「川崎病」 過去最高 心臓病を引き起こすことも。高熱が続く場合は受診を
川崎病を知っていますか? 日本の乳幼児の約70人に1人がかかる病気で、年々、患者数が増えています。時に心臓病を引き起こすこともあり、多くのケースで入院治療が必要です。川崎病に詳しい小児科医の三浦大先生に聞きました。
心臓病を引き起こすこともあるので、 高熱が長引く場合は受診を
川崎病は、日本の川崎富作医師が1967年に世界で初めて報告した病気です。0~4才に多く発症し、38度以上の高熱が出て、全身の血管に炎症が起こります。最新の調査によると、患者数は2018年に過去最高を記録。なぜ川崎病が増え続けているのか、川崎病に詳しい小児科医・三浦大先生にお話を聞きました。
「川崎病の原因はまだ解明されていないので、患者数が増加している理由はわかりません。ですが、免疫の異常が関係していることは間違いないでしょう。本来、免疫は感染症など自分の身体ではない異物から体を守るためのしくみですが、なんらかの感染によって免疫が異常に反応し、川崎病を引き起こしているのではないかと考えています。アレルギーや炎症性腸疾患など、自分の身体を誤って異物と認識し、免疫の異常が生じる病気も患者数が増えているのです」
高熱が3~4日以上続く場合は早めに受診を
現在、標準的な治療法は確立されている川崎病。ですが、38度以上の高熱が出ることから、風邪などの感染症と間違えられることもあるようです。親が川崎病に気づくためには、どうすればいいのでしょうか?
「高熱が3~4日以上続いたときに、両目の充血、唇や舌の充血、発疹やBCG接種部位の腫はれ、手足の発赤、首の腫れなどがないか注目してください。これらは、川崎病の典型的な症状です。気になる症状が出たら写真を撮っておき、受診の際に医師に見せましょう。診断の手がかりになることがあります」
川崎病と診断されると、多くの場合すぐに入院し、免疫グロブリン療法(血液製剤の一種を点滴で投与)とアスピリンの経口投与が施されます。
「診断が遅れた場合や、免疫グロブリン療法が効かない場合などで、2~3%の患者に冠動脈瘤 “という後遺症が出ます。冠動脈瘤は心臓の血管にこぶができる病気です。大きな冠動脈瘤がふさがれると、まれに心筋梗塞になることもあります。退院後も定期的な通院が必要です。心臓に後遺症がない場合でも、5年間は経過を見ます」
早期発見・早期治療が、後遺症となる心臓病を防ぐことになります。子どもの高熱が長引く場合は、早めに小児科を受診しましょう。
川崎病の罹患率
1970年代から少しずつ患者が増え、約40年前には大流行が3回。以後、しだいに患者数が増え、2018年は過去最高に。
川崎病の受診の目安
「38度以上の高熱が3~4日続いている」という症状に加え、以下の項目が1~2つでも当てはまる場合は、日中にかかりつけ医か大きな病院の小児科を受診しましょう。
□両目が赤く充血している
□唇が充血し赤く、
舌がいちごのようにブツブツになっている
□発疹やBCGの接種部位が腫れている
□手のひらや足の裏が赤くなっている
□耳の下の首に腫れがあり、痛がる
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(取材・文/ひよこクラブ編集部)
※グラフは、「第25回川崎病全国調査成績」日本川崎病研究センター 川崎病全国調査担当グループ調べ(2019年9月)より改変したものです。
■監修
三浦大先生
(東京都立小児総合医療センター 副院長)
医学博士。慶応義塾大学医学部卒業。2018年より現職。専門は小児循環器学、とくに川崎病。近著に「川崎病 増え続ける謎の小児疾患」(弘文館)がある。