おたくマンガ家が外出自粛でしたことは？【御手洗直子のコマダム日記】

今回は外出自粛ならでは・・のお話。
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコマ＆エッセイでお送りします。「つっこみが止まらないコマダム日記」#31

春季ラミカ作成、関東大会、女子、40代部門

コロナ自粛中のみなさま、いかがおすごしですか、御手洗直子です。（二度目）

ツイッターでクッキーやらケーキやらかわいいマスクやら、本当にものすごい頻度で手作りのものが流れてくるようになって、ああ、マジでみんなヒマ（というか外に出られない）なんだな…と思う昨今ですが、みなさんがお菓子作りやお裁縫に傾倒されている中、小麦粉を買うでもなく、ミシンを買うでもなく、私はなぜかラミネーターを買ってしまったため、おいしいクッキーでもかわいい小物でもない、世界で一番使いどころのないラミカを量産するに至ってしまいました。

※ラミカ…ラミネートカードの略。透明のプラスチック板でイラストを挟んだもの。ファミレスのランチメニューとかのアレ。

お気に入りのキャラクター雑誌などのイラストを、キャラクターの輪郭外1,5ミリをカッターで切り抜き、台紙に貼りラミネート後、美しくカットするのである。オタクの所業である。私はこの道30年の職人なので一連の作業、完成品には自信がある。春季ラミカ作成、関東大会、女子、40代部門でも相当良いセンまでイケる自信がある。40代、30代部門といえばラミカの激戦区である。その中で上位に食い込むには並大抵のキャリアでは到底及ぶべくもない。その中で戦う自信が…私にはその力があるのだ。今、その実力を遺憾なく発揮し、ラミカを量産している。特に使い道はない。見て愛でるだけの品物である。

でき上がり品を見ると本当に心が躍る。カワイイ。しかし本当に使いどころが無い。パンチで穴を開けてヒモを通してカバンに付けるくらいしか使い道を思いつかない。おそらく現代の小学生ですら許されていない、30年前の小学生にしか許されていない所業である。アラフォーがやってたら射殺である。悪・即・斬である。本当にコレ…作るまでの工程と完成品をただただ見てウットリするだけの代物なのである。おばあちゃんが折り紙で大量にくす玉を作り、配っていた気持ちが今わかった。心で理解した。

本当の本当に何の役にも立たないのでとりあえず小麦粉を買った。5年以上前にブランデーに漬けられたまま放置されたドライフルーツが火を噴くのだ。大丈夫、アルコールに漬けたフルーツは賞味期限が無いってばっちゃが言ってた。（言ってない）どうだあ。買ったらお高いブランデーケーキを作ってやるぞお。と思ったけどベーキングパウダーを買い忘れた。スーパーのあのカオスの中にベーキングパウダーを買いに行く気力は無い。むり。私には。わたしには、ああ…。

そんなわけで今日も私はラミネートできそうな、良いイラストを探すのである。いっそ推しの本をもう一冊買ってバラしてラミネートしてやろうかという気持ちになる。

無益。趣味はその作業にこそ意義があるのだ。（おわり）

御手洗直子
Profile　pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」（共に新書館）、「腐女子になると、人生こうなる！～底～」（一迅社）、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」（ベネッセコーポレーション）など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
　御手洗直子twitter：＠mitarainaoko