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【専門家が発信】働くママは罪悪感をもちがち 完璧な母はもともと無理

幼稚園から子供たちの母親
maroke/gettyimages

近年、共働きの家庭が増える中で、「働きながらも家事や育児を完璧にこなさないと!」という思いを抱き、それがなかなかうまくいかない現状に、罪悪感を持ってしまうママもいるようです。
果たしてその罪悪感は、本当に感じなければいけないものなのでしょうか。
1児のママでありながら社会学を専門として子育て世帯の調査をする、明治大学商学部教授・藤田結子先生に話を聞きました。

みんなで育てることが子どもの育ちにいい影響を与える!

――職場復帰するとき、“子どもを預ける”ということに罪悪感を抱くママも少なからずいるようです。先生は、仕事と育児の両立をするうえで罪悪感を持った経験はありますか?

藤田先生 正直に言うと、あまりないんです。
子どもが生後半年の4月から保育園に預けたんですが、そのころ夫は単身赴任をしていて「ワンオペ育児」って本を書いたくらい大変で…。だから罪悪感よりも大変さのほうが勝っていましたね。

あと、罪悪感を持たなくて済んだ要因として、出産後の研究で論文や学術的な本には“お母さんが一人で世話をするほうがよくない”って書いてあることが多く、その事実を知っていたからということもあります。

――日本には“三歳児神話”も根強く残っています。新しい情報を手にできるかできないかで大きく変わりますよね。

藤田先生 そうですね。私の場合は“いろいろな人の手を借りて育てたほうがいい”っていうのを論文などで読んで知っていたので、預けることはむしろプラスに捉えていました。

――“いろんな人の手を借りて育てたほうがいい”というのは、具体的にどういったことでしょうか?

藤田先生 まず、お母さんと子どもだけで過ごすことで、お母さんのイライラやストレスが子どもに向かいやすくなってしまいます。お互いに逃げ場がない状態だと時には虐待につながることも…。
お父さんや保育園の先生など、いろんな大人がかかわることでそういったリスクを減らすことができますし、子ども自身もコミュニケーション能力が高まるといった研究もあります。

実際に、わが家の子どもの場合、保育園にいるといろんな交渉やけんかをお友だちとしていましたし。子どもの育ちにとって大切な経験だったな、と思っています。

――確かに、育児の喜びや悩みを共有できる人がいるというのは精神的にもいいですよね。

藤田先生 さらに、ある研究によるとお父さんが育児にかかわると、“非行に走りにくい”、“自尊心が高まる”、“将来的に教育的、経済的にプラスの影響がある”ともいわれています。

――預ける、預けない以前に育児はみんなでやるのが、子どもにもいい影響になるのですね。
先生はお子さんとのかかわりの中で、大切にしていることはありますか?

藤田先生 子どもの心のケアは大切にしています。
小学生となった今では、何か問題があれば自分で話してくれますが、小さいころは 子どもの変化に気づけるように“一緒に”何かするということを心がけていました。
もちろん、疲れていて休みたいときはテレビをつけることもありましたけどね。

忙しい中の家事は完璧になんてしなくてOK

――仕事と育児の両立でただでさえ大変なのに、日本のお母さんたちは家事までも完璧に頑張ろうと奮闘している印象です。

藤田先生 そういう方に調査で話を聞くと、「自分のお母さんが専業主婦だった」ということが多いです。
今の子育て世代は親が専業主婦だった人も多いですが、自分が育った環境がやはりいちばんのモデルケースになっているので、“家事も完璧にする”ということが当たり前って思っちゃうんです。
調査によると、私を含め共働きの家で育った人は「家事も育児も完璧にしなくちゃ」ということをあんまり思わない傾向があるようです。

――専業主婦だったお母さんと比べて、それと同じようにできないということに苦しんでしまうんですね。

藤田先生 “専業主婦”という形態は日本の中でも戦後一時的に増えただけで、世界的に見たら特殊なこと。
だから、仕事をしながら育児をして、さらに家事を完璧にするなんていうのは世界中でだれもやっていないといっていいくらいです。

働くお母さんは、フルタイムでもパートタイムでも疲れますよね。
ていねいな家事は余裕があってやりたいときはやればいいけど、ヘトヘトなのに完璧にやろうなんてしてたらお母さんが倒れちゃいますから。

――自分の心身の健康を犠牲にしてまでやる必要はないってことですね。

藤田先生 「仕事・育児・家事を完璧にこなせない」って悩んでいる方もいますが、日本のお母さんたちは本当にやり過ぎなくらいやってますよ!
「これで大丈夫かしら?」って思ってる時点ですごくやってるので、ぜひ安心してください。

世界的に見ると、離乳食にベビーフードを活用しているところは多いですし、夕食を作る文化がない国だってあります。

――そうすることによって子どもとの時間もとれますし一石二鳥ですね。

藤田先生 毎食手作りの食事を用意して、今それで日本の子どもたちがとても優秀で健康ならいいですが、そういうわけではないですよね。
手作りにこだわらない外国の子どもだってちゃんと育ってる。だったら無理してやる必要はないのでは?って思うんです。

それに、もしある程度家事は完璧にやりたいって場合でも、お母さんがやらなきゃいけないってことはないので、お父さんはもちろん、民間の家事代行サービスやシルバー人材センターなどを利用するのも一つの手です。

世の中のしくみを変えるためにできることは?

――“家事・育児は母親がするもの”、という風潮は少しずつなくなりつつありますが、まだまだお母さんが主となって育児をしている家庭が多いのも現実ですよね。

藤田先生 意識が変わりつつあっても、日本の現状として社会のしくみが追いついていなくて、結局女性に負担がかかっているのだと思います。

――そのしくみを変えるために、私たちにできることはありますか?

藤田先生 仕事をしながらの家事・育児で忙しいかもしれないけれど、世の中のしくみを変えるためにも子育て世代こそがしっかり選挙に行って投票によって意思表示をするなど、行動を起こさなければならないと思っています。

また、子育ての中で“男の子だから”“女の子だから”っていう育て方をしないことも、長い目で見ると社会のしくみを変えることにつながると思います。
小さいころから性別役割分業を自由にすることで、子どもたちの世代が過ごしやすくなるのではないでしょうか。
子どもたちは最初何も知らないわけですから、たとえばピンクが好きな男の子がからかわれる、といったことは大人の意識の問題なんですよ。

――大人から意識を変えていかなければいけないですね。

藤田先生 大学でかかわっている今の20歳前後の学生は男女平等の感覚があると感じることが多いですね。
地域差などはあるかもしれませんが、女子学生もキャリアを積んで自己実現したいって考える学生が多いです。

世の中のしくみが変われば、今よりももっと女性が働きやすく、男性も育児に参加しやすくなりますので、子育てしながら働くことに罪悪感なんて抱かなくていい社会になると思います。(取材・文/大月真衣子、ひよこクラブ編集部)

すべて完璧にしようと思うと罪悪感を持ってしまいますが、最初から完璧になんてできないんだ、と思っていると少しは気がラクになりませんか?
「これだけしかできてない…」と悩むのではなく、時には「私こんなに頑張ってる!」と自分をほめてあげてくださいね。

■監修/藤田結子先生
(明治大学商学部教授)

東京都生まれ。慶応義塾大学を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。16年10月から現職。専門は社会学。調査現場に長期間、参加して観察やインタビューを行う研究法を用いて、日本や海外の文化、メディア、若者、ジェンダーなどの研究をしている。著書に「ワンオペ育児 わかってほしい休めない日常」(毎日新聞出版)などがある。

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