刺を差し出すと驚かれたり、男性社員からは、飲み会の席で、きつい本音を言われたり。叱咤激励とわかっていても、落ち込むこともあります」
そんな時に思い出すのは、駅の本屋さんで手に取った本の言葉だとか。
「身の丈以上のオファーでも、『成功はしないけど、成長はする』と書いてあり、今、まさにその思いです。まだ道半ばですが、確実にやりがいにつながっています」

ワーキングマザーは、保育園に預けることに葛藤があり、昇進をためらう人も少なくありません。「保育園で私以外の大人と触れ合いながら育ったのは、絶対によかった」と園部さん。
「同じ年ごろのお友だちと遊んだり、昔ながらの手遊び、陶芸教室など、保育園でいろいろな取り組みをしてくれたり、とてもいい経験になりました。いろいろな病気にもなりましたが、泥んこになって遊んでたくましくなったと思います。
預けられることを『かわいそう』と思っていたのは私だけで。娘も息子も、すぐに保育園は楽しい場所とわかったようで、3日目には元気に朝バイバイされていました(笑)」

連載「わたしと子育てと仕事」 記事一覧はこちら

管理職や昇進を迷うママに、園部さんは、「私はやってよかったと思っていますが、それは人それぞれ。昇進しない選択も、決して悪いことだとは思いません。でも、チャレンジをしないうちに、できないと決めつけるのはもったいない。飛び込む気持ちで、オファーを受けてみて! チャレンジして、無理なら元の仕事をするのも間違いではないから」とエールを送ります。

(下関崇子/bizmom編集部)

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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