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先天性風疹症候群の母「地獄のような妊娠期間のことを伝えたい」・小児科医がワクチン接種を訴え

病院で妊娠中の女性
Melpomenem/gettyimages

2012年に続き、2018年から再び流行している風疹。国は風疹の抗体検査と予防接種のキャンペーンを行っていますが、残念なことに健診受診率は上がっていないのが現実。たまひよONLINEでは、あらためて、風疹予防をそれぞれが意識し、まわりに広めていくことが大切と考えます。
今回は先天性風疹症候群(CRS)の赤ちゃんを持つ母親たちが立ち上げた会「hand in hand」について
「予防接種で赤ちゃんを守りたい!小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」#10

関連:またも風疹が流行 胎児への影響は?ワクチン接種を呼びかける医師の思い

先天性風疹症候群の赤ちゃんのママたちが、風疹を無くそう!と立ち上がる

妊娠中に風疹にかかり、先天性風疹症候群(以下CRS)の赤ちゃんを出産したママたちが「日本から風疹を無くそう! 先天性風疹症候群にかかって生まれる赤ちゃんを無くそう!」という強い願いを持って、風疹をなくそうの会『hand in hand』という会を作りました。
会員のママたちのお子さんたちは、古くは昭和57年生まれ~平成24年生まれと、幅広い年代となっています。

2012年の風疹の流行&CRSの赤ちゃんの報道をきっかけに、活動をスタート

2012年に風疹の流行が始まり、CRSの赤ちゃんが次々と生まれたという報道がありました。それを知った、かつてCRSの赤ちゃんを出産したママたちは「CRSの赤ちゃんをなくすために、自分たちが立ち上がらなくてはいけない」という思いで、会を立ち上げ、活動を開始したのです。

会員のママたちの中には、妊娠までに風疹ワクチンの接種の機会がなかった時代に出産された方もいます。風疹流行年には、風疹とCRSの関連がわかっていても防ぎようがなかったため、人工中絶数が増加していました。けれど、その時期にもCRSの子は生まれていたのです。

その後、“風疹ワクチンを打っていれば風疹にはかからない”とわかった時代になっても、CRSの赤ちゃんが生まれ続けているという現実に、いても立ってもいられなくなり、一人の母親がSNSに自分のプロフィールを公開しました。

それが拡散されたことで、それまでじっと我慢していた同じ境遇の人たちとの連携が始まり、会が結成されるきっかけとなったのです。

その中のメンバーの1人が自分の経験を公開したときの心境を紹介します。

「地獄のような妊娠中でした。出産後も、とにかくバレないようにバレないように生きてきました。でも、今は1人でも多くの方に風疹の怖さを伝えていきたいです」と、20年にわたる苦悩と、今後の活動の決意を話してくれました。

会の活動が国の風疹予防キャンペーンにつながりました

「hand in hand」の会の活動の影響もあり、医療関係者や行政にもこのままではいけないと動きが出始め、国は2020年までには風しんゼロを達成したいと明言。“風疹ゼロ”プロジェクトの一環として2月4日を“風疹の日”に制定して制圧をめざしていましたが、一昨年夏以降また流行が始まっています。

昨春からは感染リスクの高い500万人の成人男性に無料でワクチン接種ができる風疹第5期定期接種が創設されましたが、まだまだ免疫の有無を確かめる検査受診者数は低いようです。

「hand in hand」の会では、さらなる体制強化のため、第5期対象者あてのクーポン発行方法をもっと積極的に!などと訴えていますが、健診受診率は上がってきていません。

会の活動により、大阪では検査受診率がアップしました

なかなか風疹キャンペーンの効果は出なかったのですが、風疹第5期定期接種を盛り上げたいと、「hand in hand」の会員が大阪府知事に直接かけ合ったところ、大阪府の職員に複数回の集団健診の機会を設けてもらえることが可能に。その結果、10%台だった大阪府職員の検査受診率は一気に70%を超えたのです。

業務中でも受診できるのは、忙しい職員にとって有り難かったようで受診率UPにつながりました。

こういった方法もあるということが、ほかの自治体や企業だけでなく一般市民にも伝わり、一人でも感受性者を減らすことができることを願っています。

国の対象者以外にも、予防接種の補助がでる自治体も

自治体によっては、国の対策よりワクチンをより受けやすい制度を作っているところもたくさんあります。とくに今夏のオリンピック・パラリンピックの開催都市にその傾向が強いようです。

たとえば、私の住む千葉市では、妊娠を希望する女性、妊娠を希望する女性の配偶者(婚姻届の有無は問わない)、風疹抗体価の低い妊婦の配偶者、妊娠を希望する女性の同居家族、風疹抗体価の低い、妊婦の同居家族、昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの男性まで、大人だけでなく子どもも含めて、男女を問わず予防接種を受けやすくなっています。
ぜひ、みなさんもご自分が住んでいる自治体の取り組みを調べてみてください。

風疹ゼロ実現のために、職場や地域全体での意識を強めることが必要

“風疹ゼロ”を現実にするためには、子どものころに接種機会がなかった成人男性を中心に、免疫が低くかかりやすい人たち(推定500万人)の風疹免疫検査受診、ワクチン接種が必要です。風疹の流行が始まると、そのまわりの免疫が低い女性が風疹にかかってしまい、CRSの児が生まれるということにつながってしまいます。
風疹ゼロをめざすのは「hand in hand」
の会だけの願いではありません。みんな
の願いです。
今回の対策が成功しなければ、また数年後には同じことが繰り返されてしまいます。そうならないよう、みんなで“風疹ゼロ”プロジェクトを成功させたいと強く願っています。
(監修・文/太田文夫先生 構成/ひよこクラブ編集部)

関連:風疹第5期定期接種スタート。ママとパパ、自分の母子健康手帳を持っている?「親のワクチン接種歴」を確認できない実情について

2020年に“風疹ゼロ”をめざすため、家族はもちろん、職場や地域の人々の協力が不可欠です。
自分が風疹を予防することは、ほかの人とこれから生まれてくる赤ちゃんを守るということ。ぜひ、抗体検査や予防接種を積極的に受けましょう。


*「hand in hand」の会の設立や活動内容についてはHPに詳しく掲載されていますので、ご確認ください。
公式サイト hand in hand 

太田文夫先生
PROFILE

おおた小児科院長 ワクチンで防げる感染症から子どもを守りたい小児科医。B級グルメめぐりが趣味。広島生まれのカープファン。NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会副理事長。
※記事トップの画像はイメージです。

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