コロナで先行き不安。求人減でも「働きたいママたち」はあせらないで今できることを、と専門家
結婚や妊娠、出産を機に退職したものの、子どもが幼稚園や小学校に入ると「もう一度、働きたいな」と思うママも。しかし今は、コロナ不況で倒産する企業も多く、求人件数は減少傾向に。だからといってあきらめないで! ママの可能性を広げるために、今するべきことを、ママたちの仕事事情に詳しい、株式会社ハナマルキャリア総合研究所 代表・上田晶美先生に聞きました。「ママたちのアフターコロナの働き方」連載2回目です。
「働きたいのに働けない!」ママたちの事情
コロナ禍でも「できたら働きたい!」と考えるママたちも。しかし今は、難しい面もあるようです。
仕事を探したいけれど、第2波の流行を考えると躊躇
下の子の幼稚園入園を機に、パート勤務をしようと思っていたのですが、新型コロナウイルスの感染拡大で、幼稚園は長期の休園状態に。やっと登園が再開されましたが“第2波が来たら、また休園になるの!?”と思うと、本腰を入れて仕事探しができなくて…。(Aさん)
コロナの影響で、求人が少なくてあせっています
子どもを保育園に預けて求職中です。毎日、求人情報をチェックしていますが、コロナの影響で求人件数が少なくて…。3カ月で仕事に就かないと、保育園退園なのであせっています! 経験があるのは一般事務だけ。資格はありません。時期が悪いのかな!?(Bさん)
「新型コロナウイルスの影響で倒産する企業は後を絶たず、求人は減少傾向にあります。そのため無理をせずに、今は仕事に就くための準備期間と考えましょう」(上田先生)
3つの視点から、適職を探すことが第一歩!
仕事を探すとき「私、何の仕事ができるだろう?」と悩むママは多いと思います。
「そんなときは①好きなこと、②過去の経験(仕事、趣味など)、③時代のニーズ(だれあの役に立ちたいか)の3つの視点で適職を考えてみましょう。これは頭の中を整理することが1つの目的なので、思いついたままに書いて構いません。
ママの中には②過去の経験で、“なん10年もブランクがあるから”とためらうママもいますが、ブランクがあるのは当たり前! まずは3つの視点を書き出して、適職を考えるのが第一歩です」(上田先生)
たとえば吉田さん(仮名)の場合は、パソコンのスキルは持っているけれど、どんな仕事をしたらいいのか悩んでいました。そこで3つの視点を書き出したところ“高齢者に優しくしたい”という新たなワードが出てきました。
【吉田さんの3つの視点】
①好きなこと 人と話したりしてかかわる
②過去の経験(仕事、趣味など) パソコン
③時代のニーズ(誰の役に立ちたいか)高齢者に優しくしたい
「吉田さんは3つの視点を書き出したことで、初めてパソコンと高齢者がつながり、高齢者向けのパソコンインストラクターを目指すようになりました。
3つの視点を書き出しても、方向性が定まらないときは“誰の役に立ちたいか”という部分に重点をおいて考えると、適職が見えてきます」(上田先生)
しかし、なかには「適職に就くよりも、子どもが幼稚園に行っている数時間だけ、家の近くでパート勤務ができれば十分! 好きな仕事に就けなくてもいい」と考えるママもいるでしょう。
「子どもが小さいうちは、もちろん利便性優先でパート勤務でも構いません。ただし、そこがゴールとは思わないで! 定年70歳といわれる時代。子育てから手が離れたとき、“自分はどう生きていきたいのか!?”ライフプランを考える意識は持ち続けましょう」(上田先生)
オンラインスクールで、仕事に必要なスキルや資格を習得しよう
適職がわかったら、次は仕事に必要なスキルを身につけましょう。
「コロナ禍で、最も便利になったのがオンラインの分野です。これまでは“子どもがいるから、スクールなどに通えない”と悩んでいたママも、自宅にいながらオンラインで手軽にいろんなことが学べるようになりました。ビジネスの分野も充実しているので、ぜひ受講してみてください」(上田先生)
【上田先生がすすめる! 求職中に学んでほしい3つのこと】
1.パソコンスキル
ほとんどの職種でパソコンスキルは必須。①ワード、②エクセル、③パワーポイントができると、正社員採用の可能性も広がります。
2.資格取得
前述の3つの視点で適職がわかったら、必要な資格を取るための勉強をしましょう。
3.ビジネスマナー
パート勤務希望でも、基本的なビジネスマナーは身につけてください。とくにブランクが長いと、要点をまとめて話すのが苦手になっているママが多いので、結論から伝えて端的に報告する練習をしましょう。ほかにも電話対応、正しい敬語の使い方、メールマナーなど基本的なことはしっかり学んで。
お話・監修/上田晶美先生 取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部
コロナの影響で、今、企業説明会や面接などはオンラインで行われています。上田先生によると「新型コロナウイルスの流行が治まっても、大きな企業ほどオンラインの流れは変わらない」と言います。「ZOOMなどは使ったことがないから不安」と言うママは、まずはママ友だちとオンライン飲み会をするなどして試してみませんか。慣れると意外と簡単に感じる人が多いようです。
上田晶美先生(うえだあけみ)
Profile
株式会社ハナマルキャリア総合研究所 代表 早稲田大学卒業後、10年の会社員経験を経て、1993年日本初のキャリアコンサルタントとして独立起業。現在では、約100名の講師が登録する。若者と女性の支援を専門とし、全国で年間約100回の講演を行うほか、「ママも今日から働くワ!」(日本経済新聞出版社)など著書多数。財団法人女性労働協会理事。3人の子育て経験を持つ。
※文中のコメントは口コミサイト「ウィメンズパーク」の投稿からの抜粋です。