ママ友が子どもをたたいているところを目撃。どうしたらいい?【子育てアドバイザー】
子どもへの関わり方やしつけは家庭によりさまざまですが、ママ友が子どもをたたいているところを目にすると、「えっ…」と驚いてしまうのではないでしょうか。そんな場面に遭遇したときは、どのようにふるまえばよいのでしょうか。子育てアドバイザーの長島ともこさんに紹介してもらいました。
ママ友が子どもをたたいている! そのとき、どうする?
「公園で、子どもが水たまりで遊んでいたら『やめなさい!』と言いながら頭をたたいた」
「泣き止まない子どもに対して『うるさい!』と、どなりつけながら頰をたたいた」
「カフェでお水をこぼしてしまった子どもに、『気をつけなさいよ!』と叱りながらピシャリと手をたたいた」など。
ママ友が子どもをたたいている光景を目にすると、「えっ?」と驚く気持ち、「子どもがかわいそう」と思う気持ち、「何か声をかけたほうがいいのだろうか」というようなとまどいの気持ちなど、いろいろな感情が湧き上がるのではないでしょうか。
どうしたらよいか分からず、その場で傍観してしまうことが多いかもしれません。しかし、その親子とある程度親しい間柄なのであれば、たたかれて泣いている子に対して、その場でさりげなく「あれ? どうしたの?」などと、一言でも声をかけてあげたいですね。
たたいたママも、たたかれた子どもも、その瞬間は、怒りや悲しさなどの感情でいっぱいになっていることでしょう。言葉ひとつでも、 そこに“第三者の声”が入ることで「はっ」として我にかえり、相手のママと子どもの気持ちがほんの少し、リセットされるかもしれません。
子どもをたたいたママの気持ちを考えてみよう
子どもをたたくママ友に、私たちはどんなことができるでしょうか。
NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事で、「たたかない子育て」「感情的にならない子育て」をテーマに全国で講演を行う高祖常子さんは、「そのときの状況やママ友との関係性にもよりますが、心の余裕があれば、『今度、公園でいっしょに遊ばない?』などと誘い、子どもや家族のことなどたわいもない話をしてみるのも一案です」といいます。
「いっしょに遊ぶのが難しくても、園の送り迎えで顔を合わせたときに、『最近うちの子がさー』、『うちのパパから、この間こんなこと言われてねー』など、こちらの近況もまじえながらさりげない雑談を重ねるうちに、ママ友も本音を話してくれるかもしれません」(高祖さん)
でも、「無理をしないことがいちばん」と高祖さんは念をおします。
「自分がいっぱいいっぱいのときに、気になるママ友を誘う必要はありません。同じ園に通っていたら園の先生に情報提供する、日常的にたたいているように感じるなら、自治体の家庭支援センターなどに伝えてみるのもひとつの方法です。通告は支援の第一歩であり、密告ではありません。
『子どもをたたく』という行為は、親自身のイライラからくることが多いもの。イライラの元が、子どもの発達や夫婦間のトラブルなど、その人だけで解決することができない場合は、支援につなげることによって、情報提供やサポートが始まり、困りごとへの手助けが可能になることもあります」。(高祖さん)
近所や身の周りで子どもをたたくママを見かけたら
ママ友に限らず、近所や身の周りで日常的に子どもをたたいている場面、感情的にどなっている場面に遭遇したら、どうすればよいでしょう。
その保護者との関係性にもよりますが、「大変ですね」などひと言声をかけたり、やさしい眼差しを向けたりしたいものですね。
子どもをたたいたり、感情的にどなったりしてしまう人は、何らかの理由で悩んだり、困っていることが多いもの。自分自身の悩みを周りの人に相談できず、一人で抱え込んでしまっていることもあります。
こちらから勇気を出して声をかけても、聞く耳を持たずに「余計なお世話です!」「放っておいてください!」と言い返されてしまうかもしれません。
しかし、見て見ぬふりをして何もしないよりは、「声をかける」という行為は何倍もの価値があるのではないでしょうか。
育児・家事・仕事と目の回るような忙しい日々を送る親が知らず知らずのうちに陥ってしまいがちなもの。それは、「孤立感」だと思います。
孤立感は親の心を不安定にさせ、その結果、子どものちょっとした行動にカッとなってたたいてしまうなどの行動につながることがあります。
子育てには、地域に住むたくさんの人の目や手が必要ですし、私たちは日々、人と人とのつながりのなかで生きています。周りに声をかけてくれる人がいる、やさしい眼差しで見てくれる人がいると感じてもらうだけで、孤立感がやわらぐのではないでしょうか。
同じ親だからこそ、子どもをたたいてしまう人に対してできることはあるはず。自分に余裕があれば、その人の気持ちに寄り添い、イライラやモヤモヤを打ち明けてもらえるといいですね。たったひと言の言葉や眼差しが、困っている人を救うことができるかもしれないことを、心に留めてきましょう。