おたくマンガ家が感じた冷静と情熱の間は?【御手洗直子のコマダム日記】
今回はフリマアプリ・・のお話。
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコマ&エッセイでお送りします。「つっこみが止まらないコマダム日記」#32
冷静と情熱の間
モンノスンゴイ今さらだけど最近フリマアプリを始めました。おそい。ブームになったのっていつ頃だったんだろう。きっかけはだいぶ前に人からもらったキャラクターグッズを捨てるには忍びないと思い、ならば売れないだろうかと登録してみたのだった。
そしたら売れた。相場はよくわからないが、そこそこの値段で売れた。しかも登録して5分もたたないうちに『おお…なんてことだ!私はこれをずっと探していたのだ!ありがとう!この出会いに感謝します…神よ!(意訳)』というメッセージとともに購入された。アメイジング。こいつはすごい。ちなみに北欧の白い太った妖精のアレである。
おそらくこの人はキャラクター名で常に張っており、アラートとともに入札したのであろう。おそろしい子。
なるほどたしかにこれはハマる。使いどころの無いものが感謝の言葉と共に金に変わるのである。捨ててしまうのももったいないなあと思い続けていたものが5分で解決した。10年間熟成させたかいがあった。本当に好きな人のところへ行けたのであればグッズも本望であろう。
さて売り上げが手に残るわけである。それをどうしたかといえば私はそのままほしいグッズの購入に充てた。探していた物が見つからなかったのでキーワードでアラートをかけ通知が来た瞬間に購入ボタンを押し、3年以上他サイトでも探し続けたうえでの出会いゆえ感動のあまり『ありがとうござます!ずっとさがしていたんです!とても嬉しいです!!』というテンションの高い取引メッセージをしたためた。なんかコレ見たことある。
さて売主のほうはといえば不用品をあわよくば金に換えてやろうと思っているだけなので『ご購入ありがとうございます。発送までお待ちください。』という温度ゼロのテンプレメッセージを送ってくるわけである。わかる。私も送ったから、わかる。
そんなわけで3年以上探し続けたキャラクターグッズが私の手元にも届いた。お待ちしておりましたァ~~~~~!うちにあったあのグッズがこのグッズに替わっただけである。物々交換甚だしい。
売った分だけ購入しよう。と思っていた当初の目標は新たなる推しの非売品グッズを発見した瞬間に瓦解した。オタグッズであれば2000円5000円と値がついていてもおかしくなさそうなものだが、私が今ハマッているのがこども向けジャンルのため400円とかで投げ売りされていた。3セット買った。なんなら新品を買い占めては申し訳ないという謎のお気遣いを発動し、こどもが落書きしていますという条件付きの300円のものを使用分として買った。こどもが落書きしていようがオタクはありがたく買うのである。キモい。
フリマアプリは無為なる出品者とオタ
冷静と情熱がぶつかる現代の坩堝なのだ。(おわり)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko